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ガソリン代はもう下がらない?! 投資の現場から見る事実とは(リスナーメールのご紹介)

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鈴木 聞いて得する、家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。

大垣 きょうは、質問のメールをいくつかいただいているんですけど。

ガソリンがあまりに高いので、クルマの外出を控えて家にいたら
寒い時期になって灯油を買おうとしたら灯油もバカ高くて
にっちもさっちもいきません。
大垣先生、ガソリンや灯油はいずれまた下がりますか。
それとも上がったまま、あるいはさらに上がり続けますか。
それによってガマンするか、受け入れるか、考えようと思います。


川崎市 そろそろ本気(マジ)でオイル断ち(42歳 主婦)

上がったり下がったりはもちろんあるものなんですけれどもね。

前は、産油国がたくさん作りすぎたとか、ちょっと制限したとか、そんなようなことで政治的に動いていたことが多くて。だから、上がっているけどそのうち下がるよとか、そんな感じを僕らは持ってるんですけど。

ここ1〜2年、やっぱりものすごく違ってきたなっていうのは、いわゆるSDG。

残間 ああ、SDGsのことを言ってる?(笑)。

大垣 ・・・今僕、なんて言いました?

残間 SDG。

一同 (笑)。

大垣 SDGs。ESGとか言ってるやつですね。

残間 ゴールがあるっていうことね。

大垣 SDGsは、これまで経済って成長するもんだよねっていうことでずっときていて、そのときに、僕らが生きているときに空気あるよねっていうのといちいち気にしていないのと同じように、石油っていうのはあるんじゃないのとか。

残間 どこかにはあるよね。

大垣 二酸化炭素を出しすぎたから、北極海の氷が溶けるとか、そこまで「何を」ってみんな思ってたわけですよね。あるかもしれないのは。その切迫感がものすごくリアルになっていることと、それに対して、これまでは政府とか、国際機関とかで規制していかないといけないよねっていう話が主体だったんです。それってやっぱり、すくみあいっていうか、大丈夫なの? みたいなことになると、案外ものすごく極端なところに行きにくいんですけど。

ここのところ、ものすごい勢いで起きてるのが、火力発電所を作っている電力会社の株は買わないとかね。これから社債を出して、お金を借りようと思ってるんだけどっていうときに、「何に使うんですか?」っていうのが、格付けになっていて。

グリーン系のものを使っていないと、基本的に誰も買ってくれない。それから、今起きているのは、そういうものを逆にやらないで、いろんなものを買っちゃってると、今度はファンドを運用している方の中身を色々見られて、「あんたは、こんなに石炭ばっかり使っている会社に投資していていいの?」ってやられて。

今度は、投資信託が売れなくなったりとかっていうことが。

残間 起きていますよね。

大垣 そう、起きているんですけど、起き方が。

残間 かなり。

大垣 僕は、そういうのの格付けをしている会社の監督をする委員っていうのを、頼まれてやっていたことがあるんですけど。そういうのが、やりだされた頃っていうのは、もう10年ぐらい前で。
そのころは、あんまり、ものすごいそういうものは。あるでしょうねとは思いましたけど、どちらかというと、そっちが主たる仕事になるぐらい大きいような仕事になるっていうんですかね。
環境格付けっていうんですけど。あるいはグリーンボンド格付けっていって、この社債を出すんだけど、この社債は、昔は、ちゃんと返ってきますかっていう格付けを出していたんですけど。
最近は、使い道がグリーンですかっていう、度合いの格付けが出て。
あんまり、返してもらえますか格付けよりは、そっちの格付けを見てみんな買うっていうようなことが、そんなに急激に怒るっていうのは、率直なところ想像していなくて。そういうことが起きている。

残間 株価も、すごく。

大垣 ですから、規制だと、いっぺんにブワーッとかけないといけないので、やっぱり、あんまりキツいことしたらおかしくなるよねっていう問題になりがちなんですけど、お金と絡めたり、株価と絡めたりっていう話になると。
個別具体的っていうか、もっとマーケットを通じて、きめ細かくできちゃうもんだから、縛り方がものすごく、ある意味、きつくなってきているっていうことなんですよね。

残間 確かにね。

大垣 だから、多分、今は間違いなく、ガソリンが上がり出しているのは、そっち系の要素が非常に大きいので。
ある種、やっぱり、中長期的に見ると、もとに戻るよっていう、昔の、中東で戦争があったから高くなったねとかっていうのとは全く構造的に違う流れになっているということですね。だから、多分ですけど、そういう意味でいずれまた下がるって思っていると、下がらないと思います。
もちろん、上下はあると思いますけど。長い曲線で見ると、非常に使いづらいものになっていくっていうことです。

残間 結構、ガソリン車のこととか、色々。ただ、バッて行きがちでしょう。右って言うと右、左って言うと左、上って言うと上。

大垣 そういうのはありますね。間違いなくあります。

残間 そのへんがもう少し冷静にならないと、難しいよね。

大垣 短期的なやつもあれば。だけど、中長期的に見れば、やらざるを得ないっていうところへ。

残間 機関投資家は、全部そのへん、加味してしかね。

大垣 うん。そういうことがやりづらくなる。度合いはすごいんですよね。

鈴木 ある意味、受け入れていかないと。

大垣 ある程度はね。もっと言うと、だからこそ、多分、蓄電池の開発がもっと進んだりとか、今高くなっているものを使わないで済むようなところが安くなっていくんだろうとは思いますけどね。

残間 飛行機だって、便数減らさざるをえないとか、いろんなこと言われてますもんね。

鈴木 そうですよね。

大垣 ある種は、受け入れるっていうことになっていくんじゃないかなと思います。

鈴木 おとなライフ・アカデミー2021でした。