遠隔地から通勤していると、将来の年金がお得になる?! 通勤手当のアレコレ
鈴木 聞いて得する、家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。
大垣 メールをいただきました。
「楽しい放送をありがとうございます。
大垣さんの御著書、金融と法Ⅱを読みました。
3点お尋ねします。
①p148のgreekは、ちんぷんかんぷん。
数理担当者のギリシャ文字はおもしろかったです。
通説ですか。
②p198の新株予約権はインサイダー取引とどのように違いますか。
③p242の福利厚生費、たとえば通勤手当は
支給しなくとも法で義務化されていないと認識しました。
正しいですか。」
(パンプキン座布団さん・横浜市保土ヶ谷区)
残間 すごい、読んだなんて。
大垣 こんなものを買っていただいて、ありがとうございます。なかなか面白いご質問をいただいていて。
greekっていうのは、ギリシャ語っていう意味なんですが、それに注をつけているんですけど。
何を書いたかっていうと、”It’s greek to me.”っていう英語表現があって。「それは私にとってはギリシャ語だ」=分からない、ちんぷんかんぷんっていう意味なんですが。
オプションっていうデリバティブの分析をするときに、デルタとかシータとか、ギリシャ語で書かれているやつを分析していくので、それは”option greek”っていうんですけど。
それは、現場的には、もちろん、ギリシャ文字で書かれているからオプションのギリシャ文字なんですけど、現場的には、ほぼ全員が「分からない」と思いながら、また出てきたよって思っているっていうことで、option greekって言ってるのかも・・・って書いたのが。通説かって。
残間 通だね、この人、そんなところに目が止まるって。
大垣 はい。ものすごく小さい字で書いてある注なんですが。
私たち的にはそう思っていたっていう感じでしょうか。
もう一個のご質問で。福利厚生費のことが、デリバティブだけど出てくるんです。これは、新株予約権っていうのの関係なんですが。
それとの関連で、通勤手当について。
これは正しいんですけど。
残間 出さなくてもいいの。
大垣 労働法っていう法律は、少なくとも義務づけはされていないんですけど。ほとんどの会社は就業規則っていう、自分で決めたルールで守らないといけない規則の中に、通勤費を出しますよって。
残間 最近、月15万までっていう会社も出てきたもんね。
大垣 15万は、15万円以上払うと、もらった側の給料になっちゃうんです。
残間 そうなの。
鈴木 ほお。
大垣 15万円までは、もらっていても、税金がかかっていないでしょう。本当は、5万円もらったら、今月の給料は30万円だったら、35万円の給料をもらったっていうことになっちゃうので、それに所得税がかかるんですけど。もらっていないことになるっていうか、経費みたいなものなのでっていうことになって。
でも、会社の側は、給料と同じように払っているんだから、経費で落とすんですね。
そういう特例の上限が、税金の法律で15万円までですよってなっているんです。結構、ちゃんといろんなことが決まってるんですよ。グリーン車だったらダメとかね。
バブルのときからずっとそうなので。バブルのときに1回、新幹線通勤っていうのが。
残間 今も、遠くでもいいよっていうような、リモートになったから、通勤手当が。その代わり、家の手当はなくなるとかね。
大垣 そうそう、色々ね。それから、もう一つは、そういうことがあるので、通勤手当は全廃して、リモートにっていうことにして。かかったら請求してくださいっていう形に変えると、案外減っちゃったりとか。
あと、通勤費が面白いのは、そうなんですけど、年金をやるときのベースの給料には、それが入っているんですね。
残間 入ってるんだ。
鈴木 へえ。
大垣 だから、変な話ですけど、同じ給料でずっと一生いた人たちで、遠いところに住んでいる人と近いところに住んでいる人だと、遠いところに住んでいたほうが若干年金が増えるっていう、不思議なことが。
残間 フリーランスのときに、フリーっていったって契約みたいな、雑誌記者のときに、毎週もらえるお金と、交通費で、交通費がギャラの中に入っちゃってたの。
そんなにもらってないのに、地方に行ったりするわけじゃない、取材で。それが入っているから「こんなにもらってないのに」って思って。不思議に思ったら、やっぱり。同じ場所にはいっていないんだけどね。
大垣 本当は、交通の手当も、手当と一緒にして源泉徴収したりとかしないといけないんですけど、お車代って別にしたりするじゃないですか。
本当はいけないっていうことになっているんです。
残間 課税されていましたよ。
大垣 そうでしょう。源泉徴収されていましたよね。
この話に関連して、今回は他にもメールをいただいておりまして・・・。
「コロナ禍でテレワークが増えたおかげで、駅から多少遠くても
広い物件の人気が上がっているというニュースを見ました。
こういう傾向はこれからも続くのでしょうか。」
「ジャンバル・マージャン さん(厚木市・60歳)
どんどん、会社がいろんなものを切っていくから、案外、もうそれでいいやみたいになって。
残間 会社も社屋を手放して、近所の貸し会議室で会議やってるっていう人いた。
大垣 やってみるとそんなに不便じゃないんですよね。
残間 そうなんだってね。
大垣 だから、通勤費なんていうのは、法律で決まっていると、そういうところはガチガチなんだけど、案外。
残間 今度、福利厚生費って、最近、コマーシャルで見ると、いろんなのがニューノーマルの福利厚生で、これもあれもみんな福利厚生に入るよっていうようなのを見るんだけど。
こんなのも入るの? っていうのもあったんだけど、今度それも聞いてみたいな。
大垣 このところは法定福利って言って、社会保障費みたいなものがあまりにも増えてきたので、昔充実していた、法定外って言うんですけど、その福利費がどんどん減っていってるんです。
そういうのがずっときていたんですけど、典型的にお金がかかるやつじゃない感じの福利厚生をやっていくことで、むしろ魅力を高めていこうっていうことで。これはコロナがいいきっかけになったんでしょうね。
鈴木 ありがとうございました。おとなライフ・アカデミー2022でした。