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スペシャルゲスト・高田創さん(岡三証券グローバルリサーチセンター理事長)をお招きしました

鈴木 さあ、きょうはリニューアルを記念して、スペシャルゲストにお越しいただきました。大垣尚司さんの古いお友達です。

 

大垣 友達っていうかね。

 

残間 銀行時代の同期だって。

 

鈴木 もう、残間さんがすごい興味津々で、今ね。

 

残間 そう。大垣さんに友達がいたなんて。

 

大垣 いやいや。

 

残間 いや、私は良さを知ってるからだけど、良さをみんなに理解してもらうのに時間がかかる人じゃない。ねっ。

 

大垣 そうかな。変なやつだって最初から分かってるから。いや、会話を始めちゃいけないな。

 

鈴木 大垣さんのお友達、岡三証券グローバルリサーチセンター理事長の高田創(タカタハジメ)さんです、高田さん、よろしくお願いします。

 

高田 よろしくお願いいたします。

 

大垣 いつもは、テレビでエコノミストっていうので難しい話を。

 

残間 私、同じ会に入ってるんだよ。「高野山・熊野を愛する100人の会」に高田さんも入ってる。

 

大垣 高田さんってそうだったの?

 

残間 和歌山なの?

 

高田 いや、地縁はないんですけど、仁坂知事から。

 

大垣 頼まれてね。

 

残間 仁坂さん、自分でコロナのときもいろいろやってたからね。

 

大垣 熊野、いいところだもんね。

 

残間 私、高田さん見てたら、あれっ? と思って。で、「た」の行を見てみたら高田さんがいたのよ。

 

大垣 そうですか。高田さんは、ちょうど同じ大学を出て、同じ銀行に入った同期で。

 

鈴木 日本興業銀行に。

 

残間 あの頃は東京大学の人が興銀にはね。石ぶつければみんな当たるって感じだったもんね。

 

高田 確かにたくさんいた。

 

大垣 そうですね。

 

高田 でも、僕にとっては、大垣くんっていうのはもう、もっとも尊敬する同期なんですよね。

 

残間 なんで?

 

高田 尊敬するっていう言い方も同期で変かもしれないんだけど、畏友って感じですかね。

 

残間 畏友ね。

 

鈴木 イユウ?

 

大垣 畏れる友。

 

鈴木 ああ、そっかあ。

 

残間 畏怖の念の「畏」。

 

高田 悪い意味じゃないですよ。だけど、すごく僕はね。

 

残間 私、異なるほうかと。偉人とか。

 

高田 異能でもありますよね。

 

残間 異能ではありますよね。だんだんでも、理解されてきてるんだよ、最近。

 

大垣 最初はちょっと浮いてたもんな、俺は。多分。

 

高田 それは多分、目立ってたってことだと思うし。

 

鈴木 そうなんですね。

 

大垣 できて目立ってたんじゃなくて、馬鹿やるんで、すげえ目立ってたみたいね。

 

高田 そういう部分もあるかもしれないけれども、やっぱり。

 

残間 みんなのこと馬鹿にしてたんじゃないの。

 

大垣 ううん、違うよな。

 

高田 そんなことはないと思うんですけどね。

 

大垣 可愛がられてたんですよ、同期には。この人は最初からもう、真面目の権化みたいな。

 

高田 そんなことはないけど。

 

残間 あなた、真面目じゃなかったの。

 

大垣 あんまり真面目じゃなかったよ。同期と一緒だと。そうでもない?

 

高田 まあ、みんなで遊んでね。っていう。

 

大垣 無茶苦茶なんですよ。

 

残間 寮も一緒だったの?

 

高田 寮は。

 

大垣 寮は違うんだけど、みんなで最初、研修とかあると、夜とかグチャグチャになって。

 

残間 きょう初めてラジオを聴いた方とかは、大垣さんのすごさを知らないだろうけど、あの頃の興銀っていうのは、日本の実質的な・・・。

 

大垣 めっちゃ偉そうだったんだよね。

 

残間 日本の実質的な、自分たちが全部お金を握ってる感じで。だったよね。

 

大垣 でも、私の話をしちゃあれですよ。

 

残間 その人を友達として、きょうなんかおいでいただいているっていうことで。

 

大垣 彼は日本を代表するエコノミストってことで、コロナとか、難しい状況ですから。

 

残間 そうね、聞いておかないとね。誰にどうお金を配るかとかで揉めてるうちに時間が経ってるもんね。

 

大垣 だけど、素朴な疑問でみんな思ってるんじゃないかと思うんですけど、エコノミストって何?

 

残間 経済評論家とは違うでしょう。

 

高田 エコノミストは、経済の評論家でもありますよね。経済の天気予報士みたいなものかもしれないですね。

 

鈴木 ああ、天気予報士。私は気象予報士なんですけれども。

 

大垣 彼、今、すごくてね。岡三に動かれたでしょう。ずっとみずほのところでトップエコノミストだったんだけど。今は、毎日レポート書いてらっしゃるの。

 

残間 誰に?

 

大垣 みんなが読むやつ。これ、大変なんですよ。1ヶ月に一本ぐらい出るのはよくあるんだけど、毎日あって。だから、サイトを見ると。

 

鈴木 岡三証券のサイトを見れば。

 

高田 そうですね。

 

残間 うちにこういう人が来てくれましたって。

 

大垣 株とか、債権とかって項目があって、高田っていうのがあって(笑)。高田って押すと、高田さんのやつがパーッて載ってるの。こんなの書けないよ。

 

高田 いやいや。

 

大垣 すごい引き出しが多いの。だんだん喋りにくくなってきたんじゃない(笑)。

 

高田 いやいや。

 

残間 お会いできて嬉しゅうございますが、私たち。

 

大垣 どうなんですかね、こういう状況って。

 

高田 私は、コロナの状況を象徴的に申し上げると、「ナイトの不確実性」という言葉をよく使うんですが。

 

大垣 これ、ナイトっていう偉い学者がいるわけ。

 

高田 フランク・ライトっていう。

 

大垣 この人が、リスクと不確実性は何かっていうので論文を書いたんだよね。

 

高田 不確実性には2種類あって、一つは、たとえばサイコロをコロコロコロッて転がすと、1から6がありますよね。それは、確かに不確実ではあるんだけれども、まあ、一つの確率分布っていう、何が出るかっていうのは分かるわけですよね。

 

残間 7と8は出ないからね。

 

高田 そうなんですよね。

 

大垣 まあそうだよ。6分の1ずつ出る。

 

残間 そのぐらいは分かる。

 

高田 ただ、不確実性っていうのは、そういうのが全く分からないので。お化けが出るかもしれない、みたいな。

 

大垣 分からないと。

 

高田 全く分からない。

 

大垣 uncertainですね。certainが確か、それにunをつけて、uncertain。それがリスクと違うと。

 

高田 そうなると、最悪の場合を予期して何かをしないといけなくなるんじゃないかと。

 

大垣 そう。

 

残間 「最悪」に対する想像力が欠如しているでしょう。

 

大垣 ただ、リスクっていうのは見えてるから備えればいいんだけど、不確実っていうのは見えないから、わけが分かんない。

 

鈴木 どこまで備えればいいのかっていうのが。

 

大垣 っていうのが、分からないわけですね。

 

残間 お金だけじゃないしね。

 

高田 ということが、本当にみんなの恐怖をそそってしまう、ということですね。ですから私も申し上げてるんですけど、今の状態、見えざる恐怖が、見えざる手。アダム・スミスっていう人が、市場というものは見えざる手で動いているんだと。

 

大垣 需要と供給ね。

 

高田 言ってましたよね。見えざる手、というものが、市場みたいなものを全部殺しちゃうとなると、どうなるか。経済が全部壊れちゃうみたいな。そんな状態。人にも会わない、お出かけもしない。いろんなものが接触を禁じちゃう。

 

残間 日本人的にいうと、諦念っていうか。諦めのほうに行くよね。みんな同じじゃないかと。きれいも汚い人も、お金持ちもそうじゃない人も、どこに行くか分かんないんだから、みたいになって。今度はやっぱり、後ろに引いちゃうよね。

 

大垣 あと、もう一つ、高田さんがメモの中でおっしゃっているんだけど、コロナはそうは言ってもどこかで終わると思うんですけど、そのあと戻るっていうか、いつもそういう話になるじゃないですか。地震のときとか、復興とかね。でも、もしかしたら、戻るんじゃなくて、違うところにいかないといけないんじゃないかと。

 

残間 違うところにいくでしょう。いかざるを得ないでしょう。

 

高田 そうですよね。で、戻ったところが新状態、ニューノーマルの世界っていうか、我々のこれまで見たことがない世界にいきつくのかもしれないと。世界中もう、そうかもしれないですよね。世の中の状態。

 

残間 ただ、もちろんコロナに罹患している方や、いろんなコロナに直接被害を受けている方はもちろん大変だと思うんだけど、一方で、諦念と同じなんだけど、行き過ぎてしまって、お金、お金と。高田さんを前に言うのもなんだけど。経済、経済、経済って。これが、一度何となくリセットされるような気分もないではないのよね。

 

大垣 それは難しいところだよね。単なる経済の問題と、意味論みたいなね。幸せ、みたいなものの。

 

残間 こうなってくると、自分にとっているもの、いらないもの、大切なもの、大切じゃないものっていうのが分かってきますよね。本当の意味での経済って、そういうところから始動してほしいというか、再スタートしてほしいっていう気がするよね。

 

大垣 もうちょっとお話を聞きたいんですけど。

 

鈴木 きょうは、岡三証券グローバルリサーチセンター理事長で、大垣さんの古いお友達、高田創さんに、このあともお付き合いいただきます、よろしくお願いします。

 

高田 よろしくお願いします。

 

  • 大人ライフアカデミー

鈴木 大人ライフアカデミー2020。聞いて得する、家とお金のお話のコーナーですが、引き続き、大垣さんの古いお友達でスペシャルゲスト。

 

残間 古いお友達っていうのは。

 

鈴木 そうか。東大時代からのお友達。

 

残間 まあ、古いけどね(笑)。

 

鈴木 岡三証券グローバルリサーチセンター理事長、高田創さんとご一緒にお話をうかがっています。

 

残間 創さんのこの「創」っていう、創造の、クリエイティブの創じゃない。

 

大垣 うんうん。

 

残間 なんか、親御さんって、思いがあって付けたの? 聞いてる?

 

高田 えっとですね。実は、父親の先生が、渡辺一夫っていうフランス文学者だったんですね。その人がつけてくれたっていうふうに聞いてますね。

 

残間 いいね。尚司ちゃんもいいけど、創さんっていいでしょう。

 

大垣 うん。

 

残間 ね。なんか、クリエイティブで、新しいこと、先鋭的なことをやりそうで。実際そうでしょう、今。

 

大垣 私の、尚司ちゃんの尚は、和尚さんの「尚」だから。おじいちゃんが付けたんです。おじいちゃんは坊主だからね。ならなかったけど。

 

残間 いいじゃん、証城寺みたいで。

 

大垣 でも、高田さんはあれだよね。

 

残間 タカタが正しいの?

 

高田 はい、タカタです、一応。一応というのも変ですけど。

 

大垣 二人とも留学したんです、同じ時期に。

 

残間 あなたは。

 

大垣 私はとにかく。

 

残間 コロンビアでしょう。

 

大垣 なんでコロンビアかっていうと、みんないいところ行くわけ、ハーバードとか。コロンビアもいいんだけど、めちゃくちゃ危なかったわけ、当時。ニューヨークのハーレムだから。

 

残間 横だからね。

 

鈴木 治安が悪いと。

 

大垣 そこしかアプライできるところがなくて。申し込めるところが。それで、お前だったら死なねえだろうって僕は行かせてもらったんですけど。高田さん、オックスフォードだからね。

 

高田 はい(笑)。

 

鈴木 穏やかに今、笑顔でうなずいてらっしゃいますけど(笑)。

 

大垣 感じの違いが分かるでしょう。

 

残間 なんか調べたら、開発経済学っていうの。何それ?

 

高田 発展途上国の問題ですね。新興国の。

 

大垣 あの当時は、そういう問題がありましたからね。花形だった。

 

残間 そういう分野って日本にもあるんですか?

 

大垣 ある。

 

高田 あるにはありますよ。

 

大垣 そりゃあるよ。あれ、オックスフォードってどんなところなの。結構、みんな意外と名前は知ってるけど、本当には知らないよね。

 

高田 大学の門っていうのがないんですよ。オックスフォード大学って書かれた門がない。町自体がっていうか。

 

鈴木 一体化してる感じ。

 

残間 スタンフォードなんかもそれに近いよね。あそこは中門扉あるのかな。ないな。

 

大垣 そうなんだ。スタンフォード? でも、スタンフォードって無茶苦茶デカくないですか?

 

残間 そうそう。だからもう、スタンフォード村みたいになってるのよね。

 

高田 オックスフォード村みたいな感じですよね。

 

残間 品がいいよね。

 

大垣 僕らは、コロンビアって当時は、向かいの校舎に行くのにバスを待たないといけなかったんです、歩いたら危ないから。

 

鈴木 ええっ。

 

残間 そんな時代だったんだ。

 

大垣 だから、夜8時過ぎたらバスで移動しなさいって言われてて。向かいのキャンパスに歩いていっちゃいけないとかって、そういう指導だったの。

 

残間 歩いていかなかった?

 

大垣 うん、だって怖いもん。本当にそんな感じ。感じが分かるでしょう、雰囲気が。

 

高田 当時は天皇陛下がおられたんですよね。

 

大垣 そうそう。そういえば天皇陛下も、同期って言ったら怒られるけど、同い年ですよね。

 

高田 そうですよね、学年が同じですよね。

 

残間 そうか、そうか。そうでしたね。

 

大垣 せっかくですから、今度岡三に行かれて、リスナーの方で株とか。

 

残間 これからどうなるんだろうって。世の中がどうなるかっていうより、私どうしたらいいのっていうのが。みんな多分ね。

 

大垣 簡単には答えられないんだと思うんだけど、ちょっとそのへんのところとか、アドバイスいただければ。

 

高田 そうですね、やっぱり、ここまで変動が大きくなってきちゃうと、いったんはどうしても様子見に入っちゃうと思います。これはもう、しょうがないと思うんですよね。こういうときはみんな、とりあえず、嵐のときにはいったん防波堤の中に入って、嵐が収まるのを待とうねっていう感じだと思うんです。

 

残間 やっぱり、嵐ですか?

 

高田 嵐ですね。経済でいえば、恐慌っていうことぐらいかもしれないですね。こんな状況。私も何十年も見てますけど、やっぱり初めてぐらいですね。もちろん、いろんなリーマンショックもあったし、様々なショックというのは我々も体験してきましたけど、それでもやっぱり、なかなかここまでのものはないですよね。というのは、あえて今の状態というのは、経済を殺しているのに近いわけなんです。

 

大垣 自分でね。

 

高田 自分で。

 

大垣 買いに行くな、動くなっていうのはね。

 

高田 ですから、体でいえば、手術のために麻酔をわざとかけて、生体反応を止めている、ぐらいの状況だから。当然それは、株にとっては当然よくはないですよね。だけど、我々、市場にいるものっていうのは、長い将来というものを考えていけば、どこかで成長していくんだろうというのは。

 

残間 成長の形がどうか。

 

高田 ただ、今の状態は、とりあえず麻酔をかけてる状態だから、いったんは様子を見ないといけない。となると、いつそこになrかは分からないけれども、長い期間があるんであれば、少しずつでも、長期でもって、分散。積立でもって少しずつ、対応していきましょうっていうのが今の状態でしょうね。

 

大垣 だから、積立NiSAとかね。

 

高田 そういうことなんでしょうね。

 

大垣 iDeCoとか、毎月目をつむって買うやつがあるじゃないですか。ああいうのがいいんだろうね。

 

残間 大垣さんはいつもほら、みんなに、長い目で見てくださいと。ものすごくリスクを取ってでも急な大儲けをしたい人はともかく、普通にはやっぱり、冷静に長く持ってなさいっていうのを。

 

大垣 あとは、多分、上がったり下がったりすると思うんです。一回で終わらない。

 

高田 当然、終わらないですね。

 

残間 でも、世の中を見てると、上がったり下がったりしてるっていうのすら鈍麻しているというか。そういうことに対して、神経が。

 

大垣 まあね。ただ一方で、最近は機械で売った買ったをするでしょう。だから、激しいよね。

 

高田 激しいですよね。

 

大垣 同じ方向にグワッと動くんだもんね。

 

高田 ですから、激しいときっていうのは、心臓もそうですけど、ちょっと止まってもまだドキドキしてるっていう。ことですよね。だから、多分この状態は長引くんだろうっていうのは、覚悟する必要があると思いますね。

 

大垣 でも、長い目で見れば、安くで買ってるってことですよね。

 

高田 そうですね。

 

残間 日常は、じっとしてればいいの? なるべくものも食べずに。

 

大垣 それは話が違うでしょう(笑)。

 

残間 だけど、そういうのとみんな直結して聞いてるわけよ。

 

大垣 まあね。

 

高田 そうですよね。ただ、この時期っていうのは、あんまり急に、悲観的になりすぎないほうがいいかもしれませんね。だから、免疫力を高めるためにも普通の生活をして、その代わり、これまであくせくしすぎてたかなっていうところは反省してっていうのも、みんなあるかもしれないし。

 

残間 出歩かないで。

 

鈴木 そうですね。きょうは岡三証券グローバルリサーチセンター理事長の高田創さんにお話をうかがいました。

 

残間 ときどきまた来ていただきましょうよ。温厚な人柄で。

 

高田 (笑)。ありがとうございます。楽しい機会で。ありがとうございました。

 

残間 大垣さんがこんなふうに紳士的になるのも珍しいことなので。

 

大垣 そうですか?

 

残間 いいじゃないの。ご学友同士。

 

鈴木 ありがとうございました。