JOQRテーマ一覧

三木義一先生(前・青山学院大学学長、現弁護士)と語る、コロナ渦で知っておきたい税金の知識

鈴木 今週は電話でゲストにご登場いただきます。前の青山学院大学学長で、現在は弁護士、大垣先生そして残間さんと大の仲良しの、三木義一先生です。お電話つながっています。三木先生、よろしくお願いします。

 

三木 よろしくお願いします。

 

一同 こんにちは。

 

残間 なんかおとなしい感じ。電話だと。

 

鈴木 今どちらにいらっしゃるんですか。

 

三木 今ね、滋賀の山奥。

 

残間 えっ、山奥なの?

 

大垣 山奥ってこともないんじゃないですか。

 

三木 湖のそばに。

 

残間 湖畔のそばじゃないの。

 

三木 湖畔まではいかないの。少し山側に来てるところ。

 

残間 それはお家があるって事でしょ。そこに。

 

大垣 そう、そう。

 

残間 じゃあ、多忙な東京の学長生活から、そちらのほうに行ったわけですね。

 

三木 そう。しかもね、ギリギリで。学長の任期が終わって、すぐにこちらに引っ越したでしょう。去年の年末に引っ越した。

 

残間 あらま、そうなんですか。

 

三木 結果的にすごいタイミング。

 

大垣 完璧ですよね。今のめんどくさい状況を全部回避なんだね。

 

三木 うん。予知能力があるのかもしれない。

 

大垣 (笑)。

 

鈴木 あらあら。

 

大垣 危険予知能力が。

 

鈴木 でも、本当にタイミングがばっちりですよね。

 

残間 でもそちらから見るとまた、色々全国が見えますでしょう。

 

三木 いやあ、見えますよ。だから、東京も大変だなあと本当に思いますね。

 

大垣 そういう中で、今日はせっかく、税の大家の先生なんで、色々と税の話なんですけどね。こないだちょっと、残間さんともお話ししてたんですけど、実は巣ごもり状態で。

 

鈴木 コロナ離婚っていいますよね。

 

大垣 はい。私も家の仕事をさせていただいてますよね。もう、売りたいっていうお話が本当に出てきちゃって。

 

鈴木 ええっ。

 

大垣 それでちょっと思いついたのが、いつも先生のおっしゃってる財産分与ね。この辺の所をまずは気をつけてねってあたりからちょっと。

 

残間 夫婦の間の財産分与?

 

三木 そうね、 世間の常識は税法の非常識になるんですよね。

 

鈴木 へえ。

 

三木 残間さんね、もし、今、相手と別れることになって、相手が、現金、預貯金1億円と、土地家屋1億円。この土地家屋は昔結婚した当初1000万円かけて、今、1億円ぐらいしてると仮にしましょうね。

 

残間 ええ。

 

三木 で、どちらでもいいから持っててと、財産分与で。こう言った時に「相手をさらに懲らしめよう」と思ったらどっちもらう?

 

残間 私ね、今先生がおっしゃった通りの、そのぐらいを夫に渡して別れたんですよ。

 

三木 あら。

 

大垣 それは懲らしめられた側だよね。

 

鈴木 逆?!

 

三木 渡しちゃったほうなの。

 

大垣 (笑)。

 

残間 そうなの。バブルの時代でしたけど、そのぐらいの金額、土地も家も預貯金も全部渡して別れたんですね。

 

大垣 あらあ。

 

三木 そう。

 

残間 そうなの。

 

三木 そのあと大丈夫だったの、渡しちゃって。買ったときはいくらだったの。

 

残間 買ったとき、家はね、1億6000万ぐらいだったけど、ローン払ってました。

 

三木 渡したときは?

 

残間 バブルだったからな。

 

大垣 もうちょっと高かったかもね。

 

残間 全部で2億円ちょっとですね。

 

大垣 だから、三木先生の質問は、そのときに、キャッシュを渡したほうが、いいか、残間さん的に、渡す側としたら、キャッシュ渡した方がいいか、家を渡した方がいいか。

 

残間 渡すのは、私は全部渡すんだけど、もらうんなら。

 

大垣 それは分かりましたけど(笑)。

 

残間 もらうんなら、後腐れないから現金がいい。

 

三木 ああ。

 

大垣 わたすならね。

 

三木 現金だと、渡す夫のほうも、別れる相手の方も、現金渡すだけだから、現金1億は現金1億だから、所詮、何の課税問題も、基本的に起きないわけ。

 

大垣 よくあるのは、お金持ってないからしょうがないから家をくれてやるっていう話なんですよね。

 

三木 ああ。

 

大垣 この場合どうかっていう話。

 

三木 そうすると、家を、もし家をもらっちゃうと、もらった残間さんの方は財産分与でもらうんだから、夫婦で食べた半分ぐらいをもらうのは、贈与にならないわけ。もらったほうがいいよってだけ。

 

大垣 これは、夫婦財産は共有だから。どっちの名義になってても構わないんですね。夫の名義でも、半分は奥様のものなので。

 

三木 でも、だいたい普通夫のもんだっていうんでしょう。

 

大垣 名義はね。

 

三木 で、残間さんに渡しますと。こういうふうになった場合に、もらった残間さんのほうは、いずれにしても財産分与だから、これは課税なし。渡したほうは、1億円の土地を渡したことで、財産分与の債務を帳消しにしたわけでしょ。

 

残間 ええ。

 

三木 だから、1億円で売ったということになるわけ。

 

残間 そうなんですよね。あとでだから税金来ましたよ。

 

三木 来た? やっぱり。

 

残間 翌年。すっからかんになったのに税金が来て、全部ないのにどうしようと思いましたもん。

 

三木 どうしたの? 普通はそこで困っていろいろ相談したり、いろいろ、すったもんだするんだけど。

 

残間 しょうがないから、色々工面して返しましたよ。

 

鈴木 あらあ。

 

残間 何で全部あげたのに来たんだろうって思って、びっくりしたの。

 

大垣 ちょうど1億6000万の家を2億で売ったってことだからね。

 

残間 1億6000万もしなかった。でも、バブルだったからね。

 

大垣 要するに、儲かっちゃったと。

 

鈴木 三木先生、旦那さんを懲らしめるためには、土地家屋をもらった方がいいってことなんですか?

 

三木 もらうと、旦那は譲渡したことになるから。

 

鈴木 ああ。

 

三木 だから、取得した時の価格よりも渡した時の時価が高ければ、その差額を旦那はそれで儲けたっていうことになっちゃう。

 

大垣 鈴木さんがすごいいいことを聞いたっていう顔をしてますよ。

 

鈴木 (笑)。

 

残間 離婚には理由があるでしょう。そうすると、なんか、裁判所がね、財産分与がいいか慰謝料がいいかって言ったんですよ。

 

三木 ああ、慰謝料は大したことない。あったとしても。

 

残間 で、私は「めんどくさいから何だっていいけど慰謝料でいいわよ」って啖呵切ったんですね。その女の判事が感じ悪かったから。

 

鈴木 (笑)。

 

残間 あんたに言われる筋合いないみたいに思ってたから。そしたら何が何だか分かんないけど、翌年税金が来たんですよ。

 

三木 慰謝料でそんな高額なものを渡せないよ。

 

残間 そうですよね。

 

三木 だから、財産分与なんだよ。

 

残間 なったんですね、結局ね。

 

三木 財産分与として処理して、だけど、残間さんのほうがそれで債務を帳消しにしたって、こんな理屈なんだよ。

 

残間 そうなんですね。

 

三木 ちょっとおかしいんだよな、これな。その場合はもらったほうが、まんまもらっても、財産分与だからといって贈与課税から外されます。

 

大垣 これ、先生、そういう方もいるんだけど、大体はもう、けったくそ悪いからどっちも住みたくないわって話になっちゃって。

 

三木 うんうん。

 

大垣 そうなると両方で売られるとなるとこれまた別の話になるわけですよね。

 

三木 両方で売るっていうのはどういう状況?

 

大垣 すなわち、二人で共有してる。

 

残間 第三者にね。

 

大垣 そういうことをしちゃうとこれは両方にかかっちゃうわけ?

 

三木 いやいや、旦那も、家を旦那が売っちゃって、お金に変えて、で、お金を奥さんに渡す。

 

大垣 そうか、その順番っていうふうに考えてもらえるから大丈夫なんですね。

 

三木 そういうことになるね。

 

鈴木 三木先生、この後もお話を伺っていきたいと思いますので。

 

残間 なんか切実なる声をしている鈴木さん。もっと聞きたいみたいです。

 

鈴木 よろしくお願いします。我が家は共有名義なんですけどね、はい。あの、この後もよろしくお願いします。

 

残間 (笑)。

 

  • 大人ライフアカデミー2020

鈴木 今週は、前の青山学院大学学長、現在は弁護士、残間さん、大垣さんの大の仲良し、三木義一先生と電話がつながっています。三木先生、引き続きよろしくお願いします。

 

三木 はい、よろしく。

 

大垣 今度は、もう一つ質問が来てるんですけどね、先生。

 

三木 はいはい。

 

大垣 最近、在宅勤務でしたっけ。

 

三木 そうだね。テレワーク。

 

大垣 みんながテレワークって、たんに家にいるだけだって話もありますけど。

 

残間 することだんだんなくなってきてる。

 

大垣 結構素朴な疑問をいただいて、そうだよなと思ったんですけど、自分ちでやってるわけですから、会社のために自分の家を提供しているわけですよね。

 

残間 うん。

 

大垣 それから、光熱費も使ってますよね。こういうの、経費で落ちないんですかっていうことなんですけど。

 

三木 いいこと言ってくれるね、面白い論点でね。

 

鈴木 確かに。

 

残間 そうかあ。

 

三木 でも、同時に、通勤手当もらえなくなるよね。

 

残間 電車賃も出ない。

 

大垣 そうですね。だから、だんだん、働いてないやつは通勤代が浮くからもう来ないでいいって話なんじゃないかって最近噂になってますよね。

 

三木 僕も、テレワークが増えてきて、企業が通勤手当をどうするのかなってちょっと、考えていたんですけどね。今、通勤手当って、課税されてましたっけ。

 

大垣 15万円までは非課税とかそんなじゃなかったでしたっけ。

 

三木 さすが。そういうことよく知ってるね。

 

大垣 細かいことはよく知ってるんですよ、私は。

 

三木 元々、通勤して、所得税の対象になってたかっていうと、課税されてたか、非課税だったかっていうと、通勤手当が非課税になったのはねいつだと思う? 僕にとってはつい最近なんだけど。

 

大垣 じゃあ、70年代。

 

三木 えっ? 70年代?

 

大垣 (笑)。

 

三木 昭和41年。

 

大垣 じゃあ、似たようなもんじゃん。65年、66年か。

 

三木 いや、●の開通で、初めて非課税になった。

 

大垣 そうなんですね。そのあとバブルになって、新幹線通勤でた時に、非課税の枠内でやってね、みたいな議論ありましたよね。

 

三木 そう、その枠を超えると課税されるっていう問題もいろいろあり。それ以前は会社が従業員に、通勤手当ね。定期を現物で渡すと、その陰で非課税になってた。そうじゃないと課税される。今は一応、15万円までは通勤手当などは非課税ってことになってるんだけど、考え方としては、原則課税だよと。

 

大垣 なるほど。

 

三木 でも、例外的に15万円までだったらやむを得ないっていうことで、非課税にしましょうと、こういう主張なのね。

 

大垣 そうすると、自分の家を使わせてあげてて、在宅手当ってもらったとすると、自分ち使わせたとこは費用で落ちないのに、もらった在宅手当は課税になっちゃうんですか。

 

三木 もらった在宅手当と、厳密にいうと、使ってる部分の減価償却費とか、そういうのは費用として落ちていくと。

 

大垣 これはいいんですか。でも、給与所得取るための経費なんだけど、そんなの落としていいんだっけ。

 

三木 だから、もう、まさに、理論的にいうとものすごい難しい問題です。

 

大垣 (笑)。

 

三木 と思います。

 

大垣 でも、よく考えてみると、そうすると、在宅手当も通勤手当の代替物だっていうことになってくると、15万円ぐらいまではもらっても非課税っていうことでいいんですかね。

 

残間 そんなにかからないよ。

 

大垣 そんなになりそうにないね、でも感覚的には。

 

残間 机がちょっとあってさ、そこにいて、トイレットペーパーが随分不足するって随分、最近私の女友達が。旦那が家にいるおかげでトイレットペーパーがなくなるっていう程度だよ。

 

三木 (笑)。

 

大垣 でも慰謝料もらわないと、こんな面倒くさいのが家にいやがってとか思ってらっしゃらないですか。

 

残間 それはそうだけどしょうがないじゃない。だって、公認してるんだから。

 

大垣 迷惑料みたいな感じ。

 

残間 それはしょうがないじゃない。帰ってこないの前提に結婚してないもん。

 

三木 迷惑料、というほど精神的なことだと、生活上のコストだよね。

 

残間 そしたら別れればいい。

 

三木 会社の所得を得るためのコストとはちょっと違う。

 

残間 違うよね、個人だもん。

 

三木 でしょうなあ。

 

残間 嫌なら捨てればいいんだから。

 

大垣 でも、これ意外とまだあんまり、プロの方も考えてなかった問題なんじゃないでしょうかね。

 

三木 そうですね、新しい問題ですよね。

 

大垣 在宅手当、いつまで。

 

三木 実際、制度を変えていくときに、今、大垣さんが言っていたことを、どういうふうに整理して、制度化するかって、それは議論しなきゃいけないでしょうね。

 

鈴木 それでは三木先生、この後のコーナーも引き続きご登場いただきますのでよろしくお願いします。

 

三木 そうですか。はい、よろしく。

 

鈴木 引き続き弁護士の三木義一先生にお話を伺っていきます。大垣さん、続いてはどんな。

 

大垣 せっかくですので、私からこんなしょうもない質問ばっかりしてるんですけど。

 

鈴木 いえいえ。

 

大垣 先生は税の大家でいらっしゃるから、こういうコロナのとき、先生の。

 

残間 ご見解を。

 

大垣 ぜひお伺いしたいなと思いますけど。

 

残間 一律10万円だの、最初の頃30万だのいろんなこと言ってましたが。

 

大垣 あれも一回ね、税金かかるなんて話がありましたもんね。

 

三木 あの30万円っていうのは確かにおかしいんだよね。基準が非常に不明確で、本来助けてあげなきゃいけない自動車も、大変実は漏れてたっていう。漏れちゃうっていうね。あれも非常におかしかった。

 

残間 うん。

 

三木 じゃあ、今度はそれに対して一律10万円にしたっていうのは、まだはっきりするんだけど、僕らからすると、そんなの課税上でやればいいので。

 

大垣 なるほど。

 

三木 高額所得者にはちゃんと税金で、後で返してくれればいいというふうにすればいいし。政府がそういうふうに決めたら、マイナンバーがあるんだから。あのときの考え方は、災害とかそういう時のために、国民の利便に資するためにこの番号を入れるっていうことにしたんだよ。ところが、そのあとすぐ民主党さんが崩壊して、自民党さんになって。

 

大垣 でも、あまつさえスマホでどこにいるか政府が全部把握できるようにしようなんて議論で、ちょっとこの際個人情報が色々漏れちゃうんじゃないかとみなさん不安に思ってるから。

 

三木 そういうことを、それは分かる。そういう懸念をする人たちもいっぱいいるしね、もちろんわかるんだけど、そういうことも重視してきたから結局できなかった、何も。

 

残間 学生も今困ってますよね。

 

三木 大変みたいだね。下宿代は払えない、家に帰っちゃいけないって言われるし。

 

三木 そうそう。

 

残間 実家に帰っちゃいけない。

 

三木 だから、学生たちが一番今、どうしていいか分かんない状況だと思いますね。それは僕なんかも、Zoomを使って、在宅で青学出身の人何人かと、それから原さんとかも巻き込んで、1分間メッセージを作って。

 

大垣 でも先生、早く逃げてよかったですよ。僕ら今、ずっと授業録画の毎日だもん。

 

三木 ああ。大変だよね。

 

大垣 もう大変。

 

三木 あれは録画すると大変だよね。

 

大垣 もう、何もかもオンラインでやってるとね、作ってるほうこんなに大変なんだから、聞いてるほう一日中こんなん見てて大丈夫かなと思いますけどね。

 

残間 聞いてないよきっと。

 

三木 大変だよ。画像っていうのはそんなに長い時間見られないよ。

 

大垣 ねえ。だから、先生ラッキーだったですよ。今はもう先生方も大変になって。

 

残間 そういうふうにあんた。

 

大垣 (笑)。

 

残間 先生がいてくださったらまたもっと違う局面になったって言いなさい。

 

大垣 すいません。

 

三木 (笑)。

 

鈴木 本当にまだまだ伺いたいことがあるんですけどね。

 

残間 またね。

 

鈴木 お時間になってしまったんです。

 

残間 また先生ときどき出てね。

 

三木 いろいろどうなるかっていうのもまたそのうち個別に相談したり、アドバイスされてみたり。

 

大垣 コロナ終わったらもうぜひスタジオへ来ていただいて、またお話しいただければと思います。

 

残間 帰りに一杯やりましょう。

 

鈴木 (笑)。

 

三木 期待してます。

 

鈴木 今週は前の青山学院大学学長で、弁護士の三木義一さんに電話でお話を伺いました。人生100年時代研究所でした 。