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破綻する? 全額もらえない? 年金知識のウソ・ホント(前編)

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金融・住宅のプロフェッショナルである大垣尚司(青山学院大学法科大学院教授)さんと、団塊世代のプロデューサー・残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。

このブログでは、ラジオを聞き逃した方や、放送内容をもう一度確認したい! という方のために、人気コーナー「大人ライフアカデミー」の内容全てを、文字に起こしてお届けしています。

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水谷 今日はどんなお話でしょう。

 

大垣 きょうは、去年ラジオ聞いてらっしゃる方とかに、青学で、リカレントの15回プログラムをやって。それでも200ページ近いスライドが出来上がったんですね。

 

残間 すごいね。

 

大垣 ここらへんから、今年はいくつかお話をしていこうかなって思っているんですけど。きょうはね、年金と投資がどう違うかっていう話をしようと思うんですけど。同じ5万円ずつ払ってくんだったら、投資信託みたいなのと年金に入れるのと、どっちが得だと思いますか。

 

水谷 年金。

 

大垣 なんで。

 

水谷 投資は危険だから。

 

残間 年金に入れるって意味が分かんない。

 

大垣 だから、年金ってあるじゃない。あれって、払ってるじゃん。保険料。それを貰ってる感じだと思ってますよね。貯めて。保険料をずっと払っていって。で、歳を取ったらもらうじゃないですか。

 

残間 払った分来ないじゃない。

 

水谷 金額は来ないですよね。

 

大垣 払った分、来ないと思ったりしてるでしょう。

 

残間 もちろん。

 

水谷 全額は来ないんじゃないですか。

 

残間 これからの若い人たちは。

 

大垣 それで、払ってるのに来ないぐらいだったら、投資信託をやったほうがいいと思うでしょう。

 

残間 両方。

 

大垣 それは減るから嫌? じゃあ、みずほに預ける。金利が少ないからいや? じゃあ、箪笥に入れておく?

 

残間 ううん。預ける。タダでも。

 

水谷 うーん。

 

大垣 じゃあ、銀行に預ける。

 

残間 うん。

 

大垣 そう思っている人が多いのでびっくりしたんだけど。年金が一番お得なんです、本当はね。

 

残間 なんで?

 

大垣 なんでか分かる?

 

残間 分からない。

 

大垣 だから、まずそもそも、自分で払ったよりか貰えない人がほとんだと思っていること自体が。

 

残間 もう、そういう概念だよね。

 

水谷 私、貰えないぐらいに思ってます。捨て金だろうな、ぐらいに。

 

大垣 すごい政府ってバカだなと。まず、単純に質問をしますけど、年金って、昭和の30年代ぐらいにできたんです。始めますよね、国民年金を。始めた年に、85のおばあちゃんは貰えたでしょうか。

 

残間 払ってないよ。でも、貰えてる。

 

水谷 貰えないんじゃないですか。

 

大垣 じゃあ、いつ頃からもらえるようになったんだと思う?

 

水谷 あ、そうですね。そのシステムができると、どうなんだ? 最初の人は。

 

大垣 でも、年金制度って、作ったらやっぱり、作った瞬間から85歳の人はもらえないとまずくないですか。

 

水谷 確かに。

 

残間 そりゃあねえ。

 

大垣 じゃあ、そのお金はどこからきたの。

 

水谷 税金から。

 

大垣 そうなんです。まず一つね。国民年金ってあるじゃないですか。

 

残間 はい。

 

大垣 あれ、なんか、もらえないとかみんな言ってるじゃないですか。あれって実は、払ってぶんは半分税金なんです。ということは、貰ってる額の半分しか払い込んでない。だから、そもそもお得でしょう、ちょっと。

 

残間 うーん・・・。

 

大垣 (笑)。そんなところで考え込むなよ、そこで考え込んだら全然先に進まない。

 

水谷 ちょっとつまづきましたね、残間さん(笑)。

 

大垣 あのさあ、ちょっと待って。だめだこれ。鈴木さんだともうちょっとマシなのかな、ちょっと足引っ張ってません、部長(笑)。

 

水谷 鈴木さんは経済学部だったかな。違ったっけ。

 

大垣 あのね、鈴木さんは分かってないかもしれないけど、目をぱっちり開いて頷いてはくれる。

 

残間 自分のこととしてとらえようとして必死になるよね。

 

大垣 水谷さんはスイッチ切ってますから、最初から。まあいいや。それで、要するに、もらいだしたときに、そもそも原資がないから、あれって税金を積み込むことになってるんですよ。で、税金って自分のお金じゃないじゃん。

 

残間 ううん。

 

大垣 だから、そうだけど。法人だって払ってるわけですよ。会社がいっぱい払ってるんだから、税金はね。

 

残間 私たちから。

 

大垣 いや、そうだよ。でもさ(笑)。だから、自分が詰んだ分貰ってないことは理解しました。

 

残間 はい。

 

大垣 あれって要するに、原資が足りないから、半分税金入れてるわけ。で、さらに、始まったばっかののおばあちゃまに払おうと思うと、どうしたら払えるかっていうと、今年払い込んだ若い奴らの分を回しちゃうわけ。

 

水谷 うーん。

 

大垣 そういう風になってるわけ。だから、残間さんの世代とかはいっぱいいるじゃない、団塊だから。ゴソッと。

 

残間 いますよ。

 

大垣 もはや、残間さんみたいに税金払ってる人より、もらってる人結構たくさんいるじゃん。もらってる人。

 

残間 ほとんどそうね。

 

大垣 そいつら、いっぱいいるでしょ。あえてそいつらって言いますけど。

 

残間 そいつらって、嫌そうな顔で言うわね。

 

大垣 それで、下のほうにもっと少ない人がいっぱいいるわけ。

 

残間 確かに。

 

大垣 その人たちが頑張って税金を払ったり、年金払ったりしてるわけ。っていうのが、やっぱり足りないから、持っていってる。だから、投資っていうのは自分で入れたお金が元本で戻ってくるだけで、それも外れると目減りしたりするっていう、ゼロサムっていうんですけど。要するに、入れた分以上に出てこようと思うと、そいつが泣けなしで稼いだ数パーセントが積み上がる程度なんですけど。

 

年金って、少なくとも公的年金は、もらうほうの人に、「うまくいきませんでしたんで払いません」って言えないので、出る方が決まっちゃってるので、そこに必ずつぎ込むようになってて。だから、ほとんどのケースでは多分払い込んだより、たくさんもらえることになる。なってるの、そもそも。結構。

 

残間 全然そういうインフォメーションないね。

 

水谷 ねえ。言えば我々はもっと喜んで年金を払うのに。

 

大垣 喜ぶかどうかはさておき、要するに、年金が問題なのは、今の制度でもらえてるより悪くなっていいかっていう議論でみんな揉めてるわけ。

 

水谷 うん、うん。

 

大垣 それから、長い目で見ると今のまま持たないから、若い奴が損しちゃうじゃないか、おかしいだろうって揉めてるんですけど、そもそも入れた分がちゃんと運用できてないから払えないじゃないかって議論にはなってないの。そもそもそんなこと誰も気にしてないから。そもそもそんな風になってないから。それはやっぱり、会社がいっぱいお金儲けて、法人税をいっぱい払うじゃないですか。その払ったお金もちゃんとつぎ込んでるわけよ。だから、年金は本当は、どっちかにしかお金を投資できないんだったら年金払っといたほうが、算数は全然お得なんだけど。意外とみんなが、年金揉めるじゃないですか、制度が悪くなるとか、もらえなくなるとか。っていうことで、ものすごく悪い印象を持っているから、残間さんや水谷さんみたいに、年金なんかで払うとすごい損するみたいなふうに思わせちゃって、ちょっと、そこはもうちょっと算数で議論したほうがいいんじゃないかな。

 

水谷 政府が今、信頼できないから、そこで年金を持っていかれちゃうんじゃないかなって思ってる方は多いと思います。

 

大垣 要するに、年金の一番の原資っていうのは何かっていうと、早く死んだやつなんですよね。早く死ぬ方のお金を、長生きする人に回すっていうとこで動いてるので、ここはもはや、元本目減りどころか早く死んだ人は全部持っていかれるので、それが全部長生きする人に回るので、それはもう、運用とかの世界じゃなくて、めちゃくちゃ、そこんとこは、ある種それは利回りと呼んでいいんだったら、利回りが高いんですよね、そもそも。

 

だから公的なやつでしかそういうことはやらないわけ。例えば、この3人で組んで、水谷さんが一番最近に死んだらその元本全部二人で山分けしようぜっていうのは公序良俗に反するからやってはいけないっていうことになってて。だから、公的年金だけはそれを許されてるわけなんですね。

 

残間 そのへんの説明も全然ね、初めて聞いたよ。

 

水谷 ちょっと安心しました。

 

大垣 安心していいかは分からないんですけど。今のままだと思っていたらダメなんですけど、損してるわけじゃないっていうことですね。

 

水谷 分かりました。きょうは年金についてのお話でした。大人ライフアカデミー2021でした。このあとは人生100年時代研究所。こちらは鈴木純子アナウンサーがお送りします。