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リスナーメール:約束手形が廃止されたのはなぜ?

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金融・住宅のプロフェッショナルである大垣尚司(青山学院大学法科大学院教授)さんと、団塊世代のプロデューサー・残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。
このブログでは、ラジオを聞き逃した方や、放送内容をもう一度確認したい! という方のために、人気コーナー「大人ライフアカデミー」の内容全てを、文字に起こしてお届けしています。

前回の質問の補足をお願いします!

鈴木 聞いて得する家とお金のお話です。大垣さん、きょうは。

大垣 いくつか質問が来ているので、まず最初に、前回質問してくださった若い方。再度、私の答え方が悪かったのかもしれないんだけど。

joqr-theme.hatenablog.com

鈴木 レモンさん。

大垣 横浜市のね。なんかね、私の答えは違ってるっていうことで。電子マネーで住宅購入をしたいんだけどできるかっていうことなんですけど。

電子マネーでは住宅は買えない? クレカなら?

大垣 これは、できないですね。PayPayみたいなやつは大体、200万円ぐらいまでしか払えるようになってないので。

残間 前は、ローンの返済って。

大垣 クレジットカードで買って、そのあとローンに変えるみたいなことはお話ししたと思うんですけど。クレジットカードは、もちろん、残間さんのカードとかだったら、もしかしたら使わせてくれる。

ブラックカードとかなら、基本的にはNOって言わないと思いますけど、でも、来月、どっちにしても落ちるので、その時点ではローンを借りないといけないとすると。

で、そこでリボに変えると、リボは、下手すると7パーセントとか。金利が高いので。

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そんな金利を払うぐらいだったら、住宅ローンを最初から借りちゃったほうがいいと思いますので。

それと、大事なものなので、引き取るときにお金を払うということで。先にお金を払わないといけない理由が、あんまりないんじゃないかな。そういう話だったんですということですね。

あとは、別の話で。

残間 今の人は、結局なんだったの。

大垣 いや、そういうことで。電子マネーで買えますかって言われると、買えないと思います、ということでしょうかね。そんな感じ。

残間 ふーん。

約束手形ってそもそも何? どうして存在していたの?

大垣 それから、約束手形の話は、ちょっと難しい話になるんですけど。もともと手形っていうのがあったんですよね。これは何のためにあったのかっていうと。

昔は、トヨタがあって、トヨタの下請けがあって、孫請けがあってって、縦に長かったんですよね。

トヨタが手形を切るわけです。

そうすると、もらったトヨタの手形を、トヨタが払ってくれるんですからって、あたかもお金みたいにして、また次の人に払うっていう。

こういうふうにして、銀行からお金を借りないでも、えらい会社の発行した手形が下に降りて行ったり、途中で銀行もっていくと、それは、非常に信用が高いので。事実上、先に買ってくれるわけですよね、手形を。

そうやって、銀行の外でお金が回ってた部分があるんです。日本でいうと、大体200兆円ぐらいそんな感じでお金をもらってるんです。

鈴木 そんなに。

手形のデメリットはめんどくささ。現在の発行数は最盛期の10分の1に。

大垣 で、なんですけど、めんどくさいじゃないですか、手形って。ハンコ押して。

それで、もうだいぶ前ですが、バブルの最盛期で、10億枚ぐらい手形が流通していたのが、もう、1億枚切っちゃって。手形が出なくなって。

それも、偉い会社ほどそういうことをやらないで、電子決済したいですよ、っていう話になっちゃうので、銀行にチョロンと振り込まれるだけなので。

来月振り込まれるはずなんだけどって言っても、それは手形みたいに見えないので、お金に変えられなかったりというような窮屈なことが起きてきて。

電子手形というアイデアもありましたが・・・

大垣 だいぶ前に、電子手形っていうのを、じゃあやったらどうだ? ってなったんですけど。まあ、実は、それは、銀行があんまり積極的にやらなかった

それから、今もあることはあるんですけど、手数料が高くて、使い勝手が悪いとかっていうので、あんまりうまくいってないんですよね。だから、そこを中小企業がお金の、払ってもらえるっていうことっていうのを上手に使って。

「手形の不渡」なんて言葉を聞いたことがありませんか?

残間 昔、不渡をつかまされたとかいうじゃない。

大垣 そうそう。そういうのはなんでかっていうと、昭和30年代ぐらいに、それより前は、手形って、コクヨの手形用紙なんて売ってたわけ、文房具屋さんに。

鈴木 ほお。

大垣 でも、そんなの誰も信用しないわけよね。それで、銀行がくれた手形用紙でないと手形は手形と思わないっていう、日本独特の慣行みたいなものができて。

その手形用紙をもらうためには、それなりの会社じゃないと、当座預金っていう、預金口座を開いてもらえないっていうことでね。

手形っていうのは、そうやって、信用が高いようにしていて。不渡っていうのがそれで。

2回不渡を出すと、銀行と取引してもらえなくなって、事実上、死刑宣告に近いっていう形になる。

不渡って何?

残間 不渡ってことは、つまり、手形を渡すんだけど、それが入ってないわけでしょう。

大垣 手形っていうのは、来月払いますとかっていう、先に払うものなので。小切手はすぐ払いますなんですけどね。

だから、手形が払われる万金の時に、預金口座がないと落ちないので。落ちないと、戻ってくるんですね。それが不渡っていうんですけど。

で、これも簡単に出させると良くないっていうので、それも信用力が高くなるように、2回不渡っていうのをやると、もう、銀行全体とどことも付き合ってもらえないようになって、事実上商売ができなくなるんです。

昔は「手形詐欺」なんてものがあったけれども・・・

残間 よく、手形を出してる間に、なんとか金策をしてっていうような。

大垣 そうそう。それで、お困りでしょうっていうので、そういうのを、「手形パクり」とかね。そういう、「パクり屋さん」っていうのがいたりとか。

そうすると、パクり屋さんに騙された人のところへ救いに来る「サルベージ屋さん」っていうのがいたりとかで(笑)。

もう、古典的に、ほのぼのとした手形詐欺っていうのがあったんですけど、今は、そういうのがやりようもないぐらいに手形が減っちゃって。

以前は手形での支払いが普通だったのに、最近では・・・

残間 前は、私たちのような小さな制作会社でも、結局、支払いが、手形でくるの。

大垣 そう、そう。

残間 だから、広告代理店も、10年前ぐらいまでは手形できてたよね。

大垣 それが普通だったんですよね。で、そういうのがあることで、お金が回ってたんですね。銀行から借りなくても。

残間 でも、こっちは、すぐ、カメラマンの人とか、色んな人に払いたいのに、手形できてるから。

大垣 それは、割ってもらうんです、だから。そうすると、ちょっと金利が引かれるんですけど。そういう慣行があったんですね。

残間 そうなんですね。

手形はフィンテックに変わっていく

大垣 今ちょっと出てきてるのは、フィンテックって言われるような人たちが、何月に入るんですよっていうと、それを見せてください、帳簿をって言って、その電子帳簿でお金をするっていうのが、だんだん出てきているので。

残間 ふーん。

大垣 そっちでフォローができるようになってきているんですけど。一時期は、そんなわけで。

手形はなくなる? なくなるとしたら、なぜ?

残間 もう、手形はなくなる方向なの。

大垣 それで、もう、なくしていいんじゃないかっていうぐらい使われなくなってきたんですかね。

でも、私はこの、急に無くすっていう話になったのは、デジタル庁系の話に乗っちゃったっていうことなんじゃないかなって思っていて。

もっと本腰を入れれば20年前ぐらいから、そういう、キチッとした制度整備はできたと思うんですけどね。

ちょっと、そういう意味では。まあ、こういうのがきっかけになって、手形がなくても中小企業がお金を回せるようになったので。

残間 だんだん、実感を持って見るっていうこととか、触るっていうことがなくなるね。

鈴木 手形の紙も無くなって行って。

大垣 そうかもねえ。

鈴木 レモンさん、お分かりいただけましたでしょうか。またぜひメッセージをお寄せください。大人ライフアカデミー2021でした。