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35年の住宅ローン。繰越返済、退職金で一括返済・・・。どんなプランで返済すれば?

水谷 きょうはどんなお話でしょうか。

大垣 この間から、水谷さんが結構ご興味をお持ちになってる、住宅ローンって定年に向けてどうしたらいいでしょう。

水谷 繰り上げどうしたらいいんだろうみたいなことはよく考えます。

大垣 それで、ちょっと難しい話だから、分からなかったら聞いてくださいね。今日はあえて、サポートの紙みたいなのを使わないで、言葉だけで説明してみようと思います。まず、どんなことが起きてるかっていうのをお話ししますと、2000年ごろに借りられた方から35年の住宅ローンに変わったっていう話はよくしましたよね。このときの統計が手に入ったので、この頃に借りた方が退職のときにどうなるかっていうのをそれで調べて見たんですね。そうすると、だいたい60歳で平均的に1200万残るんです。それで、そのあとだいたい10年ぐらい、月8万か9万ぐらい払うっていうのが標準的な方。で、いま、ちょうど60歳になってる方々は、200万しか残ってない。25年しか借りられてないから。

水谷 ああ、そうかそうか。

大垣 で、65歳になると、この人たちは、普通に返して、期限前返済しないでもゼロになります。で、水谷さんたちがもし2000年より後に借りられていたらどうなるかっていうと、そのゼロになってる65歳では、平均で700万残ってます。ですから、だいたい、約1000万ぐらい残高の差があるっていうことですね。これを前提に、親たちと同じことをしようと思うと何が起こるかっていうと、親より1000万たくさん返さないといけないっていうことをまずスタートラインで意識しておかないと。要するに、その当時、家をちょっとでも若い奴に買わせろっていう号令で、借りやすくなるように長さを10年も長いローンを標準にしたので、これまで返してきてないんですね。だから、たくさん残ってるので、退職までに親と同じようにゼロにしちゃえと思ったりすると、1000万ぐらい負担が大きいっていう。出発点で現実的に考えて何をすべきかっていうお話をすると、
1)退職までは残高だけ見てください。出来るだけそれは減らしたほうがいいと思います、やっぱりね。

水谷 繰り上げできるんだったらしちゃう。

大垣 でも、頑張ろうとしない。親の真似はしないというか、できないし、そうするときつくなりますから、できるだけ減らしていく。それはやったほうがいいです。で、それは間違いなく、金利はその頃に借りられていると2、3パーセントの金利になってるはずですから、いまみたいに安くないですから、そんな高い運用できないので、いま。お金があるんだったら、運用して1パーセントにしかならないんだったら、2パーセントの借金を返したほうがお得ですので。

残間 早く返す。

大垣 投資だと思って減らしていってください。それはそれでいいんです。ところが、定年より後になったら、今度はお金が入ってこなくなりますよね。お金が入ってこなくなってきてるのに、月に10万返すのはきついですよね、8万や9万。

水谷 ええ。

大垣 そうすると、ふと考えるのは、退職金2000万もらっちゃったっていうと、1000万だったら返しちゃえって思いたくなりますよね。

残間 だいたいみんなそう言ってる。

大垣 それが、ここまでちょっとでも、少しでも返していこうと思ってる人って、心が連続してるので、1000万返ってくると、返しちゃえって。

残間 だいたいみんな退職金で相殺したって言う。

大垣 で、今もずっと1000万残してない人がやってますので、250万を返しちゃえって返してるんですよ。分かります。先輩たちは、250万を、もらった2000万から返してるんですけど、「私たち返しちゃいました」と言ってるから、退職金で返せるんだと錯覚してる人が多いんです。でも、返すとどうなるかっていうと、日本人の平均的な退職金の額っていうのを見ると、だいたい1500万から2000万ぐらいなんですね。もうちょっとたくさんもらわれる方もいらっしゃるとは思いますが、それにしても、いっぺんに1000万そこからローンに返しちゃうと、スッキリはするんですけど。

残間 気持ちはね。

大垣 でも、1000万くらいしか貯金のない人になります。

水谷 そうですね。

大垣 これって、率直なところ、90まで死ねないっていう話はいつもしてますよね。そうすると、実はいまの状況だと、すごくたくさん、企業年金とかを追加でもらえる方以外は、お金がそもそも足りませんので、この1000万はものすごい貴重な1000万なので、病気するとかのことを考えると、1000万はかなり不安です。だから、本当は2000万もらえるんだったら、2000万はおいといて、この状態の1000万は逆にできるだけ返さないって考えたほうが。いざとなったらいつでも返せるんですから、貯金はもっとけば。要するに、それって、クレジットカードでいつでも、例えば1000万までは借りられるっていうふうな安心を持って生きてるか、カードはなくて、借金もしてないけど、スッキリしてるけど、いざというときにどこからもお金がないっていうのと、いざというときに借りられるっていうのと、どっちかっていうと借りられたほうがいいじゃないですか。でも、現実問題、60超えるとなかなかお金は貸してもらえないんですけど、返さないで置いといて、それと同じだけ預金を置いとけば、金利は余計にかかりますけど、それが安心、保険代だっていうふうに思えば、1000万まではすぐに引き出せるポケットができますよね。それは、常にそれがいいとは限りませんけど、その方々の状況で、とてもたくさん金融資産があったら返しちゃえばいいと思いますけど、ギリギリカツカツだったら、実は定年からは借金は甲斐性だと思って。住宅ローンみたいに金利の低いローンが残ってるんだったら、それを見合わせたお金を両建てで持っておいたほうが、万が一のときに安心できるので。

残間 さっきの、精神的にスッキリっていうのに弱いんだよね。

水谷 そうなんですよ、スッキリしたいんですよ。

残間 退職金もらったときに全部払ってスッキリしたいっていう人多いよね。

大垣 それでいま、住宅ローンを、住宅金融支援機構っていうところありますよね。そこがやってる、彼らがリバース60って呼んでるんですけど、60から借りられるんで。これは、実は住宅ローンを借り換えることのできるリバースモーゲージなんです。どういうことが起きるかっていうと、その時点で借りてたローンを住宅金融支援機構の保険のついたリバースモーゲージっていう住宅ローンみたいなものに借り換えられるんですけど、借り換えると、死ぬまで元本は返さないで良くなるんです。

残間 利息だけ?

大垣 利息だけ払えばいいの。で、もちろん返したかったらちょっとずつ返していけばいいんですけど、それはあるとき払いで、返したほうがいいので返していって。最悪返せなかったら、亡くなるまでは住んでて良くて、亡くなったあとに住宅金融支援機構が売って、それで、そのお金で自分たちのローンは返してもらうと。もし足らず金が出たときは、ちょっと高くなりますけど、金利が。足らず金が出たらもう諦めてくれるっていう、そういう仕組みになってるので。こういうのに例えば変えてしまうっていうのも一つの手です。そうすると、だいたい土地代の6割ぐらいしか借りられないので、5割かね。そのぐらいまでは頑張って返しておけば、万が一のときは金利だけにできるので、そうすると、月に8万円が2万円ぐらいに減るので、そうすると6万円バッファができるでしょう。もう、率直なところ、そうしないといけない人が、多分、何十万人っていう単位でいらっしゃるので、いま、そういう制度がよくなるように政府にもお願いして色々議論をしてますから。

残間 なんとなく、やっぱりみんな退職金で借金を帳消しにしたがるよね。

大垣 60を超えたらお金は借りられないので、借りちゃったものは返さないっていうのが実は安心につながるっていうことをちょっと頭に入れておいて。

残間 悪いことしてるような気がするって言うから、してないじゃないって。ちゃんと払っていくんだからって言うんだけど、スッキリしたい人いるよね。

大垣 スッキリしちゃうとかえってめんどくさい人になっちゃうので、かえって人に迷惑かけちゃうかもしれないっていうことですね。

残間 そうか。

水谷 私、今までで一番ためになりました。腹が決まりました、ありがとうございます。家とお金を考える、大人ライフアカデミーでした。