年金がもらえない、だけじゃない。35年の住宅ローンが定年後も続く、「負の年金」問題が深刻です
鈴木 きょうは。
大垣 最近、年金の、ちょうど財政見直しで、とうとう68までは働いてもらわないと困るみたいなのが新聞に出たでしょう。
残間 今はたちの人は68歳まで働かないと、今と同じような生活は無理ですよと。
大垣 この話はいつまでしても無駄っていうかね。これまでどおりは無理だっていうことを言うしかないんですね。だからあんまり、この話は考えないでくださいっていうか。
残間 でも、結構正直にいうようになったよね。前は隠してたもん。
大垣 まあね。なんでかっていうと、やってもらわないと本当に困るからなんだけど。それで、ちょっと、そういう中で、20歳の方はこれから自分たちで展開があるかもしれないとして、今だいたい53ぐらいより下の方で、30代とかに住宅ローンを借りた人で、で、借りたときの期間が35年で借りた人。鈴木さんそう?
鈴木 私は40代でローンを組み始めたので。でも、35年ぐらいかな?
大垣 だったでしょう。普通に何も言わなければ、35年になっている人。鈴木さんは75歳まで返す人。
鈴木 はい。
残間 そんなに返すんだ。
鈴木 どうしよう。
大垣 前もちょっとお話ししたと思うんですけど、35年になったのは2001年なんですよね。だから今は定年の人は25年しか借りてないので、それまで25年しか借りられなかったので、定年のときにはほとんどゼロになってるんです。残ってても400万円ぐらいなんです。鈴木さんのぐらいの方だとどうなるか、鈴木さんはまだ若いけど、今2001年ぐらいに借りた方が、ちょうど52、3になられてるんですけど、その方々はだいたい1000万ぐらい。
残間 残ってる。
大垣 何より大変なのは、1000万っていうと、大変なようで土地代はそのぐらいかもうちょっと多いので。
残間 相殺はできる。
大垣 そう。でも、相殺したらどうなります?
残間 行くところがない。
大垣 住むところがないですよね。住んでれば、絵に描いた餅でしょう。そうすると、だいたい月に9万5000円ぐらい払われてるんですね、平均で、統計を見ると。そうすると、70歳まで9万5000円払わないといけないので、今53歳以下の方で、あんまり考えずに住宅ローンを借りた方々は、実はマイナスの年金が73歳まで10万円ぐらいあるんです。
残間 うーん。
鈴木 へええ・・・。
大垣 だから、この間2000万円問題が大騒ぎになったあの統計、あれが書かれたときの統計には、住宅ローンは一切考慮していないんです。
残間 貯金が同じぐらいあるからって。
大垣 貯金しか見てない。とにかく、無視してるんです、住宅ローンを。それはなんでかっていうと、あのペーパーが議論している層は、だいたい60までに返しきれちゃうので、だから、もう後何年か後のレポートでは、住宅ローンがある前提で書くと、実は今の瞬間でも3000万円ぐらいは平気で足りないんです。60から70までのマイナス年金の話は、68になってからもらえるプラス年金の前に、結構大きな問題になるんですね。
残間 なんでそれ今言わないの?
大垣 今言って、政府にいいことなんかひとつもないでしょう。
残間 確かに。
大垣 だからそれは、問題が出てくる7年後ぐらいに。
残間 出てくる。
大垣 出てくるわけね。そのとき自民党かどうかは分からないじゃないですか。そうすると、それは時限爆弾なので、この時限爆弾を誰が踏むかっていうのは結構面白い。
残間 その頃の。
大垣 さらに、それが時限爆弾かっていうと、退職金をもらえるので、とりあえずそれで払うんですよね。それでしょうがないわって、毎月ローンを払うわけ。なんでかって、他に収入がないからね。そうすると今度、70になって、貯金がどうなります。
残間 ない。
大垣 うん。
残間 減ってる。
大垣 でしょう? そのとき本当に2000万円もあるかどうかですよ。
鈴木 ない。
残間 ない、きっと。
大垣 だって、60から70まで貯金する余地がないよね。
鈴木 払う一方で。
大垣 うん、で、貯金は減る一方。この間でも問題が起きないんです、みんな払ってるから。
残間 うん。
大垣 で、お金はなんか、前聞いてたよりもっとないっていう状態になってるけど、もうローンがないので、怒りをぶつける先も全然ないじゃないですか。60ぐらいでローンどうしてくれるっていうと、まだ払わないって抵抗できるんですけど、スッキリ返しちゃった人たちなので、銀行的には「どうもありがとうございました」っていうので。
鈴木 一件落着に。
大垣 土地もあって、皆さん。
残間 どうぞそこで。
大垣 でも、それって、財布の中には150円しか入ってないんだけど、山を三つ持ってるおばあさんみたいな。分かります? 明日のラーメンは食べられないんだけど、山は三つあるんだよね、売れば3億なんだけど売れないよね、みたいな。そういう状態。
残間 そうだよ、そうなるね。
鈴木 どうしたらいいんでしょう?
大垣 なので、今年そういう方々への情報サービスを始めることにしたんですけど、簡単にいうと、今53、4ぐらいの方だったら、早ければすぐ。それから、もう2、3年待てば、住宅金融支援機構の扱っているリバース60っていうものをいろんな金融機関が扱ってるんですけど、それで、住宅ローンの借り換えができるんです。借り換えると、ほとんどの方が、9万円返してたのが3万円以下になります。
鈴木 そんなに?
大垣 ものすごく下がります。それに早く変えちゃってくださいってことです。変えられるようにしてありますので。ただ、難しいんです。これって、住んでる家の価値の半分ぐらいしか貸してくれないので、ローンの残高が、住んでいる家と土地の価値の半分ぐらいまで減ったところでしかできないんです。
鈴木 ある程度返してからじゃないと。
残間 だいぶ返されてます、50代になれば。それがいつくるかっていうのは、人によって変わるんですけど、家も減っていくし、ローンも減っていくので、小学校の、追いつき算みたいな感じで。追いつき算ってあったでしょう。
残間 あった。何に使うんだこんなものって思ってたけど。
大垣 それが、ネットでピピってやるといつ頃っていうのが出るようなやつを作ろうと思って。計算はできたんですね。それで、ネットで見られるように、今年、今作りこんでます。
鈴木 何月ぐらいに見られるんですか。
大垣 12月ぐらいまで。
残間 へえ。
大垣 今作ってるんですけど、もっといろんなことができるようなやつを作ったんですけど、とりあえずそれになんですけど。きょう聞いてらっしゃる方で、胸に手を当てて、俺はその口かもって思われる方は、絶対に住宅ローンを、60より後に返し続けないでください。かなりの方は、リバースモーゲージに変えてしまって、元本を返すことをストップできます。だからと言って、返せないわけじゃないので、お金に余裕ができたら返していけばいいし、場合によっては子供に、ローンと家をセットで贈与すれば、税金が一銭もかからないので。
残間 ふーん。
大垣 全部返しちゃってから家を相続させると、バカみたいなんですけど、相続税がかかるんですけど、ローンがあるうちに、ローンと一緒に売れば、差し引きゼロのものを渡してるので、贈与税がかからないわけですよね。そういうふうに、お子さんが一人しかいらっしゃらなければ、どっちが持っていても同じなので、それなら今売っちゃって、で、一家でみんなで返すとか、いろいろできるので。
残間 やっぱり知識がないとダメだね。
大垣 とりあえず、毎月返し続けるっていうのを一旦止めるってことを考えておいてください。
残間 なるほど。きょうはものすごい得な。お金の。
鈴木 聞いて得する、大人ライフアカデミー、ありがとうございました。
残間 こういうのさ、一回じゃ分かんないから、また折々。
大垣 何回も言おうと思うんですけど、これはものすごく大事なことなので。年金をもらうより大事。