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会社四季報の読み方について ROAとROE

水谷 きょうはどんなお話でしょうか。

大垣 会社四季報っていうのを、意外と見てもよく分からない。

水谷 昔パラパラっと見たことあります。

大垣 これ、パラパラっと見るには深いんですよね。ちゃんと説明しようと思ったら何時間もかかるんですけど。これ実は、ものすごいいろんな情報が入っているので。今日は、あんまり見ないんじゃないかなと思うところを見ようということで。真ん中辺に、いっぱい財務って書いて、指標があるんですけど、そこに、ROEと、ROAっていうのがあって。分かります?

水谷 分かりません。

残間 ・・・。

水谷 分かるはずがない。

大垣 リターンがRなんですね。で、Oはオン。Eがね、エクイットって、資本です。皆さんの株主さんの。自己資本利益率っていうんですけど、自己資本がどのくらいで儲かっているか。要するに、株主さんは何パーセントぐらいで回ってるかしら、みたいなのがエクイット。ROAっていうのは、会社全部がどのくらいで回っているか。だから、例えば、これ1枚目、あえて古いやつでやってますけど、この、なんとか工業っていうところが。ここだと、ROEが8パーセントぐらいで、ROAが6パーセントでしょう。だから、この会社さんがやってる事業は6パーセントぐらいで回ってるんだけど、株主さんの利回りは8パーセントに増えてるんです。2枚目にいきましょう。これはガス会社さんなんですけど、これ、ガスの事業全体は5パーセントでしか回ってないのに、株主になると急に倍以上になって11パーセントになってるでしょう。

 これ、なんでそんなに増えるんだと思いますか。

水谷 ・・・。分かりません。先生、分かりません。なんの答えも浮かびません。

大垣 まあ、分かるわけがない。いや、これね、要するに、借金してるかしてないかなんです。上見てください。有利子負債っていうところをみるとね、なんちゃら工業はゼロでしょう。

水谷 本当だ。

大垣 1円もお金を借りてないんです。1円もお金を借りないと、だいたい、なんちゃら工業さんのやってる仕事の利回りと、株主さんの利回りって、そんなに変わりようがないので変わらないんですけど、お金借りると、こっちはなんちゃらガスを見てください。いっぱい借りてるでしょう。お金を借りてると、借金の金利って、株の利回りよりずっと低いでしょう。元本をちゃんと返しますから、株なんかよりはずっと金利が低くないと、元本返ってこない株のほうがリターンが高くないと嫌じゃないですか。だから、低いんですね。そうすると、5でしか儲かってなくても、5よりも安く借りられれば、安く借りてる分のところでちょっと残りますよね。5で儲かったんだけど、その5を儲けるために、5よりちょっとしか払わないでいい借金をしてると。

 例えば、1パーセントしか払わないでいいんだとすると、4パーセント分余るじゃないですか。この余るのを、借りてないほうの株主のお金のほうに乗せれば、利回りが上がりますよね。

水谷 ・・・。私たち、今日反応悪いですよ、残間さん。

残間 一応分かってる。

大垣 このお二方がわからないとラジオ聞いてる方は絶対わからないので。

残間 私一応社外役員やってるので、なんとなく分かるんだけど、そういう説明の仕方じゃないからね、いつもね。キャッシュフローの話とか。

大垣 そういう、キャッシュフローとかなんとかのところにいくのはまた次くらいなんですけど、実はですね、株主さんの利回りだけ見てると、これ、どう見ても、ガスやさんのほうが11パーセント高く見えるじゃないですか。でもそれは、もともとの事業全体は5パーセントでしか回ってないんだけど、上手にお金を。仕事をやるのに全額を自分で出さずに、自分のお金と借金したお金を組み合わせてやると、銀行には株主に払うほどのお金は払わないで済むので、その分のあまりで上げてるんですね。

 こっちのなんちゃら工業さんは、お金を一銭も借りないで、正々堂々で8パーセント。そうすると、この利回りだけ見てると、一見ガス屋さんの方がよく見えるけど、どっちがいい感じがします。なんとも言えないんだけど。どっちがいいかは分からないんですけど、実は、ガス屋さんのほうは、ROAって書いてある全体の事業の利回りがちょっと動くと、ちょっと動くだけで、こっちのROEって書いてある株主さんの利回りがめっちゃ動きます。それは、ちょうど、テコで、ちょっと短いほうをちょこちょこっと動かすと、長いほうはブンブン動く感じになるんです。借金してると。で、てこのことは英語でレバーっていうから、それでレバレッジっていうのは要するに、お金を借りることで、上手に利回りを上げている事をいうんですけど。そういうことが起きている会社っていうのは、利回りは今高いですけど、高い分だけ動きも激しいんですね。それから、なんちゃら工業さんのほうは、利回りがそれより低いですけど、借金してない分低いんですけど、でも、事業の利回りだからそんなに動かないので、動きがゆるいんです。で、これ、どっちがいいですかっていうのは分からないので、それは好みですっていう話なんですけど。

 そんなことがこれ、見られるようになってるんですね。時々これやろうと思うんですけど、会社四季報って、実は、ここにめちゃめちゃ凝縮されていて、教科書2冊分くらいのことがここに入っていて、分かってくるとすごく情報量が多いものですね。

残間 私、よく四季報買うんだけど、それは、協賛企業を募ろうっていうときに、どの会社がどういうふうに景気がいいとか、そういうのを見るのに四季報を見て。ちょっと女で儲かってそうな企業はここだな、とか。

大垣 それ、どうやって分かるんですか。

残間 シニアって儲かってそうとか。で、ここからまた別のものを。そこから会社案内とかに入って行く。で、そういうところの社長宛に手紙を書いたりしてっていうのが多いですね。

水谷 今日は会社四季報の読み方について教えていただきました。