認知症保険について
水谷 きょうはどんなお話でしょうか。
大垣 認知症の保険ってなんなのかっていうことで。
残間 認知症になったらもらえるのって思う人いるよね。
大垣 そうなんですけどね。認知症になってもらってどうするっていう。
残間 そうか、誰がどうもらって。
大垣 そもそももらっているかどうかを認知していない可能性がある。でね。
残間 家族?
大垣 まず、認知症になったときのニーズを考えると、実は保険だけじゃないので。保険も色々あるんですね。一般的に、流行りの認知症保険っていうのは、おっしゃったように、認知症の診断があるとお金がもらえるっていうのを軸にした、いわゆる医療保険の特定版みたいな。ガン保険みたいなのの認知症版というような感じなんですけど。
残間 それって、家族がかけるの? 例えば娘や息子が親に。
大垣 いや、自分でかけます、基本的に。まあ、子供がかけてもいいですけど、子供がかけたくなったときはもう始まっている可能性もありますよね。
残間 受取人は? 自分にするの?
大垣 そこがいろいろあって。認知症保険っていって、全く同じ生命保険会社が出しているものでも、本当にアルツハイマーでも、かなりになってからたくさんのお金がもらえるタイプっていうのがあるんですね。これは多分、自分がもらうっていうより、息子さんたちのためにかけてるものっていうふうに考えたほうがいいし、むしろ認知症予防保険っていう名前で売っているものもあって、これは、割と軽い段階で一時金をくれて、かつ、続いている間は。
残間 通院している間は。
大垣 丸々もらえるんですね。ですから、これは予防のためにお金がかかるからっていうことでこれはおそらくまだ、完全に認知能力がなくなっていないというわけです。
残間 予防といっても、どのへんからを罹患したというふうに思うの?
大垣 それは割とグレードが決まっていて、割と客観的に分かるんですけど。自分が一体、なり得る、例えば親御さんもなったので自分もなるかもしれないとか不安に思われていて、そうすると、早く、最近は。
残間 でも、80になったらほとんど何パーセントって出てますよね。
大垣 そうです、そうです。でも、病気としての認知症では出ないんです。老化に伴うやつは出ないので、そもそも。
残間 じゃあ、アルツハイマー型と、いわゆる認知症っていってもいろいろありますよね。
大垣 難しい言葉があるんですけど、いわゆる病気の類の、脳に実際に疾患があるようなものだともらえます。
残間 老化現象で海馬がだんだん衰えていくやつは・・・。
大垣 それはダメなんです。
残間 ダメなんだ。
大垣 物忘れ系のやつはダメ。だって、それって貯金になっちゃいますからね。
残間 全員だからか。
大垣 全員だから、貯金になっちゃう。それで、残間さんみたいに「私最近忘れるんです」とかって言って、くれ、とかって言う人が出てきちゃったりするから。それから、もう一つ、見落としているのが子供の側で、ちょっと前に、お父様が徘徊をしてそのまま。
残間 いなくなって。
大垣 いなくなったあと、電車に入ってはねられて、それで、なんと息子さん側に700万ぐらいの支払いが出たっていう話があったと思いますが、親が認知症になるとあまつさえ介護が大変な中で、そういう賠償の責任を思わず負ってしまうっていうことが大きくて。これは、すごく安いんです、保険は。で、数億円出るやつでも、毎月の掛け金は100円とか、200円とか。そんなになるもんじゃないので安いんですけど、安いがゆえに、それだけの保険がほとんどないんです。
残間 何かにくっついてる。
大垣 ええ。変な話、引き落としだったら引き落としの手数料のほうが保険料より高いみたいになっちゃって。それで、火災保険とか、自動車保険に、特約で、もう入っちゃってる火災保険とか自動車保険についてることが多いんですけど、最近はそれも、安いですよって言うためにあえて外してあることがあるので。前は普通に入ってたんですね。それから、県民共済なんかで、自転車とかも最近、人をはねて何億ってありますでしょう。ああいうのと同じなので、個人賠償保険っていうんですけど。
残間 子供が小さいときに、ベビーシッターさんにお願いしていたので、どこかに連れていったときに、子供が例えば、デパートに行ったときに、棚の美術品なんかを壊したりすると。
大垣 そうそう、それ系のやつ。
残間 そうするとシッターさんも責任を感じるでしょう。だから、全部保険をかけてたのね。メガネ潰しちゃったとか。
大垣 それは気をつけないといけないのが、だいたい同居の家族なので。例えば実家の親だと保証されなかったりするので。
残間 ああ、離れているとね。
大垣 だから、よく内容をもう一回。今はかけられているやつの中に付いている可能性があるので、見ておかれたほうがいい。それからもう一つは、始まった後に銀行と取引をしたり、例えばキャッシュカードを使ってるんだけど、あるところでやっぱり騙されやすくなったりして大きいお金を誰かにあげちゃったりとかするっていうことがあったり、あるいは逆に親の面倒を見るつもりで、親の口座からお金を下ろしてると、あとで成年後見の最後、指定があったときに、親の金を勝手に使っていたって言って、逆に賠償しなさいっていうことを弁護士さんから言われることもあるんです。だから、割と難しいのが、完全に認知症になられたあとは、大変ですけど、ある意味でスッキリしているんですけど、そこまでにやっぱり、10年ぐらい、昔、あんまりいい言葉じゃないけど、まだらボケっていう言葉がありましたよね。
残間 そのときに。
大垣 そういう状態のときに、はっきりと、まだ意識が持たれている間に、子供との関係で、代理人、きちっとした代理権を与えるとか。
残間 友達でも、親御さんが、「私の病院の費用とかは私の通帳から出しておくれ」とか言うんだって。それで、いろんなものも出しておくれっていうので出してるんだけど、でもやっぱり不安だっていうのね。どうすればいいの。
大垣 一つのやり方は、一番いいのは、ちょっと難しいですけど最近はいろんな人がサポートしてくれるので、親と子供の間で信託契約っていうのを結んでおけば。
残間 ああ、契約しておけばいいのね。
大垣 信託っていうのは、もともと頼んだ人、受益者って言いますけど、受益者の人、頼んだ人の意識がなくなったり、なくなられることを想定しているので、最初の意思凍結機能っていうんですけど、大丈夫なときの意思がそのあともちゃんとずっと凍結して残って、あと、残った人をきちんと義務付けるっていう仕組みなので。これが代理とかですと、たとえば亡くなったらもう消えちゃうんですね。それから、認知症になったあとも続くのかっていうと、いろいろ議論があります。だから、最近は非常に普及してきているので、信託銀行とやるやつじゃなくて、個人の間で信託の契約をしたいんですっていうことを。
残間 それは、どこに言うの?
大垣 それは、司法書士さんとか、弁護士さんでもそういうのをやられているところがあって。最近、NPOなんかでも見てくれるところがありますから、認知信託とか家族信託っていうので少し見てもらうといいですね。そんなふうに、自分が認知症になったあとに備えておかないといけないことっていうのはいろいろあるので。ただ、いわゆる新聞に載ってる、認知症保険をかけたから大丈夫とか、そういうことじゃないので。
残間 そういうものでもないのね。ふーん。
水谷 今日は認知症保険についてでした。