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トンチン年金について

水谷 きょうはどんなお話でしょうか。

大垣 最近、トンチン年金っていうのが出てきているんですけど。今日はトンチン年金の話。

水谷 トンチンカン?

大垣 これは、どこかの、ある生命保険会社のあれですけど。新しいシニア向けの保険で。真ん中に、「トンチン性を高めることで」とかって。

水谷 トンチンってカタカナですか。

大垣 トンチン。うん。

水谷 なんですか、トンチンって。

大垣 トンチンさんっていうイタリア人の名前なんですけど。

残間 冗談みたいだね。

大垣 いや、別に、イタリアだからいいんですけど。

水谷 トンチンさん。

大垣 英語ではトンタインっていうんですけど。トンチンって言うんだろうと思いますが、なんだかよく分からないですね。これでなんで分かるんだって思いません?

残間 トンチン性を高めるって、こんなんじゃ分からない。

大垣 こんなので分かれって言われても、分かんない。で、なんだろうっていうことなんですけど。年金って、普通はどうやって作ってるかっていうと、今年私が、例えば1000万払って、死ぬまで毎年幾らかくださいって言うと、保険会社から見ると、すごい長生きされちゃうとたくさん払わないといけないし、それからすぐに亡くなられると、ちょっとしか払わないですみますよね。そうすると、最初に一体いくらもらったらいいだろうかって、どうやって計算すればいいのか分かりますか。

水谷 うーん。

大垣 今年、12月31まで死なない確率っていうのがありますよね。

水谷 はい。

大垣 これに、今年あげないといけない年金をかけると、今年払わないといけない期待値っていうのが出てくるじゃないですか。中学校のときに習ったでしょう。数学。

水谷 習ったかなあ。

大垣 あげるお金に確率をかけると、それって、払わないといけないかもしれない。

残間 それ、何で習うの。

水谷 数学の?

大垣 それは数学ですよ。体育で習わないって。そんな。

残間 体育とは思わないけど、ふーん、そう。

大垣 期待値って、やったでしょう。確率のとき。

水谷 やってない気がするなあ。

大垣 ええ。

水谷 そんな嫌そうな顔をされても。

大垣 中学でやったことを。

残間 入院してたもん。

水谷 まあいいでしょう。

大垣 何を威張ってるの。それで、来年になると、もうちょっと生存率が低くなると、その低くなった生存率に、また、例えば、年60万円だったら60万かける。3年目はまたちょっと生存率が下がる。ずっといって、だいたい男は109歳、女は113歳かな。っていうところで全員死滅っていうことになってるんですけど、そこまでの確率に60万円ずつかけたものを全部足せば、それって多分そのぐらいだろうなっていう金額になるっていう気がするでしょう。

残間 する。

大垣 そうやって計算してるんですよ。普通はね。で、そうやって計算をすると、だいたい、60歳の私が男性だとしますよね。それで、年に60万円、月に5万円もらおうとすると、例えば1パーセントで預かったお金を運用できるという前提だと、だいたい1700万円ぐらい入り口でいただかないと、いつ亡くなられるか分からない人に対してちゃらんぽらんにならないお金が出せるんですね。

 ところでですよ。この、水谷、残間、大垣の3人で、「それもいいんだけど、最初に死んだ人が預けたお金が早死になさったら、残るじゃないですか。その残るものは、残り二人で分けちゃっていい」っていうふうにやると、自分一人でつじつまが合ってる時よりも、早く亡くなられる方のお金をせしめることができるので、そんなにたくさんお金を入れないですむっていうのは、なんとなく分かりますか。

水谷 分かります。

大垣 一人で保険会社とつじつまを合わせてると、自分の死ぬ確率だけかけるんだけど。そうじゃなくて、3人とか100人とかになると、その中で死んでいった人がお金を残してくれるじゃないですか。その残してくれたものを、みんなで山分けをして、その分最初に払い込むお金を減らそうっていうふうに考えるっていうのがトンチン。そういうことを考えた人がトンチンさんで。

水谷 トンチンさん。

大垣 その名前をとってトンチン年金っていうんですけど、どのくらい減るかっていうとですね、1700万円だったものが、そういう計算をすると1000万に減るんです。

残間 そんなに。

大垣 うん。だから、だいたい6割ぐらいにまで減らすことができるので。それで、ちょっとこれって、なんていうのかな、博打っぽいよねっていう感じがあって、で、数年前までは認めてなかったんです。金融庁がそういうことをやらせてくださいって言っても。それが、これだけ高齢化が進んできたし、みんなで、一種の助け合いなので、そういう形で、払い込むお金が少なめで、長生きする人がその分たくさんもらえて、早い人は、本当は残ってるんだから相続をさせてあげられそうなものなんだけど、そこは諦めることで、たくさんお金を入れないでいいっていうこともあっていいんじゃないかっていうことで、認めるようになって。それで、突如。

残間 いつから。

大垣 もう、今年。去年ぐらいから、どんどんこういう、トンチン型の年金っていうのが。

水谷 初めて聞きました。

大垣 で、なんですけど、あんまりそういう難しい説明をしてないで、なぜか知らないけど、一般向けのパンフレットに「トンチン性」っていうのが出てきて。

水谷 って言われてもっていうね。

残間 死亡した方の持ち分が生きている方に移ることで、より多くの給付が与えられることを言います。トンチン性。

大垣 なんですけど。そういうことで、怪しいものではありません。

残間 厚生っていったら違うよって言いたいけど、なんとなくみんなで、アベレージとって、早く死んだ人はお生憎様だけど、後の人に。

大垣 それから、厚生っていうもう一つの意味は、そうすると、どっちかっていうと、そういうのを買っちゃった水谷さんは、長生きしたいと思います、それとも、早く死んだほうが得だと思います。

水谷 ええっ。どっちにしても長生きしたい。

大垣 だから、どっちかっていうとそれって、倫理的にいえば悪いことじゃないので。

残間 あんなのに分けてたまるかみたいな。水谷さん、思うんじゃない。

水谷 (笑)。今日はトンチン年金についてのお話でした。