MCJ(日本住宅ローン株式会社)の代表執行役・安藤直広さんに、住宅ローンの未来を問う
鈴木 では、ご紹介しましょう。きょうのゲスト、安藤直広さんです、よろしくお願い申し上げます。
安藤 よろしくお願いします。
鈴木 安藤直広さんのプロフィールをご紹介します。
1966年生まれ。1989年に日本興業銀行に入行。
その後、メリルリンチ日本証券株式会社、投資銀行部門債券資本市場部ディレクターを経て、2006年、個人向け住宅ローン専門の金融機関である日本住宅ローン株式会社(MCJ)代表執行役就任。
大垣さんが直接ご指導されたという間柄なんですね。
大垣 入ってきた時からね。
安藤 そうですね。
大垣 あのときはめちゃくちゃな状態だったもんね。残間さんは、いつも私が怖いとか言うけど、10倍ぐらい怖い人だったよな。
安藤 そうですね、さらに怖い人もいらっしゃいましたね。
残間 誰?
大垣 僕らの課長。
残間 ああ、本当。
大垣 1日中緊張してる感じだったんだよね。
安藤 そうですね。私は、右隣にその怖い方がいらっしゃって、左隣に大垣さんがいらっしゃって、ずっと挟まれてやってました(笑)。
大垣 イラクの石油開発かなんかの融資とかっていうのをやっていたような、15年ぐらいの方と、私も留学帰りでしょう。だから、本当は新人が入ってくるようなところじゃないんですよね。そういう中で、かなりギスギスやっているところに「何、新人が来る?!」って(笑)。「大学生がくるのか」みたいな感じだったんですよ。どう思った? 最初の1日目。
安藤 いや、ちょっと間違えたかなって(笑)。
残間 言ったんでしょう、何か。
大垣 こっちも怒られないように必死でやってるわけ。3秒ルールとかあったよな。
安藤 そうですね。
残間 何、それ。
大垣 すごいできる上司がいて、その人はずっと考えてるんですよ。それで、分からなくなると急にその部分だけを聞いてくるんです。分からないじゃないですか。一応、時間稼ぎに聞き返すじゃないですか。そうすると、「復唱するな」って怒られるんです。
残間 軍隊みたい。
大垣 それで、ゴチャゴチャ言ってると、「3秒で答えろ」とかって言われて。
残間 3秒ルール。
安藤 そうですね、3秒黙ってると怒られる。
鈴木 ええっ。
大垣 だから、とりあえず「大丈夫です」とかって必死で。ダメだったら命懸けで帰るみたいな。
残間 安藤さんが代表執行役の日本住宅ローン株式会社っていうのは、大垣さんが作ったんだ。
大垣 そう。住宅金融公庫っていうのを、今の住宅金融支援機構に変えたんですけど。長い話になりますけど、そこの仕組みを作るのをお手伝いとかしたりして。でも、当時は、結構、銀行から総スカンだったんですよね。住宅金融公庫っていうのが、住宅ローンを独占していたから。それで、新しくしてもあんまり銀行がフォローしてくれないんじゃないかっていう心配もあって。それで、私が留学している、80年代の中盤ぐらいに、社長をやられているところも含めて、モーゲージバンクっていう、公的なところの住宅ローンを貸して、そこへ渡しますっていう機関ができていたんですけど。それを日本でも作ったらっていうことで作ったんですよね。
残間 MCJっていうんでしょう。
大垣 Mortgage Company of Japan。
安藤 Mortgage Corporation of Japanですね。
大垣 最初、Mortgage Bank of Japanにしようと思ったら、Bankという言葉はいかがなものかって言われて。当時安藤さんは、メリルリンチにいらしたんですか。
安藤 メリルリンチにいましたね。
残間 そうか、いろいろなところにいらしてるんだものね。
安藤 ええ、そうですね。メリルリンチにいたときに、大垣さんから社長をやらないかとお声がけいただいて。
大垣 インベストメントバンクの、ピカピカのところだったから、本当に来ていただけるかどうかは分からなかったんですけれども。
残間 今、180人ぐらいいるんでしょう。
安藤 そうですね、180人ぐらいいますね。
残間 大垣さん「しまった損をした」と思っているでしょう。渡さなければよかったと。
大垣 そう。だって、始めた時6人だもん。それで、会議室みたいなところで。その前は、企画をやってるときは一人だったんですね。パソコンを持って、まさにリュックの中に入れて、出資者になってくださる会社の一つの部屋をお借りして。
残間 いつものようにやっていたのね、一人で。
大垣 でも、実は会社にはあんまり行ってなかったんですけどね。「最近パパは会社に行かないね」っていう状態が半年ぐらい続いていて。それで作ったんですけどね。だから、180人かあ。私が社長を辞めたときで、何人ぐらい。
安藤 その時は、60人ぐらいですね。
大垣 3倍なんて、すごいね。
残間 180人に社長って呼ばれたら、気持ちよかったよね、大垣さんも。
大垣 全然。なんか社長って面白くない・・・って言ったら怒られる(笑)。
残間 でも、楽しそうに社長をやってらっしゃる。
鈴木 ね。社歌もYouTubeで。
大垣 社歌作ったんだね。
残間 私、聞いちゃった。昭和の青春ドラマみたいだった。今の若い子って、懐かしむようで。
安藤 結構喜んでもらえるんですよね。
大垣 そうなんだ。
残間 「愛を住宅ローンで届けよう」っていう歌詞があるんだよ。「愛をいろんなローンで届けよう」っていうのもあるんだよ。
安藤 このへんの作詞作曲も社員がやって。
残間 動画も、いろんな社員が入れ替わり立ち代わり出てきてね。
安藤 社員が全員参加的な感じで。
残間 あれ。社歌コンクールに出したでしょう。
安藤 はい、コンクールに出しました。
残間 日経新聞のね。そういうのに出して。楽しそうだよ、部活みたいで。
大垣 だって、僕らの頃は新人がいないもんね。
安藤 そうですね。
残間 若い人がいっぱいいましたね。
安藤 今は、年間10人ぐらいの新卒の方に来ていただいて。
大垣 私のゼミの子も、採用していただいたりして。
残間 そうなんだ。みんな楽しそう、すごく。
鈴木 このあとも、安藤さんにお話をうかがっていきますが、ここで1曲お届けしましょう。
〜♪〜
鈴木 引き続き、安藤直広さんにお話を伺っていきます。よろしくお願いします。
安藤 よろしくお願いします。
大垣 そういう意味では、安藤さんは、私がとにかく変なことばっかりを考えてね。
安藤 10年先をいつも行かれていると言いますか。
大垣 10年先っていうのがすごく意味深で、5年先だとちゃんと儲かるんだけど、10年先っていうのは、分からないっていう。そのあと、いつも、安藤さんがキチッと形にしてくださっていて。
残間 大垣さんも我欲のない人だからね。
大垣 我欲がないっていうか。
残間 だから、引き受けてくださる方も、そうだよね。
大垣 だから、今も、実は、また引っ掻き回しているんです、私が。それが、この間からお話ししている、例の、残価設定型住宅ローン。安藤さんのところが、日本で初めて残価設定型住宅ローンを、これから。
安藤 そうですね。これから頑張りたいと思います。やっぱり大垣さんがずっと取り組んでいらっしゃる残価設定型住宅ローンはすごくいいと思っていますし。将来の不安が非常になくなる、シニア向けでもあるし、若い方向けでも、ある意味ではあると思うんですけれども。そういったローンは、これからの時代に非常に大切だなと思います。
あと、大垣さんがずっと取り組んで、作られた技術ですね。目に見えない裏側なんですけど、そこは、誰も追随できないなと思っていますので、先駆けて取り組みたいなと思っています。
残間 やっぱり、こういう仕組みがあると違いますよね、広がり方が。
大垣 安藤さんのところがやられている住宅ローンは、全部、株主が、大手の住宅メーカーで。
安藤 そうですね。
大垣 非常にいい住宅だから、逆に今の残価設定型ローンは、自動車もそうですが、長く住んでいても、価値がたくさん残っているわけですね。だから、その価値を上手に使えば、安心して借りられるようになるんだから。
今、住宅ローンって、家を見ないじゃないですか。メーカー住宅だろうが、大垣工務店だろうが。そういうのを差別化していくと。
それから、もう一つは、SDGs。環境にいいようなものはどうしても高くなりますからね。そういうものが無理せずに買えるようにって。ということを、安藤さんに私がずっと言って(笑)。
残間 でも、大垣さんが残価設定型住宅ローンを思いついたのは何年ぐらい前なの。
大垣 15、6年ぐらい前。
安藤 そうですね、それぐらい前になるんですね。
残間 その頃から聞かされているわけでしょう、安藤さん。
安藤 そうですね、聞いています。
大垣 要するに、普通のローンしかないから。日本住宅ローン株式会社の社長になったのはいいんだけど、普通のローンしかないのが許せない、みたいになるんだけど、新しいものを作ろうと思うと、「それはご自分でやられたら」って言われちゃうわけ。じゃあ作るって。最初は、MCJの会議室を借りて準備していたんですけどね。それで移住・住みかえ支援機構を作っていただいて。
残間 長いよね。
大垣 2、3年でできる予定だったんだよ。いつもそうだよな。
残間 結果、何年もかかると。
大垣 15年。
残間 15年かあ。
大垣 でも、ちょっとしつこいんだよね。
残間 着手したら最後までやり遂げるっていうのは大事だよね。
大垣 でも、どう? 社長。だいぶになるよね。
安藤 わたしも、15、6年になるんですよね。39歳からやっていますから。
大垣 私が辞めた時から社長になったから。へえ。
残間 社会貢献活動とか、CSRもやっているのよね。
安藤 そうですね。
残間 神田川を綺麗にしたりとか。
安藤 社会の役に立ちたいっていうことが、我々の一番の社是だっていうことで、やっています。そのへんは大垣さんイズムを引き継いでやっているんですけど。
残間 アルツハイマー病への基礎研究に対しても寄付を。
安藤 寄付をしています。社員の皆さんも、社会貢献しているMCJっていうことで入ってきている方が非常に多い。
残間 最近、そうみたいですね、若い方も。自分だけよければいいとか、お金が高いからっていうのじゃなくて、会社の品格が問われていますよね。
安藤 そういう時代なのかなと思っています。
大垣 すごいよね、私のときは赤字だったんだもんね。
安藤 そうですね。確か、私が初めてきた年は、何百万の利益がやっと黒字になったとかって喜んでいましたから。
残間 大垣さん、だいたいそういうところなんだよね。
大垣 立ち上げた最初の月、3件か4件ぐらいしか来なかったんだよね。今は、1000件ぐらいくるんでしょう。
安藤 それぐらいはきますね。
大垣 どうしよう、とかって思って。すごいよね。もう、ものすごい黒字になって。盤石の。
安藤 そうですね、10億、20億ぐらいの黒字。逆に、利益をコントロールして、利益を出る分はお客様に還元しようということだったり、あるいは、新しい開発に活かそうということでやっていますので。
残間 住宅ローンの月々の返済額の一部を寄付金にして積み立てて、青パトっていうんですか。福祉車両に。
安藤 そうですね、色々な貢献をしているっていうところが我々の会社の本質だっていうところで。その中で、残価設定型住宅ローンもまさに、社会の役に立つ商品だぞと。今、会社の中で大きなプロジェクトとして取り組んでいる形です。
残間 安藤さん、ずっとこういう畑で仕事をしていらっしゃるけど、若い頃も、社歌なんか見ると、そっちの方面とか、エンターテイニングとか、クリエイティブっていうほうに行きたいとは思わなかったの?
安藤 そこはあまり思わなかったですね。青臭いようですけど、日本の役に立ちたいとか、社会の役に立ちたいっていう。そこを思っていました。ただ、なんでも興味を持つほうなので、カラオケも好きなんですけど。歌も、年甲斐もなくって娘に言われますけど(笑)、結構新しい歌を歌うぞとかってやったりして、Official髭男dismとか、back numberとかを歌ったりもします。本当に娘からは「やめろ」って言われるんですけど(笑)。
色々興味を持って、少しでも色々な、世の中の役に立てるものがあったらどんどんやっていきたいっていう。
残間 そういう、若い人の歌なんていうのは、社会の一つの現象というか、一断面だから。やっぱり、味わっておくっていうのは大事ですよね。自分には関係ないんだって切り捨てないで。
安藤 そうだと思います。
鈴木 今後、会社をこういうふうにしていきたいとかっていう、夢はあるんですか。
安藤 まさに社会貢献ができる会社であり続けたいと思いますし、住宅ローンの分野では、よく大垣さんがおっしゃってますが、「人に融資するというより、家に融資する」っていう形になっていければと思います。
そうすることで、どんどん、賃貸と新築の差がなくなってくるといいますか。新築で好きな家に住むんだけど、気持ちでは家賃を払っているような感覚で、住み替えたいと思ったら、家も手放して、ローンからも解放される。そんなことが。
残間 自由になりますね。
安藤 ええ、自由にできるようになって。で、かつそれを、我々としては、スマホとか、今のデジタルトランスフォーメーション(DX)で。
大垣 すごいの作ったんだよね。
安藤 簡単に、ワンクリックに近いような形で借入手続きができちゃうようなものになればいいなと思って、今、取り組んでいます。そういうところに持っていければ、今の社会のお役に立てるかなと思って。
大垣 僕たちは、最初始めたときは、日本興業銀行って、企業に貸すだけの会社でしょう。だから、技術開発の先端にはいたんだけど、基本的に企業向けのものをずっと作ってきたんですね。その後ろで、一緒にいろんなことをやってたんですけど。
だから、それが、だんだんそういう時代から、意外と積み残されているのが、個人の人が同じような、ものすごくハイテクなことでうまくいくような仕組みがあるのかっていうと、案外住宅ローンって、おそらく、70、80年ぐらいは同じようなことをやっているだけ。
安藤 そうなんですよね。
大垣 だから、そこを、技術の中で。せっかく企業でやっていたときに培った技術があるので、それを今度は、普通の方の借り入れで研究して。
残間 それは、安藤さんのあとの世代の人たちにはつながっている? 大垣さんはそういう思いを抱いて、それを受け皿としてやってくれる安藤さんという人がいる。5、6歳違うんだっけ。
大垣 7歳違う。
安藤 そうですね。社内の若手が頑張ってくれています。
大垣 DNAを持っている人が、世の中にいて、いろんなところで動き出していて。
残間 皆さんも、日本住宅ローン株式会社のホームページをご覧になると、安藤さんは、あんまり社長らしくない感じで出ていて、いいですよ。
安藤 ありがとうございます。全くそこは、社長らしくないというか、みんなが身近に感じてもらえるような。
残間 褒め言葉。
安藤 席もオフィスの中に置いてますし、普通に、部屋の中じゃなくてオフィスに置いてますし。結構行列がなしてまして。相談事があまりにも多いと、信号を赤にするみたいなのを社員が思いついて。青になったら団子を作るみたいな。
大垣 すげえ、社長をやっているね。
安藤 ちょっと、あんまり垣根のない会社をやらせていただいているかなと思います。ありがたいことだなと思っています。
鈴木 きょうは大垣さんの可愛い後輩でもあります、日本住宅ローン株式会社、安藤直広さんにお越しいただきました。ありがとうございました。
一同 ありがとうございました。
東京都で、太陽光発電が義務に・・・!? 住宅金融のプロはどう考える?
鈴木 聞いて得する、家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。
大垣 きょうは、少し若めの50歳の男性の方から。
「お正月の新聞を見ていたら、東京都が新築住宅の太陽光発電義務化条例制定を目指すという記事が出ていました。個人的にはいいことだと思いますが、これから家の新築を考えている人には重荷かもしれませんね。どうお考えですか」
豊島区・エビよりカニが好き さん
残間 そんなことあるんだ。
太陽光発電って、投資額を回収できるもの?
大垣 まず、太陽光を乗せると、電気を発電するから電気代が浮くと思って、その分で安くなるから、太陽光を乗せた値段は回収できるか。
残間 できない。
大垣 できないんですよね。だから、重荷にはなるんです。ただ、太陽光を乗せられ流ようなおうちは、高機密で、冷房が効きやすい。外に漏れない。その分を入れると、なんとなく辻褄が合うっていう説もあるんですけど、やっぱりちょっと負担なんですよね。
ただ、東京都は無理がなくて。昔は産業用っていう、企業が使ってるやつが、家庭が使ってるやつより多かったんですけど、このところ、6割以上民生用って、家庭のほうが増えて。ずっと増えてるんですね。だから、抑えたいっていう。
環境に優しい政策は、これからのトレンド
残間 意識改革も含めてそういう傾向にはなるでしょうね。
大垣 これ、一つの傾向で。発電所だって、今あるわけじゃないですか。でも、今度、石炭で作ってるとダメですから、もう一回別のものを作りなさいって、追加ですよね。車だって、ガソリンで作ってる工場はいっぱいあるのに、もう一回モーターでやれるのを作り直すわけですね。前よりコストがかかるっていうことが、これから起きていくんですね。それが出ちゃえば、儲かる人もいるわけで。お金を貸す人も儲かるわけで。
そこへ、意図的に行こうっていうことが起きてるんですけど。
残間 でも、出せない層の人もいっぱい増えてるから。
大垣 企業はいいんですけど、こういうの、どうするんだろうねって。
無理矢理させるんだから、安くしないといけないけど、今だと、安くしなさいっていうだけじゃないですか。
太陽光がついた住宅が増えていくと、債券が作れる・・・?!
大垣 それで、一つ出てきているのは、東京中の家が本当に太陽光が義務になったら、それを買うために借りてる住宅ローンは全部、担保が太陽光付きになるじゃないですか。そうすると、太陽光付きの担保で貸してるローンばっかり集めて、それを証券にするっていうことをやると、エコボンドになるんですね。グリーンボンドに。
そうすると、今のマーケットって、グリーンボンドは金利を下げてあげないといけないというプレッシャーがかかっていて。そういうのは需要がいっぱい集まるんです。
結果的に、金利が安くなるんです。
残間 なるほどね。
大垣 実際、アメリカの住宅金融支援機構みたいなところはやりだしていて。日本はまだなんですけど。
もしかしたら、こういうのも。
環境に優しいと、お金が集まりやすくなる=安くなる現象が起こるかも
残間 じゃあ、私たちが死んだ後の何円かには、みんな太陽光をつけてるのかね。東京なんかは。
大垣 それで、面白いのは、今は本当に品評会みたいになってて。太陽光ついた住宅バックボンドと、そうでないぞボンドだと、値段が違うみたいなことが、品評会でも出だしていて。
そういうのが出てくると、安く借りられるっていうことで、だんだん辻褄が合っていく。
残間 でも、購入時は大変でしょう。
大垣 だから、今は補助金が出たり。あとは、やっぱり、もっともっとそれが増えてくれば、太陽光そのものが安くなってくるっていうことで、辻褄があってくるんでしょうけどね。
残間 急にそっちにシフトせざるを得ないんでしょうね。
大垣 そうですね。そういうドライブがかかるっていうことで。
でも、それは、マーケットを通じて、補助金じゃなくて。補助金だと税金がかかるじゃないですか。補助金じゃなくて、マーケット経由で、投資家の人がそれを支えていくみたいな方向に、今は動きだしているんです。
残間 よくみんな考えるもんだね。みんなそれをつけたら。
鈴木 考えてくださって。ありがとうございました。
リバースモーゲージと残価設定型住宅ローンの違いを教えてください
鈴木 聞いて得する、家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。
大垣 いつもお便りをいただいています、足立区の北千住実篤さん。
「新年になってから、60歳になってからの住宅ローンのCMが流れています。
住宅金融支援機構のものですが、もしかしてこれが、大垣さんのおっしゃっていた新しい住宅ローンなのでしょうか」
っていうことなのですが。
すいません、違います。
鈴木 違う。
残間 あれ、流れるね、最近。
大垣 そんなに頑張るのかなって思ったりして。国の機関なのに。
リバースモーゲージって何?
大垣 これ、リバースモーゲージってやつなんですけど。もともと、私と残間さんがお会いしたきっかけになった商品で。
残間 そうそう、リバースモーゲージの研究会かなんかで。
大垣 もともとは、ローンを返しちゃったお家を担保にお金を借りて、でも、元本は死ぬまで返さないで、金利だけ払っておくっていうことで。生活費を家から出そうっていう話だったんですよね。
でも、案外誰もやらないんですよ、そういうことを。当時は、家を相続させるって思ってたのね。
残間 子供にね。
大垣 90まで生き延びると思わず。ところが今は、そもそもそんなに若く亡くなる方がいらっしゃらないので、だいたい死ぬ頃には子供も60ぐらいになっているわけで。相続させるっていうことの意味が。
残間 ちょっと違ってきて。
大垣 そうなんです。そういう意味では、一番障害だって言われていたことがなくなっていたので、本来であれば、家を活用するっていうことはあっていいんですけれども。そうはいっても、家を手放すっていうことには抵抗があるんですよね。
残間 何十年も、死んだら結局それを返すわけじゃない、お金で。
それを、一時金で最初に欲しいっていう人やら、ちょっと余命何年って言われたので、世界一周したいから、家をお金に変えて、その一時金をもらって、あとは細々とっていうようなのでもよかった。
銀行はリバースモーゲージをしたくない?!
大垣 大きな問題は、銀行がそれをやると、長生きされると長引いちゃうじゃないですか。
アメリカのリバースモーゲージは、金利も返さないから、どんどん膨らんで行くんですけど、それはないようにしているのですが。
そうはいっても、あんまり先の家って、土地だけですから。土地が上がるか下がるかはよく分からないので、銀行は怖がってやらないんですよね。で、結局、じゃあ住宅金融支援機構っていうことなんですけど。
住宅金融支援機構って、生活費を貸すっていうのは法律的にできないので。
残間 家にまつわることじゃないと難しいのね。
大垣 難しいの。高齢者用の住宅に入る一時金みたいなものは貸してくれるんですけど。
結局、リフォームのお金を貸してあげますよとか、最近流行ってるのは、新築。要するに、60を超えて、新しい家を建てて。
残間 CMもそうだもん。ローン組めないでしょう、組めるのよって。
大垣 どんどん話が変わってきてて、もう一軒家を建てましょうよ商品になって。そうなるまでは、本当に使われていなかったんです。せっかく住宅金融支援機構で作ったのに、使ってないじゃんみたいな話で、そうか、家を建てさせればいいのね、みたいになって。
残間 ちょっと変わったんだ。
大垣 そうなんです。そうすると、担保も二つあるし。
リバースモーゲージは、当初の意図から外れた商品に
残間 大垣さんが研究会をやってた頃の、一番の問題は、ものすごく土地の値段が、日本は、暴落したりするじゃない。そうすると、今持ってる家を、査定するわけだよね。7がけぐらいか。そうすると暴落するって。
大垣 古い家を借り上げて、住んだまま貸してあげようっていうのはどこかにいっちゃって、今は、すでに家を持ってる人がもう一軒作るわけで、新品の家だから、担保価値は高いわけです。
作ってらっしゃるメーカーさんとか工務店の人も、盛り上がるわけですよね。一番たくさん人がいるそうですから、そこが家を買ってくれて。全然、悪いことじゃないんですけど。
残間さんと始めた頃のリバースモーゲージとは全く違う、老人用住宅ローンに。
残間 ある種、日本型だよね。
大垣 はい。ある種、持てる人たちだから、僕はいいと思ってるんです。どんどんやってくださいと。当然、テレビ広告を打っていいぐらいの需要があるんだと思うんですけど。
で、結局、残価設定型住宅ローンって・・・?
大垣 私が作ったのは、むしろ、だんだん中間層が没落していくっていわれてますけど。
残間 生活厳しくなって。
大垣 年収600万円台だった方が400万円台になるっていうことが起こってるわけですよね。そうすると、これって別に、本当に可哀想な人達じゃないんですけど、家を買うか? って言われたら考えるっていう人たちなんだけど。
そういう人たちが結局35年のローンを組んで70歳まで返すんですかってなったときに、何が起こるか分からないから、55ぐらいのところで、10万円返してたんだったら3万円ぐらいになるようにして。そのあとはリバースモーゲージと似てるんですけど、住んでていいんですけど、手放せば、全部JTIが引き取るから安心ですよって。
そうはいっても子育ての間に家が買えるようにしようっていう。
そういうのが残価設定型住宅ローンなんです。
残間 CMの世界とはちょっと違うんですね。
大垣 違うんです。まだまだ普及してないので、TV広告打てるようになりたいなと思っている。
鈴木 おとなライフ・アカデミー2022でした。
グランドピアノを置ける賃貸も、マイホーム借上げ制度ならでは!(住み替え事例のご案内)
鈴木 今週は、マイホーム活用大作戦。移住・住みかえ支援機構・JTIでは、マイホーム借上げ制度を通じて、大人世代の皆さんに、安定した暮らしを提案しています。このコーナーでは、JTI・移住・住みかえ支援機構の今野大輔さんに、豊富な事例の中から、リスナーの皆さんの参考になるケースをご紹介いただきます。今野さん、よろしくお願いします。
今野 よろしくお願いします。きょうご紹介する事例は、埼玉県ふじみ野市から同じふじみ野市へ移住されたお客様の事例をご紹介します。
お客様が制度をご利用されたきっかけは、ご両親がご健在で、高齢となってきて、仕事と介護のお手伝いをしなければならなくなって。
残間 近くに行かなければいけない。
今野 はい。両方のご両親さまのご実家に、すぐにお手伝いに行けるような通勤と介護の立地環境の良いところを求めて、一旦マンションに賃貸を決められたお客様です。
大垣 これ、すごいお家。
残間 大きな家。
大垣 羨ましい。立派ですよね。
鈴木 豪邸ですね。5LDK。
大垣 この方々は、5年って、いつもの3年じゃなくて。最近、長めの期間で賃貸に出される方が多いんです。
帰ってこないと分かってると、3年は確かに帰ってきやすいんですけど、住まれる方から見ると、3年で出ていかないといけないと思うと。そうすると、2年ぐらいから探しちゃいますでしょう。出ないといけないとなってから探すのでは遅いから。
そうすると、いいものが見つかったら退去してしまうわけです。そうすると、退去からまた次の方が見つかるまでは、家賃はお支払いしますけれども、少し額面が下がるので、不利といえば不利で。
なので、長くは入りませんかというお話を毎回して、それは丁寧にやっているんですけど。
今野 60歳のお客様ですので、定年までは、介護と通勤でなかなか戻れないので、いっそのこと、5年ぐらいのスパンで貸し出しをしてみようということで。
残間 そうすると、借りた人も落ち着いて借りられるよね。
今野 そうですね。もともと売るつもりで考えていたのですが、思い入れのあるマイホームだったので。たまたまふじみ野市の広報で、移住・住みかえ支援機構の紹介記事を見て、それを見た奥様が、我々にお問い合わせをいただいて、ご説明するきっかけとなりました。
大垣 すごいね、16万5000円。そりゃそうだよね、この家だったら。
今野 そうですね。
大垣 安いぐらいですね。
残間 どんな人ですか。
今野 40代のご夫婦と、小学生のお子様二人の4人家族で。ご主人様は会社を経営されている方で、お子様がピアノの練習をできる物件を。
大垣 それは賃貸は大変だわ。
今野 今回、たまたま、所有者のお客様の娘様も、ピアノを習っていたと。もともとピアノが置いてあったようなご自宅だったので、すぐにこちらの物件をご案内したところ、こちらはすぐに。
残間 きっかけがね。
大垣 特に、ピアノは重いから、置くところが。
残間 集合住宅だと、8時までとか決まってたりするし。
大垣 音の問題もね。
鈴木 それはよかったですね。双方の笑顔を見られますね。ありがとうございました。 JTI・移住・住みかえ支援機構の今野さんに、幸せな住み替えの実例をご紹介いただきました。ありがとうございました。
今野 ありがとうございました。
株主優待目的の人におすすめ 伊藤園の優先株とは
鈴木 聞いて得する、家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。
大垣 ご紹介します。
株主優待目的で投資をしています。
飲料メーカーの伊藤園が
第一種優先株式というのを
上場していることを知りました。
第一種優先株式について教えてください。
(コロンボさん、54歳男性)
これ、有名なやつなんです。伊藤園の優先株って。みんな知ってるんですけど、初めて上場した優先株っていうのを出したときで、まず、優先株って何かっていうと、普通の株より優先して配当がもらえるんですね。その代わり、株主総会って、議決権がないのが多いです。そうしないといけないわけじゃないですけど、通常そうなっていて。議決権がない代わりに、毎年、3パーセントとか、モノによっては、動く金利に連動しちゃってて、まさに、普通の債券みたいな感じで配当がもらえる。
で、ちょっと、目先高いんですよね。もちろん、普通の株式のほうが、儲かり出したら配当が利益に応じて高くなるんですけど。そうでないときは、どんな業況でもちゃんと。
残間 一定でしょう。
大垣 一定の配当がもらえるっていうものなんですけど。
これを、伊藤園が、株主優待目的ということなので、確かに伊藤園のやつって株主優待がついていて、買われるんだったら、確かに、同じような値段だったら、金利みたいにして稼げちゃうので、面白い選択だと思うんですけど。
思い出でいうと、これ、なんでやったかっていうことなんですけど、やったのが、2007年です、これって。だから、ちょうどリーマンショックのとき。
株を、マーケットがよくなかったときなんですね。伊藤園は、お金を調達したいなと思って、株式を公募。マーケットで発行しようとなさったんですけど、要するに、株価が下がっちゃってるから、いっぱい出さないと欲しい金額が調達できない。そうすると、たくさん出すと、新しく株を買った人の議決権が増えちゃうので、そうすると、今の株主の方が持ってる議決権が、そのぶんだけ一票あたりっていうのかな。の、重さが軽くなっちゃうじゃないですか。そうすると、ここまでずっと支えてくださった、これまでの株主さんに良くないよねっていうことで、それはそれで文句がでたり、そんなことするんだったらって売る人が出ると、ますます下がって、いよいよたくさん出さないといけなくなって・・・っていうことで。
それで、そのときの工夫で、普通の株を出すのに合わせて、議決権のない優先株を一緒に出して、お金はその両方から調達するんだけど、議決権は、普通株にしかついてないので。
残間 文句は言えないよって。
大垣 そうすると、やっぱり後で売れないといけないので、優先株って、上場してるものはないんですけど、上場するっていう。
残間 でも、最近結構やり始めているでしょう。コロナで。会社大変だと。
大垣 上場優先株?
残間 うん。
大垣 してるかもしれない。僕はあんまり事例を。優先株で調達をすることは結構あるんですけど、それは、難しい話になるんですけど、いくつかお得な話があって、特に会社みたいな法人が買うと、株式会社の株を株式会社が持ってて、それで儲かった配当に税金をかけちゃうと、そのあとまた配当したときに、もう一回かかるじゃないですか。株主さんに。一回はいいとして、いくつも株式会社が株を持ってると、何回も法人税を払うので。法人が法人の株を買ったときの配当は、今年の利益からのぞいていいっていうのがあって。その分税金がお得なんですね。
そういうのもあって、使われたりとか。いろんな面白い使い方があるんですけど、このケースは、そういう意味では、わりと珍しい。大きい会社が堂々と優先株をつけたっていう。
なんか、事情がないとやらないんですよ、優先株って。
残間 資金調達はしたいんだよね。
大垣 でも、これは割と綺麗な使い方。良くない使い方っていうのは、例えば最近、新生銀行が、国から借りたお金が返せてないからって、ありましたでしょう。あれもまさに優先株なんですけど、そういう、だいたい良くないときとか、ベンチャーみたいにこれから良くなるようなときに出すやつなので。
ピカピカの上場会社が出すっていうのは、比較的少ないです。だから、これはわりと面白いものかもしれないですね。
鈴木 おとなライフ・アカデミー2022でした。
30年前は、退職金の預金利息で年収100万円だった?!
鈴木 聞いて得する、家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。
大垣 メールをいただいています。
母が亡くなり、実家のタンスを整理していたら、
底に1976年の新聞が置いてありました。
そこに出ていたのが「日本興業銀行」の広告で、
「興銀の債券貯蓄 ワリコー 年7.388%」って!
なんですかこれ!
なんで昔はそんなことが可能だったんですか?
大垣先生、ぜひ教えてください。
(ぱいびょんさん、58歳、女性)
日本興業銀行って、私が勤めていた銀行だ。
残間 (笑)。そうか、興銀だもんね。
大垣 これ、ワリコーって1年なんですよね。
鈴木 1年・・・。
大垣 1年定期、感覚的に言うと。でも、実はこの頃の国債って、国の借金は、8パーセント超えてるわけですよ。だから、まあ、経済が10何パーセント成長している時代ですから。
残間 不思議じゃない。
大垣 全然不思議じゃないっていうことで。実は、90年に向かうところで9パーセント近くまでなったんですよね。だから、30年前は、覚えてらっしゃいますか。郵便局も多分、9パーセント超えたかな。同じ日本興業銀行のやつが、まさに9パーセント超えて、そのときは売り出しの日に、朝から、人がそれを買うために、有楽町あたりまで列を作ってたっていう。
残間 興銀本社から?
大垣 うん、とんでもないでしょう。そりゃそうですよね、でも。今、1000万円の退職金をもらっても、利子で生活なんか全くできないじゃないですか。
残間 うん。
大垣 でも、9パーセントついてたら、年間で90万円ですからね。
残間 すごい。
大垣 だから、やっぱり、いかに老後が面倒くさくなっているかっていうこともあるかもしれないし、それでどうしても、高くないとっていうことで。
残間 年収なんかだと、1990年はだいたい、平均の、中間層っていうの。もっとお金持ちは別だけど、500万ぐらいだったのに、2018年は460万ぐらい減ってるの。
大垣 もちろん、そうだと思いますよ。
残間 大変だよね、物価は上がってるんだよ。
大垣 でも、これ、懐かしいんですよ、ワリコーって。
残間 ワリコーって、「悪い子」みたい。
大垣 でも、ちょっと悪い子でね。頭に、割引って書いてあるの。割引興行債券っていうのの略なんですね。割、興で。割引っていうのは、預けるときに金利を引いて預けるんです。だから、100万円買うときは、90何万円しか払わないで100万円の券をもらって、期限には100万円だけ戻してもらうんです。だから、利息を前にもらうっていう。そういうタイプなんですね。なので、先に払うから、ちょっと、今、金利をもらうと20パーセントぐらいじゃないですか。税金が。源泉徴収税が。それがちょっと安いんです。16パーセントとか。それで、お金持ちの方は、そっちのほうがいいから、それを買われるのと。そうしたら、券をくれるんです。今、そんなのないでしょう、券をもらうとか。全部、コンピューターに帳簿で。
残間 今もそういうのあるの。ワリコーみたいな。
大垣 もう、出してるところは、一つか二つ。ちょっと公共系っぽいところがやられてると思いますけど。もう、みずほとかそういうところはとっくに辞めちゃってるんですけど。これが、100万円なら100万円で、そういうことをやられる方は1億円券とかあるんですけど、1億円券っていうペラペラの、1億円って書かれたのを、先に。
残間 紙?
大垣 証券だから。
残間 証券をくれるんだ。
大垣 当時も、利息を払わないといけないタイプのやつはそういうのはなかったんですけど、これだけは先に払っちゃうから、利息を。それで、もう券をもらえたんですね。そうすると、名前を書かないでいいんですね。お札みたいなものになるんです。
残間 なくしたら、どうするの。
大垣 なくしたら・・・色々な手続きをしないといけなくて、困るんですけど。それは別に、興銀がそういうことをやらせていたわけじゃないんだけど、裏山のツボの中にクルクルッと丸めて入れて、簡単にいうと、税金を払ってない、裏金みたいなことがある方が、今回、日大の人みたいに、お母さんが家の中に置いてると、こんなに札束があるじゃんって見つかるじゃないですか。それが、1億円でもペラペラの紙になるので(笑)。
残間 悪用した人、いるの?
大垣 はい・・・ってハッキリ言っていいか知らないけど。
残間 もうないからいいよね。
大垣 それを公然とやられているときがあった。僕らの頃は、ペーペーですから、話しか聞いてないんだけど、そういうために使える、非常に珍しいものだったんです。
残間 箪笥の奥に・・・。
大垣 これは、箪笥の奥にあった新聞に出ていた広告だからいいんですけど。
鈴木 証券だったらね。
残間 なんかとっても感じがいいな。箪笥の奥の、何かの、衣服の下に敷いてあったかなんか。
大垣 ですから、先輩の人の話を聞いたら、ちょっと会おうって言われて、お金持ちの方から。喫茶店のトイレの中で、札束を数えて、確認をして、ペラいやつをお渡しするっていうのをやってたことがあるんだぞって言われて。
残間 すごい。
大垣 すげえ、とか。ちょっと思い出しました。
残間 金の延棒とか、そういうのよりは簡単だもんね。
大垣 ペラペラで、名前書いてないっていうのでね。
鈴木 おとなライフ・アカデミー2022でした。
住宅購入が、「セレブの特権」になる日は近い・・・!? 残価設定型住宅ローンについて
鈴木 聞いて得する、家とお金のお話です。大垣さん、今年最初は。
大垣 12/25にメールをご紹介したのと同じ方からのご質問をもう一つご紹介します。
残価設定型住宅ローンについて、番組で延べ2回は聞きました。
申し訳ないのですが、もう一度、基礎から教えてください。
先日、車のダイレクトメールを見ていたら
残価設定の記載がありました。
パッタイさん(横浜市保土ヶ谷区・30歳男性)
残間 色々聞いてるんだね。
大垣 30歳だからだと思うんです。きょうは、車の残価設定型ローンと何が違うのかっていうことからお話をしようと思うんですけど。
車の残価設定型ローンっていうのは、みんな車検が来ると下取りに出して、次の車に乗り換えていくっていうのが、割と一般的で、家族が増えるに従ってファミリーカーに変えていくとかね。
で、そのときは、これまでだと、200万円の車を買ったら、200万円の車を全部返して、60万円で下取りしてもらって、実質140万円になって、次のローンを組むっていう形にしていたのを、最後の60万円のところを最初から織り込んじゃって、200万円返そうと思わずに、140万円返せばいいじゃないっていうふうにすれば、減らす元本がちょっとでいいっていうことになりますよね。200万円返すんじゃなくて、140万円しか返さないから。その分月々の支払いが減るわけですね。そういうふうにして買いやすくしてあげた上に、車の会社からしたら、おそらく、残価を設定したときに次の車に乗り換えてくれるから、昔は僕らの世代は、だいたい、当然のように車検になると、前のよりいいのを買おうか、なんていう。いわゆる、自動車すごろくですよね。そういうのがなんとなくあったんですけど、最近の人はそういうのは当たり前にはなってないから、そこを、ローンでサポートしようっていうようなこともあるんだと思うんです。それが、車の場合っていうことだと思うんですけれども。
家の残価設定型住宅ローンっていうのは、もうちょっとだけある種貧乏ったいっていうか。30歳のパッタイさんが、今から家を買おうと思われると、やっぱり、まだまだ収入がそんなにびっくりするほど大きくなっていない中で、月々、東京で買ったらやっぱり10万、もうちょっとぐらいは。
残間 賃貸で借りてもそのぐらいだから。
大垣 まあ、そのぐらいっていうことですけど。でも、昔は、60歳ぐらいまでずっと給料が上がっていくっていう前提で、自分にちょっと賭けてたところもあったじゃないですか。今なんとかなるんだったら、後々楽になるよねっていうふうに考えて、家っていうものを買うっていうことにしていたと。
さらに、前からお話ししているように、2000年ぐらいまでは25年が住宅ローンの標準だったので、だいたい退職のときには返し終わっている。
残間 完済している。
大垣 ところが、今は、少なくとも国税庁なんかの資料を見る限り、55歳のところで給料はピークですと。そこから、60歳過ぎに向けて、どんどん給料の水準っていうのは一般的には下がっていくわけですよね。そうすると、30歳でこれから検討なさって、35歳でローンを組まれたら、70歳まで返すわけですので。
残間 35年ローンがね、今ね。
大垣 そうすると、最後の15年ぐらいが、給料が下がっていく局面になるんですけど、そのときが自分にとっては人生の転機になりますよね。今、子供は、おそらく、小学校に入ったばっかりの子供がいて、やっぱり家買おうか、今の借家だと狭いしねってなってから、どんなに想像できても、15年から20年ぐらいだと思うんですよ、子供と一緒に生活するっていうのは。
残間 35年後はちょっと無理だよね。
大垣 さらに、子供はそのあと、大学を出て行ってますよね。大学を出ていくってふと思うと、最近は皆さん、晩婚だから、まさに55歳ぐらいのときって何が起きてるかっていうと、子供が大学でしょう。
残間 お金がいる。
大垣 お金が一番出ていくとき。僕らの頃は、40代がそれだったんですけど、おそらく10年ぐらいずれていっている。そこへ持ってきて給料が下がる、住宅ローンは15年残ってる。
残間 うーむ。
大垣 っていうのを冷静に考えたとき、家って買えるのか? っていうのが、根本的な疑問に、これからの若い子達ってなると思うんですよ。なので、一番理想的なのは、55歳のところで残価設定っていってるんですけど、10万返しているものが、3万円とか4万円とかに減らないといけないんじゃないか。でも、減らすってどうやるんだろうねと。単に減らすわけにはいきませんよね。そうすると、そこからやたらと長くすれば、3万円に減らせますよね。でも、長くしようと思ったら、家が長く持たないといけないし、担保が長く持たないといけない。でも、それって売ったら二束三文っていうのは、皆さんご存じの通りなので。それで貸したらって考えて、この番組でお話ししているように、30年住まれて、40年住まれても、10年間で1000万円もらってる方っていらっしゃいますでしょう。家賃の価値って非常に高いので、その家賃の価値を上手に使って、その担保力で、長く借りられるようにしてあげて。
返せるんだったらいつでも返したらいいんだけど、とりあえずは返済額を減らしてあげて、人生設計がだいたい50代から60代のところで変わるという前提で返済額を抑えてあげるっていうことを、借りるときに確実にしてあげる。そうすることで、家を買うことの不安が。
残間 取り除かれる。
大垣 のではないでしょうかっていうのが、残価設定型住宅ローンの一番のポイントで。なんで残価かっていうと、そのポイントっていうところを、今は、JTIが保証してあげるっていう、残価保証をつけるんですね。それで、銀行の方が、それを使って、保証してもらえるんだったら、そこ以降はもう少し長く貸しても大丈夫ですねと。
残間 それなりの家がないとダメですよっていうことだね。
大垣 そうですね。それって、国がしたいことなので、少し高めの家でも安心になるし、そこから10万円が3万円になれば、絵が描けるし。それで余裕が出てくるんだったら、返済してしまえばいいわけだしっていう。人生のオプションができるわけですよね。
残間 大垣さん、こういうの考える人なんだけど、言われてみると、考えたあとに聞くと、なるほどそうですねと思うけど、誰も考えてなかったから、考えるのは大変で、15年かかったんだよね。
大垣 そういうことですかね。そんなことで、今年はそれをより、ようやく出来上がりましたので。まだ完成したところなんですけど。
残間 分かりやすくみんなに伝えていく。
大垣 大きくしていこうと思っているということです。
鈴木 おとなライフ・アカデミー2022でした。