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JTIの新制度、「家がローンを返す」ってどういう仕組み?

水谷 きょうはどんなお話でしょうか。

大垣 いつも、ミサワホームさんの宣伝で言っている、家がお金を返しますっていうやつあるでしょう。2月になりまして、今度は、ダイワハウスさんと、住友林業さんも、同じのができるようになりました。これ、どういうことかっていうと、よく宣伝を聞いているだけだと分からないと思うので。

 実は、移住・住みかえ支援機構っていうのをやってますでしょう。そうすると、ときどき、まだローンが終わっていない方が、借りてくれないかっていうことで、いらっしゃることがあるんです。今、150人ぐらいの方、150棟ぐらい、そういうのをお預かりしているんですね。

残間 ローンがまだ残っていてね。

大垣 ご事情があって、実家帰られたりとか、新しいおうちに行かれたりとかでなさってるんですけど、その150人のうち半数以上は移住・住みかえ支援機構から貰っている家賃で、ローンが払えちゃってるわけ。

残間 すごい。っていうことは、ローンが残っていても、引き受けているっていうことね。

大垣 まあね。だって、事実上、結局、お釣りがきている人は結構いるわけですよ。半分は足りないんです、ちょっと。でも、ちょっとなんです、割と。5000円とか1万円とか。

残間 ふーん。

水谷 そんなもん。

大垣 そんなに何万円も足りないっていうかたはすごく少なくて。あれって思ったのが最初なんですね。そうすると、これ、ずっとこうやって家賃で返してれば、最終的に家が住めなくなっても土地は残ってますでしょう。そうすると、家を借金が残ってて、引っ越したから売るわってやると、このところ色々みててお分かりになると思いますけど、土地代だけになって、結構ローンが返しきれないことも多いわけですよ。

 ところが、たまたま移住・住みかえ支援機構にきてくださった方は、サイトウさんのコーナーでも、何千万って、1000万ぐらいもらわれている方はいると思うんですけど、返せちゃってるわけですよね。それで、それだったら、最初から、家を買うときに、いくらまで借りるんだったら家賃で返せるんだろうかっていうのを計算してあげて、その金額を言っておいてあげれば、そうしなくてもいいですけど、その金額内で借りるのであれば、どこで返せなくなっても、移住・住みかえ支援機構に頼めば、返せちゃいますよね。で、そういうことをやってあげると、今はローンを返せなくなると抵当権を実行されて、そうすると二束三文で売られて、ローンが残ってみたいな方が多いんですけど、そういうふうにならないんじゃないかなと思って始めたんですね。

残間 それ、大垣さん、さっき、あれっ? って気がついてって言ったけど、みんなは気がつかなかったの。

大垣 前からお話ししてるように、家賃って、日本中、そんなに変わらないでしょう。

残間 そこがみんな分からないんだね。

大垣 ところが、地価だとめちゃめちゃ違うから。東京あたりだと大丈夫かもしれないけど、地方だと、無理なんじゃない、とか。東京は逆に土地を買っちゃうとめちゃくちゃ値段が高いので、結局借金も高いのでうまく行かないとか、土地の値段でやっちゃうと、率直なところ、うまくいかないんですよ。

 特に、あとのほうになってくると、だんだんローンも減ってくるので土地でなんとかなることもあるんですけど、最初の頃はやっぱり、間違いなく、きょう3000万円の家を買って、明日売っても、2980万円になるんじゃなくて、2000万円になっちゃう。

残間 シンボリックな言い方をするとそうなっちゃうわよね。

大垣 中古なんです。だから、そういう意味では、早い時期に貸し倒れになるようなご事情が出ちゃうと、すごく、ダブルパンチで不幸なことになるんです。

残間 そうですよね。

大垣 ところが、住宅ローンの遅延って、実は最初の10年で結構出るんですよ。

残間 ふーん。

大垣 10年ぐらい返せた方は、結構あとまで大丈夫。

残間 そうなんですか。

大垣 ですから、最初の10年が、ある種勝負なんですね。この間に叩き売るようなことにならないように、例えばボーナスが減っちゃいそうで苦しいなあとか思われてまず1年、難しいことを考えないでまず移住・住みかえ支援機構に聞いてもらって、例えば、12万は返せないけど3万はいけるっていうんだったら、9万円で貸せたらとりあえず繋げるじゃないですか。そういうようなことをやってみる。それでも全然ダメっていうっていうところだったらっていうのが、今ミサワさんがやっていることで、もうJTIに家はギブアップして、権利は渡してくださいねと。その代わり、ローンはJTIでお引き受けしますと。

 その場合、多くの場合は、返済額よりも家賃がずっと少なくなっちゃうようなケースなんですけど、その場合は、差額をJTIで見ることができるんです。ずっとその差額を立て替えて払っておいて、最後に返しきれたあたりで、土地は減りませんからね。土地で、返すと。いうようなことをして大丈夫かっていうのを、買うときに金額が出るっていう、そういうシステムができてるんです。これで、この間からお話ししているように特許をいただいて。ですから、借りるときに、2900万は駄目だけど、2700万だったらそういうことをしてあげるよっていうことが、入り口で言えるんですね。少なくとも、ミサワさんとダイワさんと、住友林業さんはね。そういうふうに分かっておくと、なんとなく、家がお荷物にならないので。っていうことなんですね。

残間 買う人は本当に気持ちが軽くなるよね。住宅メーカーにとっては、情報提供をしてあげる親切な会社っていうイメージだよね。

大垣 それもありますけど、実は、いい家じゃないとできないんですよ。長く貸せないと家賃がたくさん出ないので。そういう意味で、せっかくいいお家を作られているのであれば、今は変な話だけど、銀行から借りるときに、いい家だろうが悪い家だろうが、お前が返せるんだったら貸してやるっていうのが住宅ローンでしょう。でも、私は、いい家だったらいいローンが借りられて、あんまりよくない家だったらあんまりよくないローンしか借りられないっていうふうになってたほうが、そのほうが当然っていう感じがしません? 今はそうなってないので、そういうふうにして。

残間 結果いい家が増えていくようになると。

大垣 まだ皆さんおっかなびっくりで、大垣の言ってることは本当かよっていう感じでまだ3社なんですけど、できれば長寿命の住宅を作る人たちは、みんなこういう感じでやってもらえれば、住宅ローンもね。

残間 買う人も安心だよね。

大垣 家買って不幸にはならないんですけど、ローンを借りると不幸になりますのでね。

残間 いつも言うけど、そういうのに「あれ」って気がつくっていう大垣さんはすごいよね。自分のためっていうか、他の人のために。

大垣 私はもう、金融屋なので、そういうのが面白い。

残間 だけど、今までそういうのに気がつかなかった人がいるっていうのが不思議。大垣さんが気がつくっていうのが。

水谷 はい。家とお金を考える、大人ライフアカデミーでした。