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金とプラチナの専門家・森田隆大さんと、これからの金投資を語る

2020年9月19日の放送は、ゲストに森田隆大さんを迎えてのスペシャル放送。ムーディーズ、ワールドゴールドカウンシルなどの世界を代表する企業を経た、日本を代表する「金とプラチナの専門家」です。放送では、コロナを経験した世界が、どう金投資を考えているのか、その動向を伺いました。

●大人の花道
鈴木 それではさっそく森田隆大さんに電話をつなぎます。森田さん、おはようございます。

森田 おはようございます。

残間 ずっと前なんですね。私、最近会ったような気がしていて。

森田 もう3年経っているんですね。

残間 そうなんですよね。印象が深いお話だったので。しかも、最近金がまた話題になると大垣さんが森田さんの話をなさるので、そうかと思ってたんですが。今日はまたその話を。

鈴木 よろしくお願いいたします。森田隆大きさんのプロフィール、簡単にご紹介いたします。ニューヨーク大学経営大学院にてMBA取得。ファーストシカゴ銀行を経てムーディーズインベスターズサービスで格付けアナリストとして活躍。2010年ワールドゴールドカウンシルに入社。翌年、日本代表に就任。2016年、森田アソシエイツを設立。ワールドゴールドカウンシル顧問を兼務。日本を代表する金とプラチナの専門家でいらっしゃいます。

残間 ということで。大垣さんとはなんだっけ、ニューヨーク時代?

大垣 ムーディーって言っても、ムーディって何? っていう時代からムーディですもんね、森田さんは。

森田 そうですね。格付けっていう言葉がまだ日本には普及していなかった時代でしたから。

大垣 私も、証券化って何? っていう時代からお付き合いがあって。あの頃はマイノリティだったんですよね、二人して。

森田 そうですね。

残間 でも、どういうところで出会うの?

大垣 なんで出会ったんですかね、森田さんと。

森田 私は約30年前にニューヨークにいて、多分大垣さんもいろんな形でニューヨークに来てたりあるいは仕事されてたりっていうことで。

大垣 僕は証券化っていうと格付けを取りに行くんですね。自分で作ったものに。それでムーディってとこに必ず行くんですけど。それからもう一つは銀行がバブルのあと具合悪くなってて、その頃、お前格付けの人とよく付き合ってるらしいなって言うんで、うちの銀行は大丈夫ですって言いにいく役をやってたことがあって。校内で嘘つき大垣って言われてたんですけど(笑)。

残間 それで、森田さんのところに。

大垣 森田さんはもう本当に大重鎮っていうか、日本の会社はもう森田だっていうぐらい有名な方だったんで、そのときお会いしたんだと思うんですけどね。それにしても金がまた頑張ってますね。

森田 そうですね。最高位は更新しているんですけど、実は前回は2011年なんですね、ピークっていうのは。そのピークを作ったのは実はリーマンショックがあってその時に実は逃避資金って言いますか、マーケットが荒れたので、とにかく安定したところに資金を逃すっていうことで、たくさん金が入って来て何年かかけて最高値を作ったんですけど。今回は、急な出来事で。やっぱりコロナもあって投資環境が不安定になって来てますので、いろんな投資リスクを上手にヘッジできるように投資家が注目したっていうことが原因してるっていうふうに考えています。

残間 森田さんはそういうときにどういう役割を果たすんですか。森田さんが金塊を山ほど持っているわけじゃないんでしょう。

大垣 (笑)。

森田 私は、あえて実は金を持っていないんですね。というのもやはり、事前に情報をいただく、特に私が顧問をやっているワールドゴールドカウンシルっていうのは、四半期の受給情報を出しているので、事前に知る立場にあるんです。

残間 インサイダーになるんだ。

森田 私のほうは、金を正しく理解していただくっていうことで、世の中に情報を提供させていただいているんです。これは、個人投資家も含めて、機関投資家にもそういうような情報を提供しています。

大垣 この、金のお仕事を始められたときって、けして金がいいときじゃなかったですよね。

森田 私、最初はこの仕事を引き受けて、機関投資家のとこ行って、年金のスポンサーである上場企業の所行ったんですけど。「いやこんな怪しい仕事を引き受けるなんて考えられない」って言われましたから。そういう時代でした。

大垣 そうですよね。

残間 でも今はね。今やみんな金だっていうもんね。

森田 でもですね、実は日本の金需要っていうのは、去年も今年の上半期もマイナスなんですよ。

残間 そうなんですか。

森田 世界では金、金っていうことで注目が集まっているんですけど、日本人って、金価格が上がると売りに行くんです。

残間 ふーん。

大垣 なるほど。

森田 替えもある程度はあるんですけど、やっぱり売りに行く人が多いので。ネットベースではマイナスになっているんです。

残間 実はわたし、先月、うちの中にある、貴金属ってものはないんですよ。でも、なんとなく、ふと森田さんの金の話を思い出して、家中にあったものを自分でいくのやだから、友達に頼んで売って来てもらった。

大垣 えっ。

残間 でもね、ほとんど、うちの母が24金だと思ってたものもみんなね金メッキに近かった。

森田 (笑)。

残間 でも、あれって、一目でわかる人わかるんですってね、匂いで。

森田 それはすごいですね。

残間 その人は、匂いだって言ってたらしいよ。

大垣 匂いがするんですか?

鈴木 金の?

残間 そういう、買い付けの大きい業者の人よ。

大垣 大きい業者かわからないんですけど、金って匂うんですか。

残間 うちの母は、父から、金のネックレスをもらったとかって後生大事にしてたものも金メッキだったわけ。

大垣 なんかなあ。

残間 私たちも24金だと思ってたのよ。

大垣 知らなきゃね、わからなかったのに。

森田 今は機械があって、すぐにわかるようになってます。

残間 やっぱりね。家に来てくれたから、その人。

大垣 昔は試金石とか言ってね、ナチ黒でしょう。

残間 ナチグロって何?

大垣 那智の滝の黒い石。それを使うんですよ。試金石って、金かどうか確かめるのにね。

残間 私たちは人生の試金石とかそういうので使いますけどね。

大垣 そうそう。

鈴木 森田さん、このあとも電話で伺いますので、よろしくお願いします。

残間 全然ちゃんとしてない(笑)。

鈴木 軌道修正していきますのでよろしくお願いします。

●大人ライフアカデミー2020
鈴木 引き続き、森田隆大さんに電話で伺います。宜しくお願いします。

森田 よろしくお願いします。

大垣 今ね、残間さんが、持ってた金のものを売りましたなんておっしゃってるんですけど、リスナーの方からすると、やっぱり金塊を買うっていうのはかなり例外的だとすると、普通の人から見ると金投資ってどういうふうにしてやったらいいのか。

森田 最近増えているのはETFっていう、上場投資信託。こちらがかなり伸びております。

大垣 これはでも、金を持ってるETFっていう投資信託みたいなものを買ってるわけだから、金を買ってるとは言い難いわけですよね。金の値動きで儲かったり儲からなかったりするってわけですよね。

森田 ただ、ETFっていうのは、裏付けとして金を買っていて、一定の条件を満たせば金と引き換えられる。

大垣 へえ。なるほど。

森田 そこで安心感がやっぱりあるんですね。

大垣 それはいいかもしれませんね。そうすると、売り買いは立ってるから、残間さんみたいに怪しいお店にサングラスをかけていかないでも、すぐに替えられるっていうことか。いくらから替えられるんですか。

森田 普通の株の取引と同じで、数千円から買えますので。

大垣 これはいいですね。ETFだから、要するにあんまり運用とかもやらないわけで。

残間 どこにあるの、買う場所は。

森田 普通に上場してますので、ほとんどの証券会社を通して取引ができます。

大垣 会社みたいなものが金だけを持っていて、その株を買っているような感じ。日本でも結構人気が出ているんですか。

森田 そうですね。ここ1、2年。日本で金の需要が上昇してから大体10年近く経つんですが、毎年伸びてまして、ここにきて特に伸びてます。

大垣 ETFっていうのは、入れちゃったら金と同じように動くだけで、ファンドマネージャーがうまいとこで売ったり買ったりするとかそういうことになってないから、手数料も休めっていうことですよね。

森田 そうです。しかも、ちょっと面白い話をすると、例えば自分の持っているETFを金に変えるっていう時に、実は宅急便でくるんです。

鈴木 ええっ。

森田 本当に気楽に金に変えることができます。

大垣 宅急便できていいのかな、金って。

森田 多分、保険を掛けてると思います(笑)。

残間 だけど、宅急便の表に金って書いてないでしょ。

森田 書いてないです。

大垣 書いてたらちょっとね。

残間 「きん」じゃなくて、「かね」って読む人もいるんじゃない、札束かと思ったりして。違う書き方をね。

大垣 逆にいうと、そういうのやらないと。なんとなく私、残間さんの話を伺って、結構叩かれてんじゃねえかみたいな。

森田 それもありますし、コロナの時代って言うと物理的に買いに行ったり売りに行ったりっていうのが難しくなりますよね。

鈴木 難しいですよね。

残間 マスクして家に来たって。

大垣 ああ。

残間 店に行かなかった。私は友達の家に行った。ある日の午前中。

森田 そうなんです。実は、今年上半期の、いわゆる地金とかコイン、金貨の売買の様子を見ると、先進国って全部3桁のプラスになってるんですね。対前年度比で。ところがそれ以外は全部二桁のマイナスなんです。その差は何かというと、先進国にはいわゆるEコマース。ネットで取引するインフラがあるから取引ができて、金を買いたいからすぐに変える。ところがそれ以外の国だと、買いたくても物理的に行けないので買えない。そういう状況もありますので、ETFっていうのは、一つ、今の時代に合った商品であるとは思います。

大垣 そうですね。

残間 ETFね。

大垣 上場投資信託っていう名前がついてるんですね。

残間 初めて聞く人も多いんじゃないかしら。

大垣 私なんか、森田さんに言ってなかったんですけど、ミャンマーの仕事をしてたんですね。あっちの人って、お金できると結構貧乏なくせして金を買うんですよ。

残間 中国の人も買いに行くよね。身体中に金をつけてる。

大垣 ミャンマーの人はそんなことしません(笑)。ちょっと違って、仏像のところに行って、そうすると、紐でコロコロッて顔が降りて来て、そこに買った金を入れるとでっかい仏像の上のほうまで行って、そこで貼ってくれる。買った金を仏像に貼ってくれるの。だから、キンキラキンなの、向こうの仏像って。

残間 寄付しちゃうの?

大垣 寄付、寄付。

残間 なんだ。私、そこで洗い清めてくれて。

鈴木 戻ってくるのかと。

大垣 どう見てもみんな貧乏なのに、みんなお金が貯まると金を買って。貼るの。

残間 うやうやしいものなんだよ。

大垣 だから、身体中に貼ったりしない。

残間 中国の人、すごい金が好きじゃん。

大垣 だめよ、中国の人って決めつけたら(笑)。

残間 悪いことじゃないのよ、自分の財産を。

森田 確かに中国って世界最大の金の需要国ですし。

残間 そうでしょう。

森田 インドもそうですし。

残間 だって、好きだって女の人にも金をくれるもん。ダイヤとかではなくて。金が大事なの。

大垣 万が一のときにお金になるから?

森田 そうです、まさにそのコンセプトです。

残間 なるほどね。

大垣 日本人みたいに平和ボケしてるとそういうふうに考えないんだよね。

森田 今のお話なんですけど、日本人にはあまりピンとこないんですが、やっぱりミャンマーもそうですし、途上国の方たちっていうのは、自国の通貨っていうのはドルに対して大きく変動するんですね。価値が減るとか。それをヘッジするために金を買っていることが多いんです。というのは、金は国際科学でドルで決まっててそれかける、為替、その国の通貨、ドルとの為替レートで現地通貨になる。現地通貨の価値が落ちると、実は現地通貨ベースの金の価値が上がるので、それで資産保全をしてるっていうことが結構多いんです。

残間 賢明かも。

大垣 しかし、これから日本も、国がどうなるかはともかくコロナみたいなことはいつ起こるかわからないとすると、あんまり大儲かりするかは分からないけど、数千円単位で買えるんだったらETFをちょっとずつ買うっていうのは一つかもしれませんね。

森田 守りの資産として一部持っていただくのは、今の時代には合っているかもしれません。

残間 守りの資産ね、いい言葉だね。森田さんのような人が広めてくれるといいね。

森田 (笑)。

大垣 もっとこれ、普及していいですよね。意外とETFのことだって普通の人知りませんよね。

残間 知らないもん。

森田 日本のETFっていうと全部足しても1000億から2000億ぐらいしかないんですよ。

大垣 それは少ないな。

森田 ええ。今、全世界でETFはどのくらいの残高になってるかって言うと26兆円です。

大垣 金のやつだけでね。

森田 はい、金のやつだけで。

大垣 それはすごいな。昔だと、田中貴金属とか、ああいうとこの金投資とかって言って、なんかちょっとお店があんまりない感じだったけど、全然そういうんだとちょっといいですね。

残間 普通の証券会社にね。金屋みたいなところ行けないもんね。

森田 そうですね。最近では、世界で多分一番有名な投資家であるウォーレンバフェットが、実は金の鉱山株を初めて買ったんですね。

大垣 バフェットが金を買ったの。

森田 はい。

大垣 それって、いいニュースかどうか分からんね、しかし(笑)。

森田 経済にとってはいいニュースか分からないですけど、今まで、何も生まないという。

大垣 バフェットって絶対そう言いそうですよね。

森田 ええ。生産的じゃないってことで、一切、どっちかっていうとアンチゴールドだったのが、実は買ったんですね。

大垣 ということは、これからは世界的には絶対に右肩上がりにならないっていうことがあるんじゃないかと思い出したってことかな。

森田 ええ。多分、売ってる株っていうのは例えば、ゴールドマンサックスの株をほぼ売ったんですね。

大垣 なるほど・・・。

森田 っていうことを考えていくと、経済がちょっとおかしくなっていく可能性があるってことを考えてるんですね。

残間 金の動向でそういうのが分かるんだ。誰が買ったかとかでね。

大垣 ここまでの、マーケットで膨らましてやたらと儲かってた人の、一番の最頂点の人の株を売って、何も生産活動には関与しないけどただ価値があるっていう金を買ってるっていうのはなかなか印象的。

鈴木 読み取れますね。

森田 マネーゲームの終焉がきて、事物がもう一回。

大垣 そういうことですね。

森田 ずっと金が持つかどうかは分かりません、少なくともこの時期においては、金を保有する意味を見つけたんでしょうね。

大垣 一方で、日本の五大商社はみんな買ったんですよね。バフェットさんと。

残間 そうか、この間、その人か。

大垣 そうそう。めちゃくちゃ儲かったから。この人は、とにかく買ったらずっと持っていうのがひとつの。長期的な成長を図るっていう。

残間 おじさんでしょう。

大垣 カリスマですよね。おじいさんです。

鈴木 ごめんなさい、そろそろお時間になってしまいました。またぜひ教えてください。

森田 はい、ありがとうございます。

残間 またね。

大垣 また、落ち着いたらぜひ。

鈴木 スタジオにもお越しください。

森田 はい、よろしくお願いします。

一同 ありがとうございました。