泉賢一さん(ミャンマー住宅開発インフラ銀行COO)とミャンマーを語る
鈴木 それでは早速、泉賢一さんに電話をつないでみます。泉さん、よろしくお願いします。
泉 よろしくお願いします。
残間 こんにちは。今、泉さんはどこに。
大垣 ご自宅ですよね。
残間 日本?
泉 ええ、日本で、WORKING from Homeです。
大垣 この間お伺いしたら、もう毎日何時間もやられてるんですよね、ネットで。
鈴木 そうなんですね。
泉 くしくも、もともと●(00:00:31)やるっていうことを想定してなかったんで、選択の余地なしで、全員がもう慣れてしまいましたね。
鈴木 慣れざるを得なかったっていう感じなんですかね。
泉 そうですね。
残間 でも、ちょっとこういうコロナ渦の前に、日本に帰っていらしてたの。
大垣 ギリギリでしたよね。
泉 ええ、ギリギリ。明日から飛行機が飛ばなくなるよっていう噂で、急遽帰ってきたんです。
残間 すごいスリリング。
鈴木 いつ頃のことですか、それは。
泉 3月29日ですね。
鈴木 じゃあ、まさに。
大垣 だって、ミャンマーってその1、2カ月前なんかもう全然出てなくて、日本駄目じゃんみたいなこと言ってたんだもんね。
泉 そうです。
大垣 それはおかしいんじゃないですかとか言ってたんだけど。
泉 患者の数は増えてるんですkが、それでもまだ300人いってないんです。
大垣 そうですか。
泉 亡くなられた方も6名でね。原因が不明で亡くなる方の中にはもしかしたらはいるかも分かりませんけど、一応公式に発表されてるデータではこんな感じになって。日本の100分の1の規模ですかね。
大垣 そうですか。
泉 人口は日本の半分ですけどそれから考えるとまあまあきちっとやってるんじゃないかなというイメージはありますね。
鈴木 泉賢一さんについてちょっとごくごく簡単にあのプロフィールをご案内します。太陽神戸三井銀行に入行されました。現在の三井住友銀行ですね。国内の中小企業営業を中心にキャリアを重ねてこられ、2013年にミャンマー担当に指名されます。2011年から民主化がスタートしたミャンマー政府が金融の仕組みを整えるため、三井住友銀行に信用保証制度の仕組み作りを依頼したのがきっかけ。でも、泉さんは海外経験は研修で行った中国だけだった、英語もそれほど得意なほうではなかったと伺っておりますが。
泉 そうですね。それほどというか、ほとんどできなかったですね。
大垣 でも、向こうの人も英語喋んないから、いいようなもんだよね。
残間 こちらで、大垣さんといろいろ話をしてると、ミャンマーは本当に素晴らしいって言ったかと思うと本当大変だって言ってたんですが、ある時から後任の素晴らしい人が来たんで、これでやっと少し行かないで済むっていう感じの話をしていたんですが、それが泉さんなんですが、どうですか、いらしてみて。
泉 大変ですよ。
残間 こちらで色々聞いてたことと、実際に行ってみたものでは全く違いましたか。
泉 大垣先生から、ご依頼をいただくまで、相当の年数がいましたので、だいたいイメージは掴んでいたんですけれども、やはり今働いてる近郊で外国人が私だけなんです。やっぱりそこが難しいですね。いろいろと考えることがあってもなかなか実現できないということがあったりとか。文化は比較的日本に似通っているんだけども、なかなか難しいですね。
残間 経済は停滞しているし、銀行そのものが機能してませんよね。大体なんか、担保がないとダメなんでしょう。
大垣 担保っていうかね。担保を取ったらいいかっていうと、その担保って何みたいな感じだもんね。
泉 そうですね。
大垣 私がいった時は、「先生、住宅ローンというのは抵当権というのを付けるということを習いましたので、抵当権をつけました」って、「そうか」って。それで、「お前たち、返さなくなった時はどうやって実行するんだ」って聞いたら、「えっ?」って言うから。だって、抵当権が実行できないとまずいだろうとかっていうと、「それはそんな制度はない」とか言われて。じゃあ、抵当権使えないじゃん、駄目じゃんみたいなね。今も、住宅ローンは抵当権を実行するわけじゃないもんね。
泉 違います。
大垣 すごいややこしいことをやらないといけないんだよね。
泉 もう、信用貸しに近いですね。
残間 でも、信用をお互いに持つっていうのはね。
大垣 っていうか、まだあれでしょう、6割ぐらいの方の家には電気通ってませんもんね。
泉 半分。
大垣 わたしがやり出した頃は6割って言われた。だいぶ、それでも半分ですもんね。そこに住宅ローンだからね。なんていうかものすごい距離感っていうか。
残間 山がいくつもあるね。
大垣 っていうのをやりなさいっていうので、泉さんは頑張ってるわけ。
残間 そもそも、ミャンマーで経済界国支援というか中小企業融資の制度化を目指してねって大垣さんは。
大垣 それも、全部お膳立てがあってそこにスペシャリストが入ってやっていただきますになってないわけですよ。
残間 御膳っていうか。
大垣 両方の政府にも随分もみくちゃにされるところがありますもんね。
泉 考えようによっては、ある意味、何もないわけですから失敗もないわけで。
大垣 それはそうだ。
泉 やりたいようにやらせていただく。
残間 泉さんみたいにおおらかな性格じゃないと無理でしょうね。
泉 いやいや。
残間 良かったね、泉さんになって。
鈴木 まだまだお話を伺っていきます。音楽を挟んでこの後もよろしくお願いします。
鈴木 引き続き、ミャンマー住宅開発インフラ銀行のCOO、泉賢一さんと電話を繋いで参ります。泉さん、引き続きよろしくお願いします。
泉 よろしくお願いします。
大垣 僕、泉さんがすごいなって思うのは、僕も、ヤンゴンっていう、首都じゃないんですが、大きい街。ここから積極的に外に行こうっていう勇気があんまり。
残間 外とは?
大垣 町の外。
残間 街の外にお客さんが。
大垣 っていうか、そこへ行こうと思わなかったんだけどあんまり。
残間 なんで?
大垣 泉さんがすごいなと思うのは、ミャンマー中どんどんと動いてられますよね。お店にも行かれているし。これってやっぱり結構勇気のいる事だと思うんですよね。ミャンマーって地域に行くとどんなとこっていうのを是非教えて欲しい。
泉 縦に長い国で、北のほうに行けば行こうと山が高くなっていくんですけれども、標高3000Mくらいまであります。
残間 高地ですね。
泉 ミャンマーって非常に、亜熱帯で熱いっていうイメージがありますが、北のほうに行くと凍えるぐらい寒くて。そういうところもあります。観光資源も非常に多い国なんですが、点々としてその間の道路とかインフラが全く駄目なので、たくさんあるんですけども1日でとても回りきれないということで、皆さんがミャンマーに何回も何回も来ていただかないと本当の良さがなかなかわかりにくい。
大垣 飛行機で行かないと、車で5時間も走ったら体がガタガタになるとかってみんな。
残間 デコボコ道なの?
泉 デコボコ道ですね。崖とか結構あります。だいたい平均で車で移動すると5時間とか、最大で12時間以上かかります。1件のお客さん行くのにね。
鈴木 半日がかりですね。
泉 そういうところに行かないと街がないんですよ。
大垣 そこでまた現地のものをお食べになりますでしょう。
泉 そうですね。
大垣 あれは勇気いりますよね。
泉 勇気いりますけど、当然お腹も壊しますよ。
大垣 良くおっしゃってましたよね、痛さが尋常じゃないとかって。
泉 そうですね。使ってる薬があるのでそれを飲めば大体収まると。
残間 それは、食べないとお腹も空くってのもありましょうが、食べないとやっぱりお互いの気心知れないとかそういう感じなんですか。
泉 いい質問です、そういうことなんです。ミャンマーって、日本語だとお元気ですかとか、英語ではHow are youって言いますが、ミャンマーでは「ご飯食べましたか」っていうのが挨拶なんですね。だから、ミャンマー語でいうと、タミン サ― ピービーラーって言うんですけれども、これは直訳すると、ご飯食べた? と。もちろん、ご飯食べたかって言うことを聞くんですけれども、ご飯食べられないほど元気じゃないかどうかっていうのを聞いてるんです。
大垣 でも、元気だって言うと、食え食えって言われちゃう。
鈴木 具体的にどんなものを召し上がるんですか。
泉 麺類、ご飯類が多いですね。麺類は、米粉の麺があって、スープはナマズのダシガラからとった。でも、そんなに臭くないですよ。
残間 知ってます、わたしもナマズのお刺身。
泉 そうですか。白身魚でね。あと、米の消費も非常に多いので、米は食べます。
残間 なんでそれでお腹を壊すの?
大垣 日本人の外米とはちょっと違いますよね。日本のお米に似てますよね、割と。
泉 日本と外米の中間ぐらいですね。
残間 なんでそんな炭水化物でお腹を壊すの?
泉 炭水化物じゃないんです。食材の食器が衛生的ではないとかがたまにあったりとか。
残間 お水はどうなんですか?
泉 水は当然、生水は絶対に駄目ですね。
大垣 確実にダメですね。
泉 だから、水はたくさん売ってますし、水を(00:10:31)中小企業っていのは数え切れないぐらいありますね。
残間 なんで、この仕事を受ける前からいらしたっていうのは、どうして?
大垣 その前は銀行のお仕事で。
泉 銀行のミッションで、たまたまやって欲しいと言われて、1年ぐらいで終わるかなと思っていたんですけど、後任がいなくて、そのままグズグズとやっているうちに、銀行の本部から忘れられて。
大垣 誰も行きたくないからな。なんて話が、お互い耳をそばだてている大垣さんが聞きつけてですね。ちょうど非常に大きな中小企業向けのお仕事がひと段落つかれたときだったんですよね。
残間 で、大垣さんは、この人だ、と。泉さん以外にいないと。
鈴木 どんなふうに口説き落としたんですか。
大垣 わたしはあんまり、もう、くるよね、みたいな感じでお話ししてたんじゃないかしら。
泉 (笑)。
残間 最初に大垣さんに会ったときは、どんな印象でしたの?
泉 大学の教授をやられていると聞いていたので、どんな方が来られるのかと思ったんですが、多分先生あんまされてなくて、スカーフみたいなのを、お洒落な方だなと思って、こういう方が大学の先生なのかという感じで。
大垣 ちょっと違う。
残間 大学の先生の中では異色ですけどね。
泉 この方のおっしゃることだったら100パーセント信用できるだろうということで。
大垣 でも、ちょっと騙されたと思ってらっしゃるでしょう、今。
泉 (笑)。いえいえ。
残間 大垣さんに睨まれたらというか、目をつけられたら。だって滅多に大垣さん、「この人だ」と思いませんもの。やっぱり泉さん、この人だと思われたんですよ。
泉 まあタイミング、これもご縁だと思いますけど、たまたま重なっただけだと私は思っているんですよね。
残間 ご家族いらっしゃるんでしょう。留守宅は寂しいですね、泉さんがいないと。
泉 まあ、寂しいんでしょうかね。
残間 ご家族はミャンマーに行ったんですか。
泉 何回も来てます。20回ぐらい。
鈴木 理解があって。
大垣 ちょっと気楽にいけますもんね、割と。
泉 そうですね。雨季さえ外していただければ非常にいいところですね。
大垣 雨季はとんでもないことになるんですよね。
泉 今、ちょうど雨季に入り始めたところなので。
大垣 銀行のビルの向かいに、弁護士さんとか入られているビルがあるじゃないですか。そこで用事があるからって言って、そんなもん30 Mぐらいじゃないですか。車出すとかって言われて、いいよって言って、いいんですかって言うから。わたしもこういう感じで「行く」とか言うからみんなも止められなくなって行ったんですけど、帰りは川だもんね。30センチぐらい水に浸かってて、あっという間に冠水するんです。
鈴木 そんな自然の中を生き抜いて、泉さんしっかりとお仕事されているということで、まだまだお話伺いたいんですけれども泉さん、ラジオをお聞きの方に最後に是非これだけは伝えたいということがありましたらお願いします。
泉 いろんな国とか国際機関がこぞって支援をしている国なんですが、一般的にはラストフロンティアというふうに言われていて、発展は一緒に楽しみな国なんですけども。いかんせん50年間ずっと鎖国状態だったので国民がお金をどうやって使っていくかっていうのを、なかなか理解がしない。たくさんお金を貸してあげたりとか、あげるということが必ずしもミャンマーの人の幸せには繋がらないと僕は思うんですね。お金と僕らみたいな人をキチッと、アサインの人じゃなくて、一緒にやっていくっていうことがないとなかなか難しいのかなという気はしまして。
大垣 本当にそうです。僕らと似てる国民も珍しいですよね。
泉 本当にそうです。
残間 それ、大垣さんずっと言ってましたね。
大垣 だから、行くと本当に、この人たちのためになんかしてあげたいって思える国なんです。
泉 そうですね。
残間 言葉も、構文は結構日本のものに似てるんでしょう。
大垣 難しいけど、そうなんです。
泉 似てますね。
残間 ほんと大変でしょうけど、ぜひ頑張っていただきたいですね。
大垣 とりあえず、日本で英気を養って頂いて、本当にご健康に気をつけてください。
泉 はい。
大垣 またご一緒にお仕事できることを楽しみしております。
泉 よろしくお願いします。
残間 わたしもミャンマーに行ける時はぜひお会いしたいです。
鈴木 乾季にぜひお邪魔したいと思います。
泉 ガイドブックに載っていないところをご案内いたします。
鈴木 ありがとうございます。きょうはどうもありがとうございました。
一同 ありがとうございました。
鈴木 ミャンマー住宅開発インフラ銀行のCOO、泉賢一さんと電話を繋ぎました。