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投資信託、実はプロの話を聞かないほうがうまくいく?

水谷 きょうはどんなお話でしょうか。

大垣 年明けということで、実は、金融ジェロントロジーって言って、高齢期になってからのお金の問題は、それまでと違うので、それだけを取り出してよく研究していかないといけないんじゃないかっていうのを、ずっと、もう何年ぐらい言ってるかわからないけど言ってるんですけど、去年初めて金融庁がそういう言葉を使って。

残間 みんな急に言い出してるよね。

大垣 これから、こういうふうになるよねっていう、中間報告みたいなのが出たんですね。でも、その後もあまり、金融機関は興味が、興味がなくはないんでしょうけど、考え方が、自分たちの持ってるものをお年寄りに売りたいので、売るに当たってはどういうふうにやれば怒らないよねっていう。

残間 怒らないっていうのは?

大垣 どうやったら問題が起きないかとか、要するに、高齢期になると、どんなものが必要になるので、こういうのがこれまでなかったから作っていかないといけないねっていうよりは、基本的には、株は売りたいので、70の人に売るときはどういう売り方をしたら怒らないですか? っていう。そういう、例えば、認知症の方が来られたときに、ATMでお金を払い出しちゃいましたっていうときに、問題がそういうときに起きないようにしようねっていうよりは、どういうことさえしていれば払い出したあと責任が問われないかっていう議論をすごくみんなしている。

残間 ずっと大垣さんが昔から言ってるのと、そんなに変わってないということね。

大垣 変わってないんです、あんまりね。で、そういう中で、ちょっと面白い論文が、ハーバードの人たちなんですけど、何人かで研究者が出された、面白いのがありましてね。これまでの考え方っていうのは、素人はできるだけプロからアドバイスを受けて、そのプロのアドバイスをよく聞いてやったほうがいいんじゃないかっていうふうにみんな思ってたんですけど、最近、一番最近出た研究によると、プロから言われることは、普通の人はあんまり聞かないし、よくわからないので。

水谷 はい。

大垣 投資判断っていうのは、似たようなレベルの人どうしでやったほうが色々納得ができて、なおかつ結構うまくいくっていう調査結果が出た。なんでなんだろうっていうのが。論文自体が長くて、数学がいっぱい書いてあって難しいやつなんですけど、みんなでなんでなんだろうって考えていると、どうもやっぱり、1は、プロって言われている人は金融機関側の人なので、土台、そんなに相手のことを考えていなくて、売りたいもののことを上手に説明する人たちである可能性があるっていうので、1ね。それから、2は、そもそも言ってる言葉が難しいので、正しくても分からない。専門語だから。

水谷 分かります、それ。

大垣 それから、三つ目は、という相手には、本当に自分が何を悩んでいるのかをうまく伝えられないので、結局正しい答えが得られない。で、その中で、似たような人どうしでぺちゃくちゃ喋ってると、そうだよねっていうふうに、それなりになっていって。もしかしたら、プロからみると、何をこんなレベルの低い危ないことを思うかもしれないけど、そのプロだっていくらでも損する市場なので、別段その、絶対正しいことってないですよね、株が上がるか上がらないかとかそういう話になると。そうすると、やっぱり、よく話し合いを、親しい人と同じ言葉で話し合うっていうことが、投資の中では、実は意外とすごい重要なことなんだっていう。

残間 そこに新しいアイデアが隠されているかもしれないしね。

大垣 そうなんですよ。この人たちが、神経経済学っていう、またよく分からない。

水谷 それがハーバードの?

大垣 ハーバードと何人かの先生たちなんですけど、脳の神経的な動きと、経済との判断とかの関係についてとかっていうのを考えている人たち。

残間 でも、お年寄りっていうと、私もそれの域に近いけど、やっぱり、長く生きてると、この人たちは金融機関の人なんだから、基本的にはこうしたいんでしょうっていうことぐらいは分かるじゃない。中学生や向光性や、大学生のときよりは。だから、ちょっとやっぱりこの人はずる賢そうな顔をしているとか。結構当たるじゃない、ずる賢い人はずる賢くなってるじゃない、もう。で、その人たちが、「ねえ、カナばあちゃん」「そうよね、そうよそうよ、リエばあちゃん」とかって言ってることは、案外正しいのよ。

大垣 そうです。

残間 それを馬鹿にするなっていう。馬鹿にはしてないよ。素人を。

大垣 意外と、どうでもいい常識が正しかったりするんです。

残間 だよね。

大垣 だって、バブルだってそうじゃないですか。だって、そこに、参加してない人間からみれば、何か絶対間違ってるよっていうことが起きてたわけでしょう。

残間 そうだ。今年はやっぱり、ボーッと生きてんじゃねえよがテーマだ。

水谷 そうですね、ボーッと生きてんじゃねえよって。

残間 そうそう。アホみたいに生きてんじゃねえよって。

大垣 意外と皆さん、お聞きになってる方にそういう意味で、最初の話と結びついてくるんですけど、意外とみなさんのために本当に心から考えてくれるプロっていうのはいないような気がするので。それよりは、自分であんまりテレビとかに踊らされてすっと動くんじゃなくて、なんか周りの人と色々喋りながら、自分たちなりに。それで、別段それで間違っていないと思ってやるものは、納得もいくので。そういうことで、だんだんリテラシーが上がっていくっていうのがいいんじゃないかと。

残間 迷ったら4、5人でみんなで行ってみるっていうのはいいんじゃない、金融機関に。

大垣 それもいいかもしれませんね。残間が4人もきたら怖いですよね、もう全く太刀打ちできない。

残間 ちょっとあんた、これ何書いてあるの、全然用語が分かんないんだけど。って。

水谷 ちょっとあんたとはどうかと思いますけど(笑)。

残間 そうね、あなた、何書いてあるのか分からないのよ? って。

水谷 でも、いろんな論文があるんですね、面白いですね。

大垣 そうですね。

残間 どうやって探したの?

大垣 これ、割と最近、話題になってるんですよ。

残間 そう、早いよね、大垣さん。そうやって今年もぜひよろしくお願いします。