株主優待目的の人におすすめ 伊藤園の優先株とは
鈴木 聞いて得する、家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。
大垣 ご紹介します。
株主優待目的で投資をしています。
飲料メーカーの伊藤園が
第一種優先株式というのを
上場していることを知りました。
第一種優先株式について教えてください。
(コロンボさん、54歳男性)
これ、有名なやつなんです。伊藤園の優先株って。みんな知ってるんですけど、初めて上場した優先株っていうのを出したときで、まず、優先株って何かっていうと、普通の株より優先して配当がもらえるんですね。その代わり、株主総会って、議決権がないのが多いです。そうしないといけないわけじゃないですけど、通常そうなっていて。議決権がない代わりに、毎年、3パーセントとか、モノによっては、動く金利に連動しちゃってて、まさに、普通の債券みたいな感じで配当がもらえる。
で、ちょっと、目先高いんですよね。もちろん、普通の株式のほうが、儲かり出したら配当が利益に応じて高くなるんですけど。そうでないときは、どんな業況でもちゃんと。
残間 一定でしょう。
大垣 一定の配当がもらえるっていうものなんですけど。
これを、伊藤園が、株主優待目的ということなので、確かに伊藤園のやつって株主優待がついていて、買われるんだったら、確かに、同じような値段だったら、金利みたいにして稼げちゃうので、面白い選択だと思うんですけど。
思い出でいうと、これ、なんでやったかっていうことなんですけど、やったのが、2007年です、これって。だから、ちょうどリーマンショックのとき。
株を、マーケットがよくなかったときなんですね。伊藤園は、お金を調達したいなと思って、株式を公募。マーケットで発行しようとなさったんですけど、要するに、株価が下がっちゃってるから、いっぱい出さないと欲しい金額が調達できない。そうすると、たくさん出すと、新しく株を買った人の議決権が増えちゃうので、そうすると、今の株主の方が持ってる議決権が、そのぶんだけ一票あたりっていうのかな。の、重さが軽くなっちゃうじゃないですか。そうすると、ここまでずっと支えてくださった、これまでの株主さんに良くないよねっていうことで、それはそれで文句がでたり、そんなことするんだったらって売る人が出ると、ますます下がって、いよいよたくさん出さないといけなくなって・・・っていうことで。
それで、そのときの工夫で、普通の株を出すのに合わせて、議決権のない優先株を一緒に出して、お金はその両方から調達するんだけど、議決権は、普通株にしかついてないので。
残間 文句は言えないよって。
大垣 そうすると、やっぱり後で売れないといけないので、優先株って、上場してるものはないんですけど、上場するっていう。
残間 でも、最近結構やり始めているでしょう。コロナで。会社大変だと。
大垣 上場優先株?
残間 うん。
大垣 してるかもしれない。僕はあんまり事例を。優先株で調達をすることは結構あるんですけど、それは、難しい話になるんですけど、いくつかお得な話があって、特に会社みたいな法人が買うと、株式会社の株を株式会社が持ってて、それで儲かった配当に税金をかけちゃうと、そのあとまた配当したときに、もう一回かかるじゃないですか。株主さんに。一回はいいとして、いくつも株式会社が株を持ってると、何回も法人税を払うので。法人が法人の株を買ったときの配当は、今年の利益からのぞいていいっていうのがあって。その分税金がお得なんですね。
そういうのもあって、使われたりとか。いろんな面白い使い方があるんですけど、このケースは、そういう意味では、わりと珍しい。大きい会社が堂々と優先株をつけたっていう。
なんか、事情がないとやらないんですよ、優先株って。
残間 資金調達はしたいんだよね。
大垣 でも、これは割と綺麗な使い方。良くない使い方っていうのは、例えば最近、新生銀行が、国から借りたお金が返せてないからって、ありましたでしょう。あれもまさに優先株なんですけど、そういう、だいたい良くないときとか、ベンチャーみたいにこれから良くなるようなときに出すやつなので。
ピカピカの上場会社が出すっていうのは、比較的少ないです。だから、これはわりと面白いものかもしれないですね。
鈴木 おとなライフ・アカデミー2022でした。