家の借り換え時、確定申告のために気をつけることとは?
水谷 きょうはどんなお話でしょうか。
大垣 きょうはメールを頂戴してまして。ちょうど確定申告の直前ですので、これがいいかなと思って。川口市佐渡にお住いの「里の住人」という方からのお便りなんですけど。昨年、家を住み替えて、確定申告書を書いたところです。でも、古い家を売ったときに利益が出ると課税されるのに、値下がりして損をしても何も救済措置がないんですね。もう住宅ローンを組めない年で、無理して現金で買ったので、ローン減税が適応されなくて、売却益マイナスなので、書類上はゼロ。これだけです。登記とか資産運用で買い換えたわけではないのに、と思ってしまう。愚痴でした、すみません。っていう。
これ、多分お分かりになってるんだと思うんですけど、少しだけ正確じゃない。この通りだと正確じゃないところがあるので、それでちょっとみなさんにお話ししておこうかなと思って。
水谷 はい。
大垣 マイホームを買い換えられた場合。前はですね、売っちゃった時の損はなんでも給料から引けたんですけど、今は買い換えないといけないんですが、一応ですね、ある家を、自分の家を売って、次の家に買い替えたいときに、前の家が買ったときと売った値段が差が出ると、これは損なので、その金額は赤字にして、その赤字は、今年の給料が例えば500万円入ったとしますよね。そうしたら、その500万円から引いてもらえるんですね。損益通算っていいますけど。で、そうすると、収入が減ったことになるので、税金を払いすぎてますから、確定申告をすると返してもらえます。で、バブルのときに買っちゃったりなんかして、随分高かったお家をお売りになったりしたときは、ただ売ってもダメなんですけど、次の家に買い換えるときは。
残間 そうか、ただ売ったからダメなんだ。
大垣 まあね。
水谷 自分のことを思い出されてます?
残間 5分の1以下で売った。
大垣 だったら、その年はもう税金払わないでいいくらい。
残間 でも、買わなかったもん。
大垣 意外と返ってきますよ。私もやったことあるんですけど。
残間 買わなかったもん、次の家を。
大垣 買わないといけなかったんですよ、次の家。
水谷 買えばよかったんですよ。
大垣 そう。そのとき熱海を買っておけばよかったんですよ。
水谷 そういうのって、知らないと知らないですよね。
大垣 ただですね、これはまた落とし穴があって、結果的にじゃあこの方は損しちゃったのかっていうと、違うんです。この方はやっぱりダメなんです。なぜかというと、妙ちくりんな条件があってですね。これをやっていただけるためには、新しい次の家を買うときに、住宅ローンを借りてないといけない。
残間 キャッシュじゃダメなのね。
大垣 そう。キャッシュだとダメなの。
残間 そうすると、住宅ローンが借りられないような方はダメってこと? 使えないってこと。
大垣 そう。それはなんか妙なんですが、要するに、ローンをまた借りて買うんだから助けてあげようっていうことなのかなとも思うんですけど。逆に、住宅ローンを借りてると、例えば今年の収入よりも損失が大きかったような場合、引ききれませんよね。そうすると、まず今年の税金が全部返ってくるんですけど、引ききれなかった分は来年の収入からまた引かせてもらうこともできるんです。
残間 えっ、そうなの。
大垣 繰り越しっていうんですけど。これも3年やらせてもらえるので。
残間 えっ。
大垣 だから、そういう含み損を持ってるおうちのある方は、次のお家に買い換えるときは、引けるんだっていうことをよくわかっておいたうえで、なおかつ、次の家はローンを借りないとやらせてもらえないので、現金で買えたとしても。
残間 ローンにする。
大垣 多少はお借り入れになられたほうがよいということが、後の祭りにならないように。
残間 難しいね、これ。誰に相談したらいいの。
大垣 でもこれ、常識的に分からないじゃないですか。またローンが色々あって、リバースモーゲージみたいなのでいいかっていうと、そうじゃないんです。割と細かい条件がついていて。
水谷 次々と資料が出てきますね。
大垣 本当は買い換えるときに、メーカーの人がそういうことを教えてくれないといけないはずなんだけど、中古を買ったりすると知らない方も多いので。それで、あと、ついでに覚えておいていただきたいのは、60歳になったら、もう住宅ローンを借りられないと思っていらっしゃる方が多いと思うんですけど。
残間 借りられないと思ってます。
大垣 70歳までは、70になったらダメなんですけど、70までは住宅金融支援機構は貸してくれますので。
残間 いくら?
大垣 幾らかは人によるんだけど、年収が少なくても、ゼロっていうことには、多少収入があれば、65歳までは収入のある方が多いと思いますので、貸さないっていうことはありませんので。例えば、現金で買い換えられるんだったら、別に300万借りて買い換えてもいいわけですね。残りをほとんど現金出して。それでも借りてるには違いない。いくら借りないといけないっていうことは条件にはありませんので。お金が足りないので300万借りました、だったらそれはそれでいいんですよね。だから、そういうふうな形にしておけば。
残間 そうなんだ。
大垣 なんで70かっていうと、70歳までは、団体信用生命保険っていう保険がつくんですね。だから、つくところまでは貸してくれるっていうことなんですけど。
残間 そうか、死んだらそれで。
大垣 そうそう。だから、最後はね。だから、それが分かっちゃった奥さんが、「ちょっとこいつに脂っこいものを食わしてやれ」みたいになるリスクもありますから、気をつけた方がいいかもしれないけど。そういうことがある。
それから、もう一つ申し上げたいのは、売らないといけないかっていうことで。そういうのがダメだと思われたら、売らないで、例えばですけれども、JTIに貸す。
残間 そうだね。
大垣 そうすると、前からご紹介してるように、常陽銀行さんみたいに、その家賃で返すローンっていうのを、これは何歳でも貸してくれますから、そういう形で、今の家に働かせて、ローンを借りて次の家を買う、というようなこともできるので。税金を返してもらうっていうことだけ考えるのも一つですけれども。
残間 やっぱり知らないとダメだね。
大垣 色々、やっぱり。これから、50、60超えて住み替えっていうことをお考えになる方は多いと思いますので。
残間 そうですよね、人生長いから。
大垣 こういうときに、これ、問題は、こういうことを教えてもらえるのが、年を超えて申告をするときだったりすると、もう手遅れなので、なんかものすごく複雑なことがあるけど、もしかしたら損が消せることがあったんだくらいに覚えておかれるとですね。それで、買うときは、売る人は親切にしてくれますから、色々聞いて。一番いいやり方を考えていただけたらと思います。
残間 今日のこのコーナーはあれですね。一家に一人大垣さんですね。
水谷 本当にそう思いますよ。
残間 大垣さん人形を置いときたいね。
水谷 里の住人さん、いかがでしょうか。また何かありましたら。
大垣 里の住人さんは残念でしたけれども、何れにしても。
水谷 またメールをお待ちしております。