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先物取引きって何?

鈴木 きょうは。

大垣 先物がまた出てくるかもしれないけど、意外と先物って、漠然と分かってるつもりで分かってなくないですか?

残間 分からない。

大垣 何かしらっていう。

鈴木 危険な感じがしますけど。

大垣 そうそう、そのぐらいで終わってません? きょうは、先物が何かっていうのをやってみましょうかね。なんでもいいんです、本当になんでもいいんですけどね。小豆にしましょうか。小豆が今100円だとしますよね。3ヶ月後に小豆の値段が結構変わるとしましょうか。そうすると、200円になったり50円になったりしますよね。それで、小豆を3ヶ月後に買うっていうことをしますと。

残間 先に? いくらになろうが?

大垣 うん。今、100円なので、3ヶ月後は結構小豆動いてます。3ヶ月後の小豆の値段を今決めたいと。いくらにしたらいいでしょう。っていう話。

残間 うーんと。3ヶ月後?

大垣 倍になるかもしれないし、半分になるかもしれない。

残間 それは、その値段を買うのね。

大垣 その値段を決めないっていうときに、いくらだと正しいかっていうところから始めると。

残間 ええ、そんなのあるの。

大垣 簡単で、100円にちょっと乗せたぐらいで大丈夫。なんでかっていうと、そういうふうにして、残間さんに小豆を売ることを決めた大垣は、今もう、100円で小豆を買っちゃって、家に置いとくわけ。それで、残間さんに売れば、100円で売れますよね。元々は先物ってそういうもので、そういうことをやってくれる人がいると、3ヶ月後に小豆を買わないといけない人は、今、値段を決めて、3ヶ月後に備えることができる。小豆だとあんまり分からないかもしれませんけど、ドルだと結構分かりません? 例えば、3ヶ月後にドルで払ってもらえる人がいるとしますよね。あるいは、ドルで払わないといけないとしましょうか。輸入してる人が。そうすると、ドルがいくらになるか分からないじゃないですか。そうすると、それを今決めてもらわないと、仕入れはきょうしちゃってるので。そういうニーズが増えてくると、これ、日本人が一番最初に考えたんです。1600年代に、堂島のコメ回収っていうところで、お米の値段を決めるっていうので、世界で初めてそれが始まったのは日本なんですけど、そういうところで、やりだすんですけど。今みたいに本当に小豆が欲しい人っていう場合は今みたいな感じでやればいいわけなんだけど、だんだん、頭のいい人が何を考えるかっていうと、きょう残間さんに契約をして、先で上がるよねって思っている人もいたり、いなかったり。それから、残間さん的には、小豆は実は鈴木さんから買うんで、別に大垣から小豆を欲しいわけじゃないと。大垣と小豆を買う契約をするんじゃダメだっていうときに、小豆が120円に上がったら20円だけもらいたいと思う。

残間 普通はね。

大垣 でも、80円に下がったら、20円私にくれるのでいいことにしたかったらどうすればいいかっていうと、ここからちょっと難しくなりますからね。きょう3ヶ月後に100円で買うっていう契約をするわけ。きょうね。きょう、3ヶ月後に100円で買う。それから同時に、3ヶ月後にそのときの値段で小豆を売るっていう契約を今しとくわけ。

残間 誰と? 同じ人と?

大垣 そう。そうすると、3ヶ月後に何が起こるかっていうと、100円で残間さんは僕から小豆を買いますよね。瞬間に、残間さんは僕に、その3ヶ月後の値段でその小豆を売り戻しますよね。そうすると、小豆はどうなります? 残間のところに行って。

残間 そっちに行くだけ。

大垣 小豆は消えるよね。

残間 元のところに戻るからね。

大垣 で、残間さんは100円払うよね。僕は120円払わないといけないですよね。その日の値段でって決めてるから。

残間 その日が120円になるの?

大垣 なってたら。80円だったら80円にしかならない。

残間 じゃあ、20円儲かるわけだ。

大垣 そうすると、残間さんは100円を払って、120円になってたときは大垣から120円払うし、80円になってたら大垣から80円しかもらえないから、結果的に20円上がったら20円儲かるし、20円下がったら20円損するっていう契約になるでしょう。そうすると、売り買いを二つ組み合わせるっていうことをすることが出てきたわけ。

残間 どういうこと?

大垣 今言ったじゃん。

鈴木 小豆は必要ないと。

大垣 そうすると、小豆は動かないから、小豆はいらないでしょう。

残間 いらない。

大垣 そうすると、小豆いらねえじゃんって気がつくと、そうすると、これなんでもいいじゃんっていう話になって、とにかくなんでもいいから値段の動いているもの。パラジウムとかって決めるわけ。何か知りませんけど、パラジウムはいくらだってやって、別段パラジウムはどうでもよくて、きょう3ヶ月後にパラジウムをきょう決めた値段で買うという契約と、3ヶ月後に買ったばかりのパラジウムを売り戻すんだけど、そのときの値段はそのときの価格ですよっていうのを、二つ組み合わせるっていうことさえしておけば、お金を動かすだけになりますよね。

残間 それ、3ヶ月なの。

大垣 いや、いつでもいいんです。それも決めるわけ。そうやって、売買を二つ組み合わせると、これってなんでもいいよねってなってくると、これってもはや、小豆の取引じゃなくて、単に金融の取引ですよね。お金の取引ですよね。そうなったものを先物っていうんです。残間さんは、大垣とそういうことをするときに1円もいらないでしょう。それで、3ヶ月後に20円儲かったり20円損したりしますよね。それって残間さんがきょうお金を借りてきて、で、小豆を買っといて、それで、3ヶ月経ったときに売って、お金を返すのと同じことでしょう。なんだけど、それをやろうと思ったら残間さんはお金を借りないといけないじゃないですか。同じことなんだけど、借りてまで小豆を買ってやるかって言われるとやらないでしょう。

残間 うん。

大垣 でも、きょうは残間さんは1円もいらないからと。3ヶ月後に小豆は上がるよねと。これだけぜんざいばっかり食ってるんだから上がりますよねって話になると、上がるわねって思うと、今やっちゃうときにお金がいらないでしょう、だからやっちゃうわけ。

残間 そうかあ。人の欲に上手に入ってくるね。

大垣 それで、そのときに、もうちょっとだけ仕掛けがあって、でも残間さん、下がるかもしれないから、20円払えるかどうか俺も心配だから、とりあえず今の所は100円だから全然損してないよね。だからいいんだけど、とりあえず、万が一のときに5円を払っておいて。それが小保金。それが、実は10円下がって90円になると、「残間さん、もう90円に下がっちゃったわ、ひと月も経ってないのに。悪いけど、すでに10円損失状態だから、もう5円払ってみて」と。

残間 えっ。

大垣 えって言うんだけど、だって、これから戻るかもしれないじゃんって言って、2ヶ月目に。

残間 いやって言えないの?

大垣 いやって言うとそこで終わるんです。だから、10円損して終わる。

残間 ひどい。

大垣 酷くないじゃん。そこで下がってるんだから。

残間 そうか。

大垣 要するに、小豆だろうがなんだろうが、なんでもいいって、そういうものになっちゃう。

残間 すごいね人って、そういうことまで考えるんだね。

大垣 で、世界で初めてそれを発明したのが日本人という話。

残間 米問屋。へえ。