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リスナーメール:金融緩和をやめると、なぜ日銀が損害を被る?

水谷 家とお金を考える、大人ライフアカデミー。聞いて得する、家とお金を中心とした豆知識のコーナーです。きょうは。

 

大垣 きょうは、千葉市の、ラジオネーム焼きそばサラダさんからなんですけれども。

「最近、ゼロ金利政策、そして大規模な金融緩和について、そろそろやめるような報道が流れています。その報道には、たいてい、そのとき、日銀が損害を受ける、という一言が付いていますが、これはなぜでしょうか」という、なかなか、いいなというか。大垣先生的には。ちゃんと聞いてくれたじゃないか、みたいな。

 

残間 なかなか庶民感覚では難しいよね。関係ないやと思ってる。

 

大垣 金利上がると損するっていうのはイマイチなんのことだろうねと。ゼロ金利やめるっていうことは、要するに、金利をちょっとずつ上げていこうっていうことなんですけど、簡単に言うとこういうことなんですね。日銀は今、金利を下げるために1000兆近く国債を買ってきたんですね。で、金利を下げるために買ってっていうところが、そもそもなんでかっていうことなんですけど。ものすごく簡単に言うと、みんなが誰かにすごく貸したいと思ってるとしますよね。

 例えば、キュウリを買いたい人がいっぱいいると、キュウリの値段って上がりますよね。その感覚で言うと、金利はどっちにいくかなんですけど、「この人にどうしても貸したい」とみんなが思ってたら、金利は、下げますか、上げますか。

 

残間 下げます。

 

大垣 下げますよね。だから、需要が強くなると金利は下がるんですね。だから、日銀は「俺は買うぜ」っていうことでガバガバ買ってると、買いが多いので、金利が下がると、そうすると今度は、金利が下がると、国債って値段が上がるんですね。それはなんでかっていうと、3パーセントの利子の付いてる国債を持ってるとしますよね、水谷さんが。ところが、今もう、1パーセントしか付かなくなっちゃったというときに、ポケットに3パーセントの金利が出るものを持ってたら、これって価値は1パーセントのものより高い。

 3パーセントももらえるもののほうが価値は高いでしょう。だから値段は上がるんですね。逆に言うと、1パーセントのものを持ってるときに、周りはもう、今、同じものを買って、3パーセントも金利が付いてると、なんかもう、「俺のは1パーセントなんだけど」って言うと、100円で買うわけにはいかないですよね。ちょっと安く買いたいですよね。だから、金利が上がると、今まで持っていた国債みたいなものの値段は下がるんですね。

 それで、日銀さんなんですけど、ずいぶん金利の低いものを買ってますよね、このところマイナス金利とかゼロ金利とかっていう時代ですから。それで、例えばなんですけど、今、100兆円持ってたとしましょう。10年で返してもらえる国債10年ものの国債で、今1パーセントの金利が付いてるものを100兆円持ってたとします。マーケットの金利2パーセントに上がります、そうすると、何円に減ると思います。100兆円が。

 

水谷 ええ。

 

大垣 91兆円まで下がるんです。

 

残間 なんで? 98兆円じゃないの。

 

大垣 10年分だから。

 

残間 ああ、そうか。

 

大垣 単純に10年分じゃないんですけど、かなり10年分に近いものが落ちるんです。だから、だいたいざっくり言うと、10年分の1パーセント上がっちゃった分が下がるので、90兆円近くまで下がるんですね。だから、100兆円持っていたら91兆円に減っちゃう。だから、9兆円損が、含み損ですけど、損しちゃう。もう1パーセント上がったらどうなると思います。83兆円まで下がるんです。

 

残間 えっ?

 

大垣 だから、17兆円、下がるんですね。これは、そうすると今、10年分の金利でそうなると言いましたよね。そうすると、30年債っていうのも持ってるんですよ。結構出てるんです。で、30年債だとどういうことが起こるかっていうと、1パーセントの金利が付いてる30年後に返してもらえる国債を持ってるときに、周りの金利1パーセント上がると、実は、100円のものは、一気に78円になる。

 

残間 わあ、大変じゃない。

 

大垣 で、もう1パーセント上がると、61兆円まで下がるんです。っていうことなので、このことを言ってるんですね。だから、含み損が出るよね、どうするんですか、っていうことなんですけど。

 でも、よく考えてみると、日本の借金を日銀が買ってるわけなので、「で?」っていうのはあるんですね。ですからこのへんのことは、だから日銀にものすごい損が出てどうするんだよ、と言ってるんですけど、まあ、なんか、もうちょっと乱暴な人は、「どうせ自分でやった借金を、自分で買っちゃってるんだからそのまま棒引きにすれば」みたいなことを言っちゃってる人もいて、そのへんのところは、それがどうなるかっていうのは、必ずしも定説があるようでないっていうことなので。

 一般論としてはやっぱり、景気が良くなって、インフレになって、それに合わせて金利も少しずつ上がっていくっていうのは、全体としてはいいことが起きてますので、そういうゆっくりした上がり方をしている限りは、庶民的にどうなるんですかっていうと、いいことのほうが多いと思います。

 

残間 ああ、そう。

 

大垣 だから、インフレになっていくっていうことは、お札で持っているよりは、もので持っていたほうが、いいっていう。

 

残間 家も買い時なの。

 

大垣 家も買い時かっていうとそれは借金との関係ですけど、こんなに金利が低いことはなかなか起きませんので、家は買えるんだったら買うに越したことはないです。

 

水谷 きょう質問をくださいました焼きそばサラダさん、よかったですか、分かりましたか。

 

残間 焼きそばサラダって美味しそうだね。

 

大垣 サラダに焼きそばを置くやつじゃないんですか。

 

残間 でも、いいよね。サラダと一緒に食べられるから。

 

水谷 ・・・。まあ、分かりました(笑)。これからもみなさん、質問お寄せください。大人ライフアカデミーでした。