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リスナーメール:100年住宅を100年もたせるための、地味だけど一番重要なポイントとは?

リスナーメールのご紹介

金融・住宅のプロフェッショナルである大垣尚司(青山学院大学法科大学院教授)さんと、団塊世代のプロデューサー・残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。

このブログでは、ラジオを聞き逃した方や、放送内容をもう一度確認したい! という方のために、人気コーナー「大人ライフアカデミー」の内容全てを、文字に起こしてお届けしています。

鈴木 聞いて得する家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。

大垣 今年もたくさんお便りいただいてありがとうございました。全部読めなかったんですけど、あの三つぐらい、似たものがあるので、いっぺんにって言うと失礼なんですけど、ざっとお答えしたいと思います。一つはね千葉県印西市のヒロシさんからなんですけども。「耐震をやりたい」ということで、「どこに相談したらいいですか」ということなんですけど。これ、一番いいのは、自治体の耐震の支援とかをやってるところのサイトに大体はそこで扱ってる業者が載ってるんですね。ところが最近はそういう業者さんが増えてきて、ネットの検索を耐震ぐらいで叩くと、もうそういうリフォーム屋さんとかが、SEOの対策をされてるから上に上がってきて耐震支援のサイトが上に来ないんですね。昔はやるとそんなんしか上がってこないくらいレアなサイトだったんですが。

残間 自治体によって補助金があったりね。

大垣 そう、全然違うんです。で、実際にすごく違いますので。今から申し上げますので、これでググってください。「耐震支援ポータルサイト」。耐震支援ポータルサイトまで打って検索をかけると、一番上に出てきますので。

鈴木 はい。

大垣 そこを触ると、お住まいになっているところの関連のとこが全部見れるようになってますので。それでご覧になって接触なさるのが一番いいんだろうと思います。

鈴木 はい。

大垣 それから、もう一つは、千葉県の船橋市のスーパーキャットさんと、あと、横浜市緑区の北車線60度さん。そういうお家なのかしら。両方、特に北斜線さんのご質問が分かりやすくて。マンションの耐用年数50年ぐらいなのに、最近百年住宅とかって木造のやつがあるみたいですけど、これはどっちが持つの? って。確かに、法隆寺は1000年もってるって言われると、大手町のビル見てると30年建ってるビルなんてないじゃないですか、建て替えて。どっちなんだろうって、確かに素朴な疑問としてあると思うんです。スーパーキャットさんのほうは、ちょうど一戸建てをお買いになって、メンテナンスをどのぐらい見といたらいいですかとか、どういう風にしたらいいですかと。似たような質問なので。あまり具体的なことはともかくとして、一番申し上げたいって言うか、このところ忘れられてたんじゃないかなと思うことってのは、物理的に長持ちするお家っていうのと、それから、家を長持ちさせる生態系って言うのかしら。私のおじいちゃんの家って、京都の本当に町屋なんですけど、これって、本当に多分、頑丈じゃないんですよね。頑丈じゃないんですけど、建てた大工さんっていうのが代々いらっしゃって、そこがもうお孫さんが私ぐらいになってるんですけど、その間、別段頼みもしないんだけど「近く通ったんで」って言って、「ここちょっと直しておきますね」とか、そんなんで持つわけですよね。何くれとなく、昔は大工さんがそうやって気にかけてたっていうことで。ある地域の建物がこうなんとなく守られてると。

残間 今は難しい。

大垣 そう。やっぱり、60〜70年代のところで、家がある意味、プレハブなんかはもう典型ですけど、工場で作るぐらいのことまで考えて、組み立てて持って来るって言う。建てました、それはもう完璧に出来上がってます。だから大丈夫なはずっていうのでこう。これはおそらく西洋的な思想でもあるんだと思うんですけど。ところが百年住宅とかいう話になると、土台買って100年も生きてないわけで。それからどう考えたって風呂釜が100年持つわけないので。やっぱり、直していって何年も持つんですよね。

残間 うん、うん。

大垣 だから、そういう意味では、多分今、国の人と喋ってても、ようやく「頑丈なもの建てさせないといけない」っていうところから、目線が、それも大事だし、でももっと大事なのは、帯として、一つのバイオトープみたいに、家を持たせていくようないろんなシステムってのが、その横に本当はないといけなくて、そういうのが、昔の大工さんが目配りしてるって言うのをもうちょっと。

残間 公益的に。

大垣 仕組みとして。

残間 よく、大垣さんのやってるJTIなんかでも話になるのは、その家の人が本当に丁寧に使っているとか、メンテナンスをちゃんとその都度やってると価値が下がらないって話が出てくるじゃない。民間レベルもそうだけどそれをもう少し公益的にやろうっていうこと?

大垣 そうです。例えば国はそのレベルなんだけど、もしお建てになった家があれば、30年経ったお家を今借り上げさせていただくでしょう。で、建てた会社さんが残ってるケースのほうが少ないんですよ。だから、そうすると、そもそも建てた時の図面が散逸してたりとか。いつ建てたかも分からなくて、そうすると「建築確認書とってきてくださいね」って言うと、何ですかって話から始まって。まあ、そうですよね。

残間 何年も経ってるから。

大垣 そうすると、役所って20年ぐらいすると捨てちゃうので、もう何も残ってないんですよね。だから、やっぱりご自分で、建てた後もできるだけ建てられた文章もきちっとこれはって残しておかれると、自分ではわからなくてもすごく役に立つものですので。それからやっぱり、建てられた会社さんとかよくコンタクトを取られて、めんどくさくても時々見てもらうとね、家が生き物としてね持っていく。

残間 人間だって人間ドッグやるんだからね。

大垣 そう。ものじゃなくて生き物だって考えたほうがいいっていうのが、最近思うことなので、それをお話ししたいなと。

鈴木 ありがとうございました。大人ライフアカデミー2020でした。