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マイホーム借上げ制度ができた理由

水谷 きょうはどんなお話でしょうか。

 

大垣 初心に帰って、マイホーム借り上げ制度をもう一回復習してみようかなと。

 

残間 最後だしね。

 

大垣 あのね、最近は家を貸すっていうこと自体は、昔、この番組を始めた頃に比べるとやっていただけるようにはなってるんですけど、そもそもじゃあ、なんてマイホーム借り上げを作ったのかっていうことなんですけどね。最近あんまり話をしてなかったけど、借地借家法の話っていうのが第一歩なんですよね。借地借家法って、古い法律なんですけど、これはもともと借りた方を守るための法律なんですよね。戦後、率直なところ、これだけマイホームが普及したのが70年代くらいからなので、圧倒的に家を借りていらっしゃる方のほうが多かったときに、例えば、あいつを追い出したいっていうので家を売っちゃって、「お前が買ったことにしてくれ」っていうことで、売って、そうするともう、家主が変わりましたから、出ていってください。っていうのが、やらせないようにしようっていうことで作られている法律なんですよ。それが逆にいうと、皆さんがせっかく住んできた家を、ちょっと貸そうっていうことで貸してしまうと、出ていかない権利っていうのができちゃうんですね。

 

残間 うん。

 

大垣 ですから、まずはそれで結局それぐらい取られちゃうぐらいだったら空き家にしておこうっていう。そこが昔から、残間さんなんか、そういうことが普通に頭にありましたでしょう。

 

残間 うん。

 

大垣 それで、そこを公的な機関が自分の設立のときの業務方法書きって言うんですけど、これを絶対守らないといけませんよっていうルールでそういうふうに借り上げても、返してくれと言ったら、これはもう返してあげないといけませんよということにしておいて、それで運用するときも、貸してあげるときも、今度は定期借家っていう、返してもらえる期間の決まった賃貸借で運用しようということなんですね。じゃあ、最初からそれでやればいいじゃんと。JTIなんか入れずに、自分で3年で貸せばいいじゃんと。中抜きもされないし、みたいな。ところが、なんで間に入るのかっていうことなんですけど、今度は逆に、3年で貸しちゃったら、3年で出ていかれちゃいますよね。普通はでも、3年までいないですよね。3年で終わりだと思っていたら、2年目ぐらいからは次の家を考えちゃうじゃないですか。だから、結局出ちゃうんですよね、2年ぐらいで。そうすると、お金が入ってこないですし、そもそもお年を召してから、そんなに運用とかって、めんどくさいですよね。だから、今度は、返して欲しくない限りはいつまででも借りていてもらえるということにはしようと。こっちから止める権利はないっていう形にして、よほど変なことがない限りは、JTIのほうから終わりにはできなくして、亡くなられるまでずっと借りてもらえますよ、でも帰りたくなったら、今度は逆に、普通の借家っていうんですけど、普通借家でない形でちゃんと返してもらえるようにしようと。ここが、あるようでないんです、こういうのが。

 

残間 こういうのって、トラブルの元だったもんね、やっぱりね。

 

大垣 現に、ちょっとコマーシャルみたいなので言っていただいてますけど、トラブルが結構あるんですよ。このときに、居直る方とかは大変で、常に訴訟っぽいことを。

 

残間 出て行け、出ていかない、でね。

 

大垣 そういうのは全然、貸していらっしゃる方には全然ご迷惑はかからないんですけど、こっち側は結構あるので。これを自分でやるのはかなり、プレッシャーだろうなって。私も十何年間やってみて思いますので。

 

残間 そこにいろんな遺恨が残るような気がしますしね。「いつまでずっと住み続けるんだよ」とかね。

 

大垣 それから、払わなくなるかたは、最後は腹いせみたいにして汚していかれたりとかね。ちょっと、人の嫌なところが見えるんですけど、それも全部こっちで綺麗にするんですけど。そういうことはあんまりありませんけど、やっぱり何人かはそういう人がいますので、そういうことでいうと、家ってすごくお金になるんだけど、自分でやるのは意外と難しいっていう。そのへんが、これを作った最初の出発点だった気がしますね。

 

残間 3年っていうのも区切りがいいしね。5年だと長いし、2年だと短い。

 

大垣 そうですね。でも今、ご事情で、当面使わないよっていう人は、逆に10年ぐらい貸していいですかってお願いして。今度は入るかたも、3年で出ないといけないってなると落ち着かないから、もう、入る方はできるだけ長く入って。

 

残間 それも間に入って話をつけてくれる機関があればね。

 

大垣 僕らのほうで、どれぐらいがいいですかってお話を聞いて、タームに合わせてね。