憧れの地方移住! だけど、一歩が踏み出せません・・・。(リスナーメール)
鈴木 聞いて得する、家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。
大垣 久しぶりに女性からメールをいただきました。このところ、男の方ばっかりだったから。
「移住を北斗市考えています。
が、やはり色々考えてしまいと躊躇してしまいます。
皆さんはどうやって決断しているのでしょうか?
子供の学校、親の介護が始まるかも?お墓の事、
色々考えて無理かも、と行ったり来たりしています。
残間 まだまだ先が長いから、ずっと北杜市にいなくたって、今の思いを実現して。
大垣 今思ってるなら、行っちゃったほうがいいですよね。
残間 また戻って来ればいいじゃないね。
大垣 いいところだしね。
残間 この番組は、北杜市に詳しい人が。北杜市命の人がいますからね。
大垣 私も北杜市に土地を持っていますが、とてもいいところですよね。
残間 どんどん良くなっていってるよね。
大垣 何より新鮮なのは、30代の方が、今考えてますっていうメールをいただくっていうのが。この長い放送の中で初めてじゃないかな。若い方は。
だから、もともと始めた時って、50以上の方が、最初のファーストライフ終わって、セカンドステージっていう想定だったんですけど。多分、これ、決断の中に、仕事っていうのが入ってませんよね。だから、なんとかなるのかなっていう中で。
残間 リモートなのかもしれないし。
大垣 うん。大体、もう何年かしたらリニアが通るから、少なくとも、甲府に止まるんでしょう。甲府だと、15分ぐらいでいけちゃうでしょう。で、そこから1時間ぐらい車で行けちゃうから。いっちゃったら? って。
残間 親の介護も、親御さんだって一緒に来たっていいんだしね。
大垣 子供の学校も、何が不安かは分かりませんけど、きっと、いじめとかはむしろない・・・んじゃないかな。
残間 自然豊かなところで育ったほうがいいとも言えるしね。
大垣 塾だなんだのやつは、最近、塾に行ったってビデオじゃないですか。個別相談でも。親の介護はまだ早いですよね。
残間 いろんな人が来てるから、北杜市。面白いよね。
大垣 私は、もう行っちゃえばって。このお年で移住されれば、例えば、移住支援金とか。
残間 優遇措置があるよね。
大垣 それから、あちらで家を建てられれば、住宅金融支援機構から借りるときは、いい家を建てると下がるんですけど、金利が。そこからまだ、あと0.25パーセント下げるっていうような、ほとんど金利がなくなるぐらいの優遇があったりとか。
今、若い方が動くと、とにかくいいことしか起きないので。
残間 でも、どうしていいと思ったんだろうね、北杜市をね。
鈴木 もっと色々話を聞いてみたいですね。
残間 行ってみるといいんじゃないかな。
大垣 行ってるんじゃないですか。
残間 いらしてるのね、きっともう。
大垣 これが、見たこともない、聞いたこともない場所だとちょっとまずいかもしれないけど。
残間 北杜市は、よく知ってるよね。私たちも。
大垣 うん。本当にいいところだし。でも、すごく新鮮でした。このぐらいの方が。女性はもう、動くって決めたら、男はもう着いていくしかありませんので。きっぱり行ったら。
残間 今だからいいような気がします。
大垣 うん。50になったら、決められなくなりますよ。
残間 50になったら、60過ぎぐらいまでは難しいよね。生活が。
大垣 そうかも。最近の人は、子供が産まれる年が遅いから、50だとまだ、学校に行ってますよね、子供が。なかなか動けないしね。
鈴木 ぜひ、我々はお勧めします。
大垣 背中、押しちゃいますので。ぜひ。
鈴木 また後日談も、ぜひ教えてください。おとなライフ・アカデミー2022でした。
子供が巣立った後、寂しくならない家作りとは
鈴木 聞いて得する、家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。
大垣 メールをいただいています。
小学生の男の子が二人、そろそろ
家を買おうかと思っています。
老後、2階は使わないで暮らしている
なんていう人の話を聞くたびに
子供が巣立った後、困らない、そして寂しくならない
ような家って無いのかなぁと考えています。
アドバイスをお願いします。
新京成登山鉄道 さん(千葉県船橋市・男性)
ないですね。
残間 貸しちゃえばいい。
鈴木 確かに、2階は使わないで暮らしているなんて。
残間 みんな、倉庫みたいになっているよね。
大垣 2階を、プレハブの上等なやつで外せたりとか、減築っていうんですけど。そういう問題じゃなくて、やっぱり、家は、ファミリー用の家だし、子供がいらっしゃらなくなったら二人で住む。
残間 別のところに。
大垣 それから、学校が近くて会社に通いやすいところがいいとは限らないし。そういうところに限って、高いから、狭い土地の上に、部屋数はあるけど全体的には狭いみたいな家になりがちだしね。
残間 家族が拡大化したところを想定して家って建てるからね。
大垣 だから、やっぱり、そういうふうに考えるよりは、動くって考えたほうがいいんですけど。
そのとき一番問題になるのは、この方は35歳ぐらいだとしましょうか。
残間 40歳ぐらいじゃない、小学生の男の子って。
大垣 ローンを組まれちゃうと思うんですね。75ぐらいまでになっちゃうじゃないですか。35年ローンで組むと。20年ぐらい経ったところでお子さんが大学を出て、次の家に行こうとすると。
その段階だと、まだローンが残っているんですよね。
具合の悪いことに、そのへんだと、売ると、ローンを全部返しきれない可能性がありますよね。
良くないことなんだけど、家の価値が下がる。今は銀行はお金を貸す時っていうのは、家はだいたい20年で。
残間 土地代だけの価値に。
大垣 はい。担保評価をしなくなるので。そうすると、買う人はお金が借りられないので、買う人が急に減るので、家って、持つんですけど、売りにくくなるんです。
そういう意味では、自由が保たれないので。
今、一つは、借り上げですけど。やっぱり、船橋だと、おそらく月にボーナスの返済を入れない場合だと10万円ぐらい返していらっしゃるだろうから、それだけの家賃が出るかっていうと分からなくて。
そんなことで、この間からお話ししている残価設定型住宅ローンっていうのを作って、だいたい20年ぐらいのところで、そのまま住んでても、10万円ぐらいのところが4万円ぐらいに減って、減るので、そのあと貸して貰えば、6〜7万円は絶対に入ってくるので、返済が十分にできて、家は、持ったまま、返済は何もないことになるので。
残間 寂しくならないような家ってないのかな。
大垣 夫婦仲良くいくっていうことで(笑)。二人で寂しくないっていうのが一番大事なことで。
残間 基本は二人、ね。
大垣 やっぱり、そういう意味では、子供が巣立つっていうところを、スッキリやれるかっていう。
残間 巣立った後、またね。夫婦関係だってうまくいくかどうか分からないんだし、どっちかが先に死ぬかもしれないし。
大垣 そうだね、それは次の心配だし。とりあえずは二人で楽しいのが一番いいんだろうね。
残間 そんなに楽しくないと思う。
大垣 残間説は常にそうなんだけど(笑)。
鈴木 残価設定型住宅ローンもありますので。
大垣 色々出てきていますから。持ち方を考えてください。家を人生に合わせるんじゃなくて、持ち方を人生に合わせるっていう考えを持つと楽になるかもしれません。
鈴木 参考になさってください。おとなライフ・アカデミー2022でした。
家は60を超えると借りづらい? そんな不安を解消する二つの制度
鈴木 聞いて得する、家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。
大垣 きょうはメールをいただいています。
40過ぎてから結婚し、ずっと賃貸暮らし。
二人の子どもがようやく成人したこともあり、
少し狭い家に住みかえようかと考えています。
ところが、いろいろ調べてみると、
この年になると賃貸物件を新たに借りるのは難しいとか。
まだまだ普通に働けますし、勤務先も70歳過ぎても
体の続く限り働いてほしいと言われています。
でも住宅購入するような資金はありませんし、
この年ではローンを組むのも難しいですよね。
日々不安を感じています。
この先どうしたらいいのでしょうか。
家なき爺さん(65歳・練馬区)
残間 65で爺さんなの。
大垣 ねえ。私、今年で64ですけど・・・。まあ、私も爺さんか。
残間 今でも、65だったら借りられますよ。
大垣 借りれるけどさ。
鈴木 働いていますしね。
大垣 まず一つなんですけど。60を超えると賃貸が受けにくいっていうのは、依然そういうことはあるんですけど。昔は、高齢者を拒まない住宅のリストっていうのを作って見せるっていうのをやってたんですけど。
わざわざなぜそうしないといけないっていうのがあったりして。
それが全部、一旦、発展解消して、今の、サービス付き高齢者住宅に。
残間 サ高住。
大垣 そうそう。いわゆるサ高住っていうのになったんです。だから、ここが多分、案外みんなご存知なくて。普通の賃貸住宅でなければ、介護をやっているサ高住っていうのがあるみたいに思っている人が。
残間 いますよね。
大垣 でも、実はサ高住って、ものすごく範囲が広くて。もともと、比較的高齢者の方を意識した賃貸マンションみたいなものから、いわゆる老人ホームって言われているようなものと全く同じ、介護が提供されていて、提携の医療施設があって、具合が悪くなればそちらに行ったりとか、本当に有料老人ホームと重なっているものと。
残間 そこまでもいうの、全部。
大垣 はい。有料老人ホームとサ高住のそういうやつとは、行ったり来たりが、制度的にも。同じレベルのものになっても構わないんです。だから、サ高住ってめちゃくちゃ広いんです。
残間 バリアフリーにしてあるよっていう程度のものからね。
大垣 バリアフリーだけだとサ高住になるか分からないんだけど。サ高住って呼んでいるものがなんでサ高住と呼ばれているかというと、作るときに、補助金が出るので。そういうのをもらうための基準を満たしているとサ高住っていう概念に入るっていう、そういうぐらいの話で。
作るときに、一番下のところに焦点を当てて補助金をもらいながら、わりと賃貸住宅っぽいものになっているものもあれば、老人ホームっぽいものもあるんです。
だから、https://www.satsuki-jutaku.jpを開くと、日本中のサービス付き高齢者向け住宅の登録してあるやつが検索できるんですけど。
その検索のサイトって賢くて、そこで「どれぐらいの家賃」「初期費用」「サービスの程度」を。
残間 条件を。
大垣 選んで、地域を選ぶと、そこに登録してあるものが出てくるので。
そういうのを一度やってみて、実際私、練馬区でやってみたんですけど。ものすごくそういうのはなかった。ほとんど若向きでもいいんじゃない、みたいな感じで、8万円ぐらいの家賃で、とかって。自分だったらそうかなっていうふうに入れてみたら、なかったんですけど。
色々調べてみると、それで叩くと、あれこれ出てくるので。
お年から言って、最低限の、お昼だけ一人、何かあったときの方がいらっしゃるみたいなことでいいかもしれないけど、二人いるとか、3人いるとか、24時間で見てくださるのがあるとか、食事がつくとか。
残間 まだこの方はね。
大垣 うん、段階があるので、そういうのでご覧になって。今はいいけど、お二人で、たとえば、一回、ある大手メーカーさんは、団地を作った横にそれを作って。そうしたら、中ぐらいのサポートがついてるんですけど、ご両親が田舎からやってきて、でも、二人で住むのは嫌だからって、シングルを二つ借りて住んでらっしゃるとか。
そうすると、孫のところにすぐに行けるので。
わりと、バリエーションがあるので、少し調べてご覧になったら。
残間 急にでき始めましたよね。この何年かで。
大垣 そうなんです。あと、もう一つは、リバースモーゲージを組まれて、せっかくお子さんがいらっしゃるみたいだから、お子さんも一緒に借り入れ人みたいになって、同じところで二世帯で住むとか。
残間 買うっていうこと?
大垣 うん。リバースモーゲージは、60歳以上しか借りられないものなんですが、担保の評価が厳しいので、事故資金額が多少ないと買えないんですが、小さい家で、練馬だと大変かもしれないけど、ちょっと行くつもりになれば、案外、利息しか返さないので、あまり金銭の負担がなくて。亡くなったときは、家で返しますっていうことで返せてしまうものなので、そういうのを使われるのも一つかもしれません。
残間 そうか、だんだん借りられなくなるんだ。
大垣 まあね。
鈴木 サービス付き高齢者向け住宅、ぜひ家なき爺さん、検索してみてください。ありがとうございました。おとなライフ・アカデミー2022でした。
遠隔地から通勤していると、将来の年金がお得になる?! 通勤手当のアレコレ
鈴木 聞いて得する、家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。
大垣 メールをいただきました。
「楽しい放送をありがとうございます。
大垣さんの御著書、金融と法Ⅱを読みました。
3点お尋ねします。
①p148のgreekは、ちんぷんかんぷん。
数理担当者のギリシャ文字はおもしろかったです。
通説ですか。
②p198の新株予約権はインサイダー取引とどのように違いますか。
③p242の福利厚生費、たとえば通勤手当は
支給しなくとも法で義務化されていないと認識しました。
正しいですか。」
(パンプキン座布団さん・横浜市保土ヶ谷区)
残間 すごい、読んだなんて。
大垣 こんなものを買っていただいて、ありがとうございます。なかなか面白いご質問をいただいていて。
greekっていうのは、ギリシャ語っていう意味なんですが、それに注をつけているんですけど。
何を書いたかっていうと、”It’s greek to me.”っていう英語表現があって。「それは私にとってはギリシャ語だ」=分からない、ちんぷんかんぷんっていう意味なんですが。
オプションっていうデリバティブの分析をするときに、デルタとかシータとか、ギリシャ語で書かれているやつを分析していくので、それは”option greek”っていうんですけど。
それは、現場的には、もちろん、ギリシャ文字で書かれているからオプションのギリシャ文字なんですけど、現場的には、ほぼ全員が「分からない」と思いながら、また出てきたよって思っているっていうことで、option greekって言ってるのかも・・・って書いたのが。通説かって。
残間 通だね、この人、そんなところに目が止まるって。
大垣 はい。ものすごく小さい字で書いてある注なんですが。
私たち的にはそう思っていたっていう感じでしょうか。
もう一個のご質問で。福利厚生費のことが、デリバティブだけど出てくるんです。これは、新株予約権っていうのの関係なんですが。
それとの関連で、通勤手当について。
これは正しいんですけど。
残間 出さなくてもいいの。
大垣 労働法っていう法律は、少なくとも義務づけはされていないんですけど。ほとんどの会社は就業規則っていう、自分で決めたルールで守らないといけない規則の中に、通勤費を出しますよって。
残間 最近、月15万までっていう会社も出てきたもんね。
大垣 15万は、15万円以上払うと、もらった側の給料になっちゃうんです。
残間 そうなの。
鈴木 ほお。
大垣 15万円までは、もらっていても、税金がかかっていないでしょう。本当は、5万円もらったら、今月の給料は30万円だったら、35万円の給料をもらったっていうことになっちゃうので、それに所得税がかかるんですけど。もらっていないことになるっていうか、経費みたいなものなのでっていうことになって。
でも、会社の側は、給料と同じように払っているんだから、経費で落とすんですね。
そういう特例の上限が、税金の法律で15万円までですよってなっているんです。結構、ちゃんといろんなことが決まってるんですよ。グリーン車だったらダメとかね。
バブルのときからずっとそうなので。バブルのときに1回、新幹線通勤っていうのが。
残間 今も、遠くでもいいよっていうような、リモートになったから、通勤手当が。その代わり、家の手当はなくなるとかね。
大垣 そうそう、色々ね。それから、もう一つは、そういうことがあるので、通勤手当は全廃して、リモートにっていうことにして。かかったら請求してくださいっていう形に変えると、案外減っちゃったりとか。
あと、通勤費が面白いのは、そうなんですけど、年金をやるときのベースの給料には、それが入っているんですね。
残間 入ってるんだ。
鈴木 へえ。
大垣 だから、変な話ですけど、同じ給料でずっと一生いた人たちで、遠いところに住んでいる人と近いところに住んでいる人だと、遠いところに住んでいたほうが若干年金が増えるっていう、不思議なことが。
残間 フリーランスのときに、フリーっていったって契約みたいな、雑誌記者のときに、毎週もらえるお金と、交通費で、交通費がギャラの中に入っちゃってたの。
そんなにもらってないのに、地方に行ったりするわけじゃない、取材で。それが入っているから「こんなにもらってないのに」って思って。不思議に思ったら、やっぱり。同じ場所にはいっていないんだけどね。
大垣 本当は、交通の手当も、手当と一緒にして源泉徴収したりとかしないといけないんですけど、お車代って別にしたりするじゃないですか。
本当はいけないっていうことになっているんです。
残間 課税されていましたよ。
大垣 そうでしょう。源泉徴収されていましたよね。
この話に関連して、今回は他にもメールをいただいておりまして・・・。
「コロナ禍でテレワークが増えたおかげで、駅から多少遠くても
広い物件の人気が上がっているというニュースを見ました。
こういう傾向はこれからも続くのでしょうか。」
「ジャンバル・マージャン さん(厚木市・60歳)
どんどん、会社がいろんなものを切っていくから、案外、もうそれでいいやみたいになって。
残間 会社も社屋を手放して、近所の貸し会議室で会議やってるっていう人いた。
大垣 やってみるとそんなに不便じゃないんですよね。
残間 そうなんだってね。
大垣 だから、通勤費なんていうのは、法律で決まっていると、そういうところはガチガチなんだけど、案外。
残間 今度、福利厚生費って、最近、コマーシャルで見ると、いろんなのがニューノーマルの福利厚生で、これもあれもみんな福利厚生に入るよっていうようなのを見るんだけど。
こんなのも入るの? っていうのもあったんだけど、今度それも聞いてみたいな。
大垣 このところは法定福利って言って、社会保障費みたいなものがあまりにも増えてきたので、昔充実していた、法定外って言うんですけど、その福利費がどんどん減っていってるんです。
そういうのがずっときていたんですけど、典型的にお金がかかるやつじゃない感じの福利厚生をやっていくことで、むしろ魅力を高めていこうっていうことで。これはコロナがいいきっかけになったんでしょうね。
鈴木 ありがとうございました。おとなライフ・アカデミー2022でした。
人生100年時代の介護は、事前の覚悟が重要です。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんをゲストにお招きしました
鈴木 「介護離職」という言葉が一般的になってきています。
大垣さん、残間さんの身近に、介護のために人生が大きく変わったという方はいらっしゃいますか?
残間 ものすごくいますよ。それに、離職とまではいかなくても、やっぱり、親兄弟だったりすると。それから、やっぱり最近、私の周辺は、配偶者の介護が始まってきているから。
大垣 そうね。
残間 それなりに、自分が行きたい方向に行けるっていう人は少ないですね、介護をやっている人は。
鈴木 きょうは介護の専門家をお迎えします。
●大人の花道
鈴木 きょうはお客様をお迎えしています。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんです。
太田さんはファイナンシャル・プランナーでNPO法人パオッコ理事長でもいらっしゃいます。太田さん、よろしくお願いします。
太田 よろしくお願いします。
鈴木 まず、太田差惠子さんのプロフィールから。
大垣さんと同じく京都市のお生まれなんですね。
太田 そうです。
鈴木 介護保険が制度化される以前、1990年代から「介護は親のお金を使う」「介護離職はなるべく避ける」など、人生100年時代に無理なく介護を続けるための情報発信を続けていらっしゃいます。
ご著書も多数出版されていますが、最近では、お笑いコンビ「メイプル超合金」安藤なつさんとの共著『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』(カドカワ、2022年)が話題となっています。
大垣 実は、JTIの借り上げの制度を、その中でご紹介をいただいたんですよね。そんなご縁で、きょうはぜひと。
鈴木 お笑いの方とのコラボっていうのは、どんなところから企画がスタートしたのでしょうか。
太田 編集部のほうからの話なんですが。今まで、たくさん本を出しているんですが、だいたい私の本っていうのは、大変になってから書店に駆け込まれて、購入してくださっているようなんですね。今回の本に関しますと、直面する前に、ざっくりは知っておこうというコンセプトの企画なので。これはとてもいいなと思いまして、私も著者の一人として参加いたしました。
大垣 先ほどの借り上げの話も触れていただいたんですが、認知症になられてからだと動きが取れないんですよね。
太田 そうなんです。
大垣 特に、家のことは全部、裁判所の許可がいりますとか、そんなふうになっていて。
残間 成年後見人制度にしてもね。
大垣 一番可哀想だった話は、それをやっているうちに亡くなられてしまって。で、今度は奥様が認知症になられてっていうので、無間地獄みたいな感じになっていたりとか。
太田 そうですね。
大垣 事前に備えるって大事なことですよね。
太田 知らないがゆえに、介護保険のことも、ほとんどの人は、制度があることはもちろんご存じでも。
たとえば、最初の相談窓口である地域包括支援センターというところのことも、ご存知ないし。とにかく親が倒れて、今、入院期間が短いから、あっという間に退院が来て、どうしようっていうことで。そして、バタバタとなるわけですけれども。
だから、そこで仕事を辞めるとか。
残間 辞めざるを得ないってね。誰も見る人がいないのでね。
太田 そうですね。あと、お金をどうしようだけど、もうお金のことを言ってられないって。お金のことは後で考えようとかっていうことで、どんどん厳しい状況に追い込まれていく人とか。
介護って、子供がすることが確かに多いとは思うんです。だから、お金のことも、子供がやって当たり前なんだって思い込んでいる人って、非常に多くて。でも、実際問題無理ですよね。40代、50代で。
残間 一番大変だしね。
太田 一番大変なときですよね。そこに親の介護のお金を、もし注ぎ込んでいくとしたら。そうすると、自分のときはどうするのっていう話です。
大垣 その通りですね。
太田 今現在もどうだし、これからどんどん厳しくなりますよね。今のご高齢者は、年金などもまだ。
残間 今はまだね、少しいいけどね。
太田 ここまでの高齢者は滑り込みセーフのところがあって。ただ、一方で、今のシニア世代も、子供に迷惑はかけたくないっておっしゃる。
残間 そういう宣伝、すごく多いよね。葬式代とちょっと残したい、みたいな。
大垣 物理的には介護っていうのは、仕事もありますからしないですけど、うちはおばあちゃんが20年ぐらい、80過ぎたあたりで腰を割っちゃって、母が介護をして、最後は施設だったんですけれども。ちょうどニューヨークにいるときだったんです。それで、遠距離介護も二つあるんだと思うんですけど、遠距離で行くのが大変っていう介護と。私は、遠距離なので、お金しかサポートできないっていう。僕らの世代って、そういうもんだって思っていて。
残間 きてもらっても役に立たないしね。
大垣 で、やっぱり、お金は長男が持つものだって。
残間 そういうのが、まだあった。
大垣 ありましたね。で、何を考えたかっていうと、すぐに転職。で、ニューヨークで外資系の。僕はたまたま金融機関に勤めていたので、マーケットに出れば、会社でもらっている10倍ぐらいの値段がつくじゃないですか。
鈴木 転職のきっかけが介護だったんですか。
大垣 そうです。それで、決めて。先輩の方が、たまたま本部の仕事でいらしていたときに。結構マッチョな人でね。その人が「自由の女神のところに連れて行け」っていうから、「僕、もう辞めようと思うんです」って言ったら、そうでもないんじゃないって言って、すぐ戻れっていう話になって。それからは、毎月、めちゃくちゃかかるじゃないですか。遠距離だと。だから、それを払うための。それが主たるあれじゃないけど。
残間 一つの要因。
大垣 ものすごく大きな要因でしたよね。大変ですよね。
太田 自分も老いていかなければいけないっていうことが。
残間 私たちの親世代って、どこかで、子供が見てくれるって思っていて。非常にリベラルな、労働運動なんかしている、社会運動家だった母でさえも、娘と息子がいるんですが、やっぱり娘だっていうふうになっちゃうのよね、なんとなく。
大垣 世話になるのはね。でも、本当に物理的に世話になるのは娘だっていうのは、それはそうなんじゃないですか。
残間 多分、気が楽だと思うんだよね。息子の配偶者に頼むよりはね。
大垣 そんなの、絶対俺、おむつ替えてほしくない・・・(笑)。
残間 だけど、たまに息子が来ると、「お姉ちゃんは本当にうるさくて辛いの」って言って、愚痴ってるけどね。それもよくある話だから、いいんだけどね。
●大人の一曲
鈴木 引き続き、太田差惠子さんにお話をうかがっていきますが・・・。
ここで、音楽をお届けします。今日は第一土曜日なので、大垣さんのセレクションです。
残間 また変わった曲を言ってきたな。
大垣 こういう、戦争とかが起きてしまっている時期なので。亡くなられたり、可哀想な目におあいになっている方もいらっしゃるので、久しぶりに、フォーレのレクイエムで有名なもので、一番いいところを聞いていただきたいと思います。
鈴木 ガブリエル・フォーレ作品48二短調の第4曲「ピエ・イエス(レクイエム)」から。
〜♪〜
鈴木 ガブリエル・フォーレ作品48二短調の第4曲「ピエ・イエス」でした。
●おとなライフ・アカデミー2022
鈴木 今週は、ゲストに、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんをお迎えしています。引き続きよろしくお願いします。
大垣 先ほど、ちょうど遠距離のお話になって。遠距離介護の本もお書きになっていますよね。案外、そういう視点で書いた本ってないですよね。
太田 遠距離介護っていう言葉は私が作りました。
大垣 そうなんだ! そういう中で、どういうことがポイントになるんですか。
太田 遠距離介護が、他の介護と違うポイントですか。
大垣 あるいは、文化放送のリスナーさんって、おそらくご実家が遠い方も多いと思うんです。そういうときに、本の中のポイントみたいなものを。
残間 実家から離れて東京にきたり、団塊の世代なんか、全部大体そうですけど。子供が多いので、みんな、次男からは都会で働くっていう。結局、実家が遠いっていうことですよね。
太田 一昔前は、遠方に親がいたら、何かあったら自分がUターンして介護するとか、呼び寄せてこっちにきてもらう、そして介護するっていうことだったわけです。今現在も、そう思って、親が具合悪くなると呼び寄せかUターンかっていうところで、とりあえず皆さん悩まれるんです。でも、自分の仕事とかあるし。そうすると、Uターンは無理で、じゃあきてもらおうっていうことになるんですよ。
でも、親御さんのほうを取材すると・・・。
大垣 それは無理ですよね。
太田 「東京なんか行きたくない」と。
残間 だって、コミュニティがあってね。
太田 すでにコミュニティがあるから。私は、連れてくるのは、もちろんそれで、中にはハッピーになる方もあるとは思うんですけれども、うまくいかないケースのほうが、今まで取材してきた感じでは多いと感じています。
残間 暮らし方が違いますものね。
太田 それだったら、お互い離れたままで、お互い、今の生活を維持したままで、親を介護しようっていうのが遠距離介護です。そのためには、入浴、排泄、食事の介助をどうするんだっていう話になるんですけれども、それは、プロにやって貰えばいいと思うんです。
もちろん帰ったときとか、できるときは自分たちで。だから、親の様子をしっかりと見て、今この親は何ができて、何ができないのかっていうことをしっかり観察する。
そして、しっかり観察して、じゃあできないところは誰かがケアしなきゃいけないじゃないですか。そうしたら、それを家族がするのか、家族ができないんだったら、そこにプロを入れるしかないわけですから。
もしかすると、それは施設っていうことになるケースもあるし。
だから、私は介護はマネジメントだと提案しているんです。
今、困ったこと、お仕事と同じように、課題を探して、そしてその課題を潰していく。そのためには、やっぱり、プロの手を借りるにはお金が必要です。
大垣 そうですよね。
太田 だから、親御さんがどのぐらいお金を持っていらっしゃるかっていうことによって、ずいぶん変わってくるし。でも、一方で、親御さんは、年金をちょびっとしかもらっていないっていうことであったら、いろんな医療費とか、介護費とか、軽減していく制度もあるし。そういうものがあるっていうことを知っていたら、なんとかなっていくんですね。
で、あるいは、年金はちょびっとで、現金はないけれども、家はあるっていう親御さんは非常に多いから、もしかすると実家の現金化を考えなければいけないっていうこともあるかもしれないし。
でも、いろんな方法があるから、遠距離介護っていうのは、お仕事をしながらやっている人は、男女問わず、緻密に考えていって、ときには親御さんがサ高住なんか嫌だとか、施設なんか死んでも入らないとか、おっしゃるんですけど。
大垣 これ、今のご両親って、そういう世代だと思うんです。もう少し視点を変えたいんですが、これから僕らは、そういう親になっちゃいけないですよね。
太田 そうなんです。
大垣 今が大変なのはそうなんですけど、自分たちは少なくとも、自分がやったことは子供には絶対させたくないから、そうすると、どういうふうに備えていくかっていうところのノウハウが、もっと共有されないと。
太田 とても大事なことは、今、本当に大変な介護をしていらっしゃる方が、本当に多くて。それを連鎖させちゃいけないって思っているんです。
大垣 早めに子供と話をしていたほうがいいんでしょうかね。
残間 子供とっていうより、自分の覚悟の問題だと思う、親世代は。子供に言ったって、子供はリアリティないもん。
大垣 アメリカだと、相続をする前に、自分が認知症になったところで、すでに財産処分をするというので、信託をやったりっていうのが普及しているんです。そういう発想が全然ないじゃない。
残間 日本は先に、情が絡むのよ。
大垣 自分で、後始末は全部早めに終わらせておくような手立てっていうのがないと、結局、介護保険が充実していても。
残間 でも、言いにくいんだよね。死っていうものを語らないといけないから、お互いに。親の、我々の世代は、団塊の世代は特にそうですけど、自分たちがどうするかっていうのを、書き留めるなり、日常から言っておくなりは、みんな、遅ればせながらしていますね。
太田 だからこそ、親の介護に自分のお金を注ぎ込むことはやめましょうって。体力と。その代わり、自分が老いたとき、介護が必要になったときは、自分のお金を使うわけだから。親の介護をしながら、分かるじゃないですか。お金の移動がどれほど難しいかとか。
だからこそ、自分が老いた時に、もし自分の判断力が低下したら、自分はどのお金で・・・どのお金でって言っても、自分がお金をおろしに行けないことだって十分あるし。
それが子供のいる方であれば、子供に言っておくのか、あるいは、信頼できる第三者、あるいは任意後見をつけるとか。いろんな方法があるので。
残間 制度も変わるしね、ちゃんと見てないと。
鈴木 まだまだお話を伺いたいんですが、お時間になってしまいました。太田差惠子さんと安藤なつさんの共著『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』(カドカワ、2022年)税込1650円で発売中です。ぜひお読みください。
残間 他にもいっぱい本を書いていらっしゃるから。
鈴木 私も気になるタイトルがいっぱいです。きょうはありがとうございました。
残間 先んじて勉強しましょうね。
大垣 僕が喋り過ぎたから、最後に何か。
太田 女性で90歳まで生きる人、二人に一人っていう数字ですよね。男性が4人に一人なんですけれども、女性の場合、4人に一人が95歳まで生きるわけです。っていうことは、人生100年時代は、何も大袈裟じゃない時代に入っていて。そうすると、やっぱり、お金は大事なんです。女性に関して言えば、105歳ぐらいまで生きると考えて計算していかないと。
残間 今70だとすると、35年って結構大変だね。それと、病気にかかる率も、健康寿命っていうのがまた、女性のほうがちょっと短いですものね。
太田 年金に関しては、ありがたいことに死ぬまで出ますが、貯金を取り崩していくっていう場合は、割り算を間違えると、持っているお金でどういうふうに老いていくかっていうことを、しっかり。
残間 一応、100までと考えて割り算をするしかないね。
太田 そうですね。自分のこれからのためにお金を使っていくのがいいんじゃないかなって思っています。
一同 ありがとうございました。
鈴木 きょうのお客様は、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんでした。ありがとうございました。
残価設定型住宅ローンの「残価」とは?
鈴木 聞いて得する、家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。
大垣 ずっと言ってるんですけど。ようやく売り出しました、残価設定型住宅ローン。
きょうはパンフレットを持ってきたんですが。
残間 かわいいパンフレット。
大垣 これ、いくつかポイントがあって。一番重要なポイントは、普通ローンって、ある銀行が取り扱ったら、その銀行では必ず借りられるじゃないですか。残価設定型住宅ローンはそうじゃないんです。この家しか残価設定型住宅ローンは付きませんと。
なぜかっていうと、家が返す仕組みなので。
どんな家でも、この銀行から借りれば大丈夫、という仕組みにはできないんです。
こういう家だったら大丈夫ですよっていうことで。認定長期優良住宅っていう、100年住宅を対象にするんですが。今回はその中で、大和ハウス工業っていう住宅メーカーさんの家が第一号で認定をされました。
ということで、今は、大和ハウスのお家しか借りられないんですけど。ちょっとずつ増やしていこうということなんですが。
残価って何かっていうことなんですが「残った価格」じゃないんです。ローンの残高と同じ価格で、残価なんです。それから、もう一つ同じ意味があって。だから、売ってもローンが「残」らない。
だから、今、金利がすごい低いですよね。0.3パーセントとか、びっくりするほど低いんです。変動だと。でもこれ、上がっていかないとも限らないし、最近は上がっていくっていう噂もある。上がる理由はいっぱいあるんですけど。
そうなったときに、今はいいんだけど、あとはどうしましょうっていうとき。
一つは、金利が上がらないように、住宅金融支援機構のフラットって、固定の金利借りるっていうのが一つの保険ですけど。もう一個は、万が一のときには、売ればローンが残らない。JTIが買いますよっていう。それを、20年目ぐらいからは保証するっていう仕組みが、買取のオプション。
もう一個は、返済額が減るオプションっていうことで。だいたい35歳ぐらいで借りられることが多いんですが。
残間 退職後に。
大垣 いや、退職の前に、曲者があるんです。20年ぐらい経つと、55歳ぐらいのところで多くの大企業さんなんかは、役職定年とかっていって。
残間 最近、結構早いのよね。
大垣 カクンと下がったり。あるいは、実際には出向という形で、給料の低いところに動いたりとかっていう方も多くなってきているんです。それは、企業が、65歳、75歳まで雇いなさいって言われると、それはそれでいいんですけど、当然、これまでみたいに、右肩上がりで給料が上がっていく形では雇えないので。どうしても、抑えていきましょうねっていうことに。
残間 帰属先は与えるけれども、お金はそんなに多くないっていうね。
大垣 そうすると、借りたときはいいんだけど。これまでだと、僕らが借りた時は目線が上がってたんですけど、もしかしたら、40歳ぐらいまでは上がるかもしれないけど、そのあとまた下がり出したときに、ローンがだいぶ下がっていますので。
その頃には大体、月の返済額を3割から4割にギュッと縮められる。
残間 ありがたいよね。
大垣 ということですね。そうすると、ちょっとずつしか返さなくなりますので、ある程度は残高が残るんですけど。これはもう、関連のポイントでいうと、亡くなられたときに、相続した方がローンを引き継がないんだったらJTIが買い取りますので、やっぱり相続人さんには影響がないよっていう。
残間 ちょうどローンが、大変になったことと、子供の進学とかと重なるのよね。
大垣 それから、ご両親の介護も出てくるとかね。55ぐらいって、わりと、大変な時期なんですよね。そのときに、せめてローンぐらいはちょっと楽になるように。
それから、三つ目のオプションは貸せますっていうことで。たとえば10万円返済している方の返済額が、4万円返済額が下がったとすると。もうそろそろ、実家に戻ろうかとか、心機一転違うところに転職してみようかというときに。さっきまでは「売って大丈夫」だったんですが、よく考えてみると、売らずにJTIに借り上げてもらえば、いくらなんでも4万円っていうことはないですよね、賃貸の家賃が。家賃で返せるので、売らないでもそのまま家が自分で稼いで、自分のローンを返していってくれるので。
別のところに再出発ができるので。
で、三つ合わせて、家があんまり、人生の邪魔をしない保険がついていると考えてくださっていいんですけど。最近そういうのを「ハウジング・フリーダム」と呼ぼうと思っていて。家からの自由っていうか。家のしがらみから解放されたいねっていう。
残間 家は、作るまでは憧れなんだけど、途中から大変になるもんね。
大垣 やっぱり、長生きしちゃってるっていうのが問題で。前は、色んな意味で良かったんです。たとえばご両親が70ぐらいでは、結構みんな、そろそろ寿命かなって言ってた時代は、家を相続するときの年齢も30ぐらいなんですよね。ところが、今、女性の半分以上が90歳まで生きるっていうときに、最後におばあちゃんが亡くなられて、さああの家を相続だっていうとき、相続人の年齢は60歳とか。
残間 もっと上かもしれないね。
大垣 そうすると、嬉しいか? と。相続して。もういらないですよ、30年前に言ってくれよと。もういらないよと。相続される方の子供も出ていっているし。
家が、うまく人生にマッチしていないんです。
残間 回っていかないんだね。
大垣 だから、自分で、家の切れ目を自分の人生の転機に合わせて変えていく。
残間 変わってきているもんね。ライフステージがね。
大垣 だからっていって、賃貸でいいかっていうと、それはまた90までずっと借家でいいんですかって。怖いじゃないですか。
残間 だって、それ、貸してくれないのよ。だんだん。
大垣 だから、家は買うんだけど、その家とローンがしがらまない、ハウジングフリーダムが得られる家と、得られない家。これはやっぱり、買うときに考えたほうがいいだろうし、それができるようにしようっていう。15年前に考えたんですけど。
残間 15年前に。
大垣 15年前から作り出して、ようやく。だから、なかなかできないんですよね。はい。ということで。ダイワハウスさんが第一号になりましたが、これから続々と増えてくださるんじゃないかなって期待をしていますので、今、家をお買いになると思いになってらっしゃる方は、少し、こんなことにも注意をしてみていただいたらと思います。
鈴木 残価設定型住宅ローンについてでした。おとなライフ・アカデミー2022でした。
ミャンマークーデター前夜、現地銀行のCOOになった日本人がいた。泉賢一さんをゲストにお迎え
鈴木 改めて、ご紹介しましょう。 『ミャンマー金融道 ゼロから「信用」をつくった日本人銀行員の3105日』の著者でいらっしゃいます、泉賢一さんです。よろしくお願い申し上げます。
残間 おはようございます。
泉 泉です、よろしくお願いします。
大垣 お呼びしたのは、アメリカに行っちゃうんだって。
残間 今度?
鈴木 いつですか。
泉 今月(2022年3月)末を予定しています。
大垣 かわいそうに、ミャンマーは見捨てられてしまったのかもしれない。
残間 違うよ。ミャンマーで成功したから、次なるところに。
大垣 泉さん的にはそうなんだけど。ミャンマーは可哀想なんだ。
残間 そうか、ミャンマーは。
泉 また戻ってこようと思っているんですけど。
大垣 でも、近々に何か動くって感じはしなくなっちゃいましたよね。
泉 そうですね。
大垣 泉さんはずっと虎視眈々と本を書こうというので、ミャンマーにいらっしゃる頃から書かれていましたよね。
残間 虎視眈々って、狙ってたみたいじゃない。
泉 4年前ぐらいに構想が出たんですけれども。もともとの結末はこうじゃなかったんです。途中で書くのをやめたんですね。書こうと思ったものをやめたんです。それからクーデターが起こって、これは書かなきゃなと思って。
残間 最初書こうと思ったのは。
泉 最初は、もっとハッピーエンドで。成功しましたという事例集にしたかったんですが、ちょっと違うふうになってしまって。
大垣 最初にお会いしたときは、これの一つの、前身で。『ルワンダ中央銀行総裁日記』っていう有名な新書があるんですけど。あれのミャンマー版みたいになるといいね、なんて言ってたんですよね。
泉 そうなんです。ところが、最後、失敗談で終わってしまったんですが。
残間 泉さんの失敗じゃないものね。でも、やっぱり書かなきゃと。
鈴木 初めてお聞きの方もいらっしゃるかもしれませんから、改めて泉賢一さんのプロフィールを、こちらからご紹介します。
1966年のお生まれ。神戸大学農学部を卒業後、現在の三井住友銀行に入行。2013年ミャンマーに赴任。2019年からは一般財団法人日本建築センター嘱託職員を経てミャンマー住宅開発インフラ銀行COOをお勤めになり、現在は住友林業勤務で、今年(2022年)、アメリカはテキサス・ダラスに赴任予定でいらっしゃいます。
残間 すごいね、ダラスというのは。
大垣 住宅メーカーって、わりとダラスに。
泉 日本のメーカーはないんですが。
大垣 そうだっけ。
泉 はい。ただ、アメリカのメーカーは、ダラスは、ものすごい勢いで住宅が建ってますので。マーケットとしては一番いいところだと思います。
鈴木 ご著書がありますけれども。2013年47歳のときですね。
残間 4月1日、エイプリルフールの日に、突然の辞令によりミャンマーへ。エイプリルフールっていうのは、今私が言っただけだからね。
鈴木 ああっ、そうなんですね。帯には書いていないんですね。
残間 銀行がほぼ機能していないミャンマーへの赴任を命じられ、中小企業への融資制度を作る使命を託された。
大垣 「ほぼ機能していない」っていうのは、柔らかい言葉ですね。
泉 全く機能していない(笑)。
鈴木 実際は、全く機能していなかったと。
大垣 ないに等しい。
残間 ここでは「ほぼ機能していない」と書いてあるけど、「全く機能していない」だと。
大垣 だって、最初に行ったときに一番印象的だったのは、風呂敷みたいなのに、ボロボロのお札をいっぱい入れて、預けに行くんですよね。
泉 どんごろすって言うんですか、あれにお札をいっぱい入れて、銀行の窓口にポンと置きに行くんですね。
鈴木 ええっ。
残間 その部署には前任者もいなければ同僚もおらず、現地の情報もほとんどない。
大垣 でも、その前に、信用保証の仕組みを作られて。これがやっぱり、泉さんの。
残間 みんな、さぞかし語学力が素晴らしいと。
泉 僕は全くなくて。
残間 ここに書いてある。英語力の不足を補うため、英作文ノートをそのまま読み上げて、財務副大臣の心をつかみ、ときには外国人が初めて来たというような街の工場を訪ねる。
大垣 なるほど。
泉 もともと、一国の財務副大臣なんかに会える立場じゃないんですが、一番最初の出張で、アポイントを入れようとしていたんですけれども、だめだったんですね。で、今回ダメでも次があるかなと思って、帰りの飛行機を待つ前の日に急にかかってきて、「明日会えるから延ばしてくれ」と急に言われて。
ですから、何の準備もなかったんです。仕方なくノートに言いたいことを書いて。4ページぐらいだと思うんですが、それを読ませて欲しいといって、それを丸読みしました。
残間 丸読みしたの。暗記じゃなくて。
泉 暗記じゃないですね。暗記したのは、最初に、「あなたの大切な時間を潰したくないから読ませてほしい」って、この2行だけは暗記しましたけど(笑)。笑ってましたけどね。
大垣 向こうの人も、それなりに苦労しているからね。文法が日本語と一緒だから、多分、同じ苦労なんじゃないかな。
残間 そもそも、大垣さんもミャンマーに行って。それでいい人が見つかったって言って泉さんだったじゃない。そもそも、信用っていうものを勝ち取るためじゃなくて、銀行っていうより、金融制度を作るって。
大垣 私の場合は分かりやすくて、国が住宅ローンの仕組みを導入するのを助けましょうっていう国のプロジェクトがあって、そこに向こう側の受け皿のところにちゃんとした人がいないから行ってくれっていうことで行ったっていう、それだけなんですけど。
残間 銀行がないとダメだよね。
大垣 それで、あるのはあるんですけど。泉さんの場合は、かなり。
泉 その前のところですね。
大垣 さらに、普通の銀行から行ってるから、本当は会社のためになることを。ためになったのかもしれないけど。派遣元からはほぼ独立して。普通、日本人って、「何々銀行の泉です」じゃないですか。泉さん、あの頃はもうすでに「泉です」だったから。
残間 三井住友銀行の仕事として行ったの?
大垣 三井住友銀行の仕事として大事なものではあるんだけど、どっちかっていうと、匿名の。
泉 そうですね。今風の言葉でいうと、SDGsとか、CSRとか、そういう部類に入ると思うんですが、とてもそういうような高貴な感じじゃなくて、野放し状態でしたね。やりたい放題で。なので、いろんなところにも行けましたし、あんまり、銀行の厳しいルールとか、そういうものにも縛られなくて。
残間 本社からいろいろ言われなかったの?
泉 全く言われなかったですね。
残間 でも、それなりに泉さんを選んだ理由があったのよね、銀行には銀行で。「あの人なら間違いなく」って。
泉 たまたまだと思います。
残間 4月1日に突然の辞令って・・・。普通、エイプリルフールだと思うよね。
大垣 辞令って4月1日だから、全員がそう思っている。
残間 そうなの?
泉 まあ、4月は人が動く時期で。
残間 まさかとは思ったの、自分でも。
泉 最初、意味が分からなかった。
大垣 最初はシンガポールじゃなかった?
大垣 やっぱりミャンマーに行くところまで決まってたんだ。
泉 はい。
鈴木 ここで、音楽をお届けします。きょうは残間さんに。
残間 これは、ミャンマーでみんなが歌ってるって。本当?
泉 流行ってますね。ミャンマー語で。
残間 長渕剛さんの乾杯。意味違ってたり。私もYouTubeで見たけど、節が違う人もいたけど、でも、みんな歌ってましたね。
泉 基本的には同じなんですけど、言葉は丸切り入れ替えてます。
残間 日本の音楽って結構あるんですか。
泉 あります。
残間 どうやって伝わってきたんだろう。
泉 どうやってでしょうね。誰かが広めたんでしょうね。
残間 ということで、きょうは長渕剛さんの乾杯を聞いていただきたいと思います。
〜♪〜
鈴木 引き続き、泉賢一さんにお話をうかがっていきたいと思います。泉さん、よろしくお願いします。
残間 泉さんの本、最初、小説みたいだもんね。部長から突然言われたって。部長もよく分かってなかったみたいだもんね。
泉 そうですね。
大垣 これ、結局、当時の日本のODAの関係で、お勤め先の銀行さんが関与されてて、それで・・・っていう話になったんですかね。
泉 もともと、そんなに深いところはなくて。ミャンマーが急速に民主化に舵を切ったので、当時ミャンマーに外国銀行っていうのは、営業は一つもできていませんでしたので。何かいいことがあるかもしれないから、名前を売っておこうと。
残間 (笑)。
大垣 余裕だなあ。
泉 最初から、そういうふうに言われました。で、5年か10年か分からないけれども、東京オリンピックまでには帰ってこられると思うと、当時、副頭取から言われたんですが。東京オリンピックの前には、確かに戻ってはきました。確かにね。ただ、当時とは全く。途中で流れも変わりましたし、銀行のやろうとしていることっていうのもかなりズレてきたんですが、最終的にはお互いのために役に立ったかなっていうふうには考えています。
大垣 最後、日本の銀行、たくさん出ていっていましたけど。いま、どうなってるんでしょう。
泉 最初に、第一弾に免許が降りたときは13行、外国銀行があって。日本は、いわゆる3メガバンクは全部出ていて。当時、日本が三つで、シンガポールは二つ。日本が最大だったんです。
大垣 どうしてるんだろう。
泉 今もまだあります。
大垣 あんまり、やることないよね。
泉 ないです、商売にならないですね。
大垣 ふーん。
泉 お金も動かないし、制裁もありますしね。
残間 この本の「終わりに」が面白いよ。「人の運命というのは、全く予想のつかないことばかり起こりうる。高校時代はバイオテクノロジーという言葉が持て囃され、私は神戸大学農学部に進学した。」
大垣 それで農学部に行ったんだ。
泉 はい。
残間 農学部では、でも、害虫対策や、疫学を学んだと。
大垣 それ、結構役に立ったんじゃない。
一同 (笑)。
残間 将来はメーカーの研究職に就くつもりでいた。
大垣 へえ。
残間 すごいじゃない。疫学やってたりしたら、今、関係あるしね。
泉 そうですね。もう全部忘れましたけどね。
大垣 そうか。
残間 それで、銀行に行ったのね。面白いね。それで、こうやって本まで書いてね。
泉 そうですね。こういうことがなければ、ラジオに出演することもなかったし。
残間 それから、アメリカに行くっていうことは、やっぱり、その後、語学力がまた増大したと。
泉 いやいや、増大はしてないんですけれども。まあ、維持はしているということなんですが。
大垣 語学力っていうより、「俺が喋ってやってる」っていう、ちょっと、度胸みたいなのが。
残間 それは大垣さんが一番得意じゃない。
大垣 へつらい型で、すみませんできなくてってやってる間は絶対に喋れないです。普通に喋れるようになるんですよね。
残間 だけど、43歳で英語の学びをスタートして、TOEICの点数が400点前後から、2年で850点まで。
大垣 謙遜されてるけど、完璧に通じてる。
泉 いやいや。
大垣 帰国子女みたいな感じのかっこいい感じじゃないんですよ。私もそうだけど。でも確実に通じる英語ですよね。
泉 東南アジアは、彼らも英語は第二言語ですし、お互い、得意じゃないというのが分かるので。
大垣 外来語っていうように日本ではしちゃうけど、金融の言葉、特にミャンマーでは、ミャンマー語にならないから。結構英語ですよね。
泉 そうですね。訳せないものが多いです、ミャンマー語に。
残間 こうやって1冊にまとめあげると、その日々のことを思うと、いいでしょう。懐かしいし。
泉 懐かしいですね。もう10回ぐらい読みましたけど、毎回刺さるところが違うんですよね。
鈴木 自分自身でも。
泉 まだ書き立てホヤホヤですけど、10年ぐらい経ってもう1回ぐらい読んでみたらどうなるのかなと。
残間 すごく大事な本でもありますよね。ミャンマーがこういうふうになったのを、そういう立場でずっとご覧になっていたというのは。
大垣 やっぱり、僕はこういうのが大事だなと思うのは、やっぱり、私も政府のODAとかっていうのの絡みで行ったじゃないですか。いかに現地で本当に状況をわかって考えていないかっていうのがひしひし分かるっていうか。あんまり悪口言っちゃいけないけど、完全に机の上で考えたようなことで、ものすごいお金がきてるんですけど、現地に来ると、そんなの全然意味ないじゃないかっていう。
泉 そうですね。
大垣 だから、やっぱり、お金はすごく出してるんだと思うんです、日本って。
残間 私たち、現場は知らないけど、お金は出してるんだろうに、ほとんど、認めてももらえていないっていう現状ってときどきあるじゃない。ときには「金だけ出しやがって」みたいに言われたり。
大垣 俺、もうこれから先呼ばれることないだろうから、きょうは悪口言ってやろうと思うんだけど(笑)。
政府の関係の金融機関の方とかも、行ったことない方っているものね。
泉 そうですね。
残間 現地にね。
大垣 だから、日本に帰ってきて、こうしないといけないっていう話が、全然、真摯に受け止めるっていうか、「そういうことを言われても全体が回らなくなるから、ちゃんとやってくれないと困る」とか。なんか、そっち系の話に。
泉 そうですね。広い視野で捉えるとそうなんですが、ミャンマーの国自体もそうで。ミャンマーの役人も、田舎に行ったことがないんですね。ミャンマーの役人より私のほうがミャンマーの田舎には行ってます。
残間 なるほど。
泉 分からないんですね。どこの国でもそういうのはあると思いますね。
残間 そうか・・・。ダラスに寄せる想いは。
泉 全く違う仕事をするんですが、物事には原因が必ずある。なぜ、スーチーさんと国軍がもめたのかっていう原因も、ずっと突き詰めていけば何かあるんですけど。今回、新たにする仕事も、会社のいろんな規律が守られているかっていうのをチェックしに行くんですね。
なぜ守られていないのかとか、なぜその規律を作らないといけないのかっていう、原因を探っていくので、そういう意味では論理思考っていうのが役に立つのかなと。全く違いますけどね、やることは。
大垣 でも、アメリカの人は。行く外国としては一番いいんじゃない。
残間 住友林業として行くんでしょう。
泉 そうですね。
残間 そこで、住友林業として仕事をしないといけないんでしょう。
大垣 ある種偉い人だよね。
泉 あんまり偉い人じゃない・・・。アメリカに子会社があるんですけれども、その子会社の業務がちゃんと適正に、法律に則ってやっているかというのを、監視しに行く。
残間 すごいじゃない。
泉 監視って偉そうですけど(笑)。
鈴木 ご帰国の際には、ダラスでのご活躍もお聞かせください。
大垣 一回縁がついちゃったら、また行くことになるよね。
残間 海外に行ってほしいと思うんだろうね、こういう人に。
大垣 幸せですよね。僕はすごい羨ましい。案外、銀行員の人って、この歳って言ったら怒られるけど、案外、可能性が開けなくなりますよね。
残間 一人で行くの?
泉 家族は、妻が一人だけですけど。
残間 妻はいくの?
泉 はい。
残間 ミャンマーも行ってたの?
泉 ミャンマーは、私、単身で行ってました。
大垣 一番幸せな時代になるんじゃないですか。
泉 うーん。あとは、戦争が始まらなければですね。
鈴木 本当ですね。改めて、泉賢一さんのご著書。河出新書『ミャンマー金融道 ゼロから「信用」をつくった
日本人銀行員の3105日』は、河出書房新社から、税込み935円で発売中です。ぜひお買い求めください。
残間 壁に突き当たっている人が読むと、元気になります。
鈴木 きょうのお客さま、泉賢一さんでした。ありがとうございました。