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2020年より改正される配偶者居住権 何が変わった?

水谷 きょうはどんなお話でしょうか。

大垣 話題になってちょっと経ちましたけど、民法が変わって。

残間 配偶者の。

大垣 連れ合いがなくなったときの、配偶者の居住権っていうんですか。これ、意外と、細かいところを見るといくつかポイントがあって、今日はそれをまとめてみようかなと。

水谷 お願いします。

残間 追い出されないと。

大垣 まあ、その、ざっくりしたあれはいいんですけど。まず、二つ場合があるんですよね。一つは、もともと旦那さんから生前に「もうお前にあげるから」って言われて贈与されたり、遺言でお前に家は渡すと、書いてる場合は居住権の問題じゃなくて、自分のものになるんですけど、この場合に、前問題だったのは、今現在問題なのは、それって結局遺産分割の対象になっちゃうんですね。前後の問題で、特別な受益があったっていうようなことになっちゃって。せっかく旦那さんから贈与されているんですけど、実は一旦遺産へ戻して、みんなで分割されちゃうっていう。

水谷 子供も一緒にっていうことですか。

大垣 はい。これは持ち戻しっていうんですけど。旦那さんがそれを明確に書物とかにしていて、これはもう、妻に残すんだからって書いてあるときだけ、奥さんのものになるっていうことになってたんですけど、今回、原則と例外を逆にして、原則は、旦那さんから譲り受けたんだったら遺産に入れないで、分割の対象にしないでいいですと。でも、他の息子とかが、だってここにもう、母ちゃんなんかに死んでも家は残さないって書いてあるじゃないかって、いうのを証明したときだけ、いまのように、遺産にいくっていう。原則と例外が逆転したっていう。これが1です。で、そういうことがなくて亡くなられて、奥様以外に相続人が、お子さんですよね、とかがいる場合は、当然遺産の分割の対象になりますので、結果によっては人のものになったり、共有の状態になったりとかっていうことになるので、そのとき住んでていいかっていう議論が出てくるんですけど。それがまた二つあって、一つは、そういうことでもめてる間は住んでていいのかっていうことですよね。亡くなって6ヶ月、あるいは、遺産が分割して、結局長男のものになっちゃったので、出ていってくれお母さん、みたいな話に。

水谷 それもなんかひどい話ですね。

残間 まあね。

大垣 結構ね。よくあるのは、後妻さんだったりとか。

水谷 そうかあ。

残間 それから、自分の妻とお母さんがうまくいかなかったりすると、やっぱりお母さん別のとことに行ってよ、みたいな。

大垣 うん。で、その場合も、これはもう当然にその時点から半年は、そんなことを急に追い出されるのはかわいそうなので、それは当然に住んでいていいわけ。

水谷 半年ですね。

大垣 これが1。2がですね、そういうものじゃなくて、もっと、死ぬ前の間、一緒に、旦那さんの持ち家に、逆でもいいんですけど、旦那さんの持ち家にずっと一緒に住んでたので、そうすると、普通は奥さん住んでていいよっていう議論になってるはずなので、実際に所有する人が誰になったかにかかわらず、亡くなられた直前の使い方で、亡くなられた後も使う場合は、当然に、終身ですね。死ぬまでその使い方を続けていいっていうことなんです。これが、時々、すみ続けていいっていうふうにおっしゃる方がいらっしゃるんですけど、住み続けていいとは限らないんです。例えば、マイホーム借り上げ制度で、運用していて、別のところにいってましたっていう場合は、マイホーム借り上げ制度で運用している状態が続くのだったら、そのやり方で続けていいんです。だから、そこに住む権利じゃなくて、使用収益をする権利って書いてあるので、貸してたんだったら貸家として使い続けると。これができるので。

残間 それは、自分が住んでなくても、旦那さんが死んだ後の奥さんが。

大垣 住んでたんなら住み続けましょうなんです。それから、貸してたんなら貸し続けるのは大丈夫なんです。

残間 なるほど、そうなんだ。みんな間違えてるね、そこ。住んでいいって。

大垣 間違えてるっていうか、ほとんどの場合は居住権だと思うんですけど、細かいところをいうとそういう、貸家にしてたんだったら貸家のまま続けるんだと。これ、無償で使える権利ですので、貸してたんだったら、そのあとも所有者になった方には家賃を払わずに、もらう家賃をずっと得ることができるっていう、そういうことですね。ただ逆に、住んでて、その後一人になったので、もう借り上げてもらう、というのは、所有者の承諾が必要になりますので、そこは気をつけないといけないと。それからもう一個大事なことがあって、これがおそらくあんまり言われてないかもしれないんですけど、そうやって借りてる権利を、当事者同士で主張するのは当たり前として、例えば、息子さんが引き継いだことになっていて、それで、仕事が具合悪くなってきたので、母ちゃんが住んでるけど、ここに抵当権を打って借金をしようということをなさって、それで、そのあとに、うまくいかなくなって、銀行がこれを差し押さえていく、それで抵当権を実行しちゃうってなったときには、原則、半年したら出ていかないといけなくなります。ですけども、自分が権利を得たときに、登記をすることができるんですね。普通は借りてると、自分一人で登記を勝手にはできないんです。貸してる方と合意してやらないとできないんですけど、この場合は、賃貸貸借じゃないので、自分で登記を請求することができるので、登記さえしておけば、そのあとについた抵当権には勝てるので、所有者が変わってももうずっと住んでて大丈夫になるんです。逆にいうと、普通の借家とか、借地ですと、例えば借地でしたら、家さえあれば登記しなくても、土地を売られたからって家を潰して出ていく必要はないんですけど、これは賃貸借でそうなってるんじゃないので、登記してないと負けるので、ちょっとお金がかかりますけど、そんなに高くありませんので。2年後ですけどね。

残間 つまり、旦那さんが死んだ後なんかは、妻のものだって、ちゃんと登記しておけばいいっていうこと。

大垣 妻のものじゃなくて。妻のものじゃないから問題なので。妻が、住んでいていい権利っていうのを登記できるので。

残間 そういう権利を登記できるので。

大垣 居住権を。要するに、自分のものだったら特段、しなくていいっていうか、普通に相続して、相続の登記をすればいいだけなんですけど、これは、息子さんのものになっているときに住み続ける権利があるので、その住み続ける権利は登記しておかないと、あとでさっきみたいに銀行とかが出てきちゃうと負けちゃいますので。

残間 親子といえども分かんないよね、この時代は。

大垣 これは、遺贈か遺産分割でやらないといけないんですけど、遺産分割でいくときはそんなに問題にならないわけですから、ちゃんと旦那様に遺贈を、遺言を書いておいてもらうっていうことが大事ですね。

水谷 これ、私まだピンとこないですけど、まさにいまこの問題に直面している方は、すごく今日参考になったかと思います。

大垣 そうですね。ただこの制度、20年の7月からなので。

水谷 ああ、これからなんですね。

大垣 なので、今直面していたら、もう、大事に大事にしてあげて、2年間は絶対に健康なままでいさせてあげたほうがっていう(笑)。

水谷 分かりました。家とお金を考える、大人ライフアカデミーでした。