リビングウィルを公正証書に残す
水谷 きょうはどんなお話でしょうか。
大垣 よく、尊厳死の宣言を最初にしておきましょうとか、リビングウィルを作ろうとか、アドバンスドディレクティブとか、よく聞くじゃないですか。あれ、意外と実物を知らないでしょう。
残間 知らない。
残間 うん。
大垣 はい。
残間 安楽死・・・。
水谷 えっ、どう違うんだ。
残間 安楽死っていうのはだから、どっち。医療で。
水谷 安楽死は、薬を使って、楽に死なせてあげる。
残間 必ず犯罪になってしまう。いまの日本の現行制度上は。
大垣 だから、オランダとかはそうだと思いますけど、自殺幇助が罪にならない国があって。そういうところで、もう自分は、今日の話もそうですけど、子供に迷惑かけるだけだしっていうことで、例えば病気じゃなくても、安楽死を選んで、それで、ちゃんと説明をしてもらって、もうここでいいですっていう。
残間 この間テレビのドキュメンタリー見てて、ここでいいですって言った人に、女の人が、「本当によく生きたわね」ってちゃんと抱きしめて、「この薬を飲めば」って言って、薬を飲ませるところまで全部やった。
大垣 で、みんないて、さよならって言って、そういうところがあるところもあるんです。これはもう、日本だと完全に犯罪になるので、ダメなんですけど。
残間 そうなの。お医者さんに懇願して、お医者さんがたまらずやってしまったっていうような、やったかやらないか分からないようなところも犯罪になって。罪にね。
大垣 それはお医者さまの方も大変ですのでね。で、尊厳死っていうのはそういうのじゃなくて、いわゆる植物人間になりそうだとか。
残間 延命しない。
大垣 延命しないでくださいねっていうことなんですね。これが、例えばこれ、ある公証人役場でサンプルで出てるやつで、本当に書かれてるやつなんです。
大垣 要するに、契約じゃないでしょう。私がいうんだけど、相手がいないので、契約にできないので、こういうときは公証人役場に行って、それで、交渉人っていう方の前で。
残間 これってこんなになってるのね。
大垣 そういうことなんです。で、例えば、第一条、私は、私が将来病気にかかり、それが不治であり、かつ死期が迫っている場合に備えて、私の家族及び縁者、ならびに私の医療に携わっている方々に、以下の要望を宣言します。
残間 そうよね、一が、「私の疾病が現在の医学では不治の状態に陥り、すでに死期が迫っていると担当医を含む2名以上の医師により診断された場合には、死期を延ばすためだけの延命措置は一切行わないでください」。
大垣 で、二が、「しかし、私の苦痛を和らげる措置は最大限にしてください」。これは大事なことなんですね。
残間 痛いからね。
大垣 で、だから、「そのために、例えば麻薬などで死亡時期が早まったとしても、一向に構いません」。
残間 ここがやっぱりすごいんだね。「私に前条記載の症状が発生したときは、医師も家族も私の意思に従い」、ここがすごい。「私が人間として尊厳を保った安らかな死を迎えることができるよう、ご配慮ください」。これで尊厳死っていうことですね。
大垣 そうなんです、そうなんです。で、あとは、この下にちょっと書いてある、「警察・検察の関係者におかれましては、私の家族や医師が、私の意思に沿った行動をとったことにより、これらのものを犯罪捜査や訴追の対象とすることのないよう、特にお願いします」。
残間 うん。
大垣 これを、ただ書いてもね、日記みたいなものですから、公証人役場に行って、それで、その方の前で口述をして、それを筆記して、こうやって証書にしたためてもらうっていう形にしてもらうんですね。これは松戸かなんかの公正証書役場のサンプル。
残間 役場にいっぱいあるじゃない。
水谷 へえ。
大垣 普通にあります。
残間 これ、つまり、弁護士とかそういうのじゃダメなのね。公正証書にちゃんとしておかないと。
大垣 要するに、まさに公正証書っていうのは、あんまり難しく考えなくて、二人で契約をしない場合に一人で言っても法律的にどうしようもないですか、言ってるだけなので。だからちゃんと、役所の前でやって、その方がきちっと。
水谷 知らなかった、こういうのあるんだ。
残間 この文面は、だけど、すごく行き届いてるね。ちゃんとしてるね。
大垣 そうですね。だから、割と充実してきてるんだと思います。意外と知りませんよね。
水谷 知りませんでした。
大垣 漠然とそういうのがあるって。これがアメリカで言ってるリビングウィルって言われているものなんですね。
残間 そうですね。
大垣 それから、もうちょっと具体的なやつで、これは、今度は、お医者さまにかかるときの事前指示書っていうものなんですけど、これは確か京都市で。
残間 これはやっぱり、母のときに、母に聞いてやりましたね。
大垣 これは、最近こういうパンフがあって、これもどこまでやるのかっていうのには議論があるんですけど、だいたいこういうものが増えてきてまして、今度は、痛みはどうする、終末期を迎える場所はどこがいいですか、とか、あと、具体的に心臓マッサージ、延命のための人工呼吸、抗生物質とかね。胃ろう、鼻チューブ、点滴とか、そういう、具体的にチェックをしていくっていう。
残間 これも言っておかないとね。いざこうなったとき、みんな迷うのよね。親は「胃ろうとかしないでね」って言ったんだけど、やっぱり目の前になると、少しでもって思ったりね、するもんなのよね。
大垣 これも、法律上これを書いてあったら、どこまで効果があるんだろうとか、そういう難しい議論はあるんですけど、やっぱり書いておけば当然お医者さまはそれは見てくれますのでね。これはこうやって持っておくんですね。で、関係の人に渡していたり、それから、ドクターに渡しておいたりとか、そういうことをやるっていうことですかね。色々難しい本が出ているので、すごい遠いところの話なんじゃないかなと思うんですけど、こうやってご覧になったらお分かりのように、割と身近にこういうことがありますので、一度ネットなんかで見ていただいたらというふうに思います。
水谷 分かりました。大人ライフアカデミーでした。